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 やっぱり、長年アメ横で鍛えられたせいか、どうしても昔から軍モノって大好きなんだよ(基本的に米軍モノに限るんだけどね)。ところで最近は何だか女のコを中心に#MA-1(ソレ風?なんちゃって風?も含めてだけど)が大人気みたいでさ、あっちこっちでどんどん増殖して、三軒茶屋辺りですらゾロゾロ見るもんね。 
 ファッションは、いつか繰り返すって言うけど、このアイテムがトップステージに上がるのは本当に久し振りだと思うよ。多分、前回の#MA-1ブームってボクの記憶では86年~87年くらいだったと思うからちょうど30年くらい前の事だもんね。ビックリだよね、もうそんなに経つの?って感じだ。 
 元々80年の暮か81年頃にスティーブ・マックイーンの"HUNTER"が公開され、その中で彼がLee #200 RIDERSの上に着用していた#MA-1が1つのきっかけでアメ横では(少なくともボクの周りでは・・だよ)ジワジワと#MA-1の人気が出始め、そしてその後アメリカでは日本に先駆けて、トム・クルーズの"TOP GUN"が公開され興行第一位という大ヒットを記録したというニュースが日本にも伝わり"FLIGHT JACKET"という言葉がファッション業界でも一人歩きし始めるようになったような気がするんだよ。 
 そんな事も有って、それまでも人気ブランドだったALPHAやAVIREXが更に注目を浴びるようになったんだよね。 

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 そしてすぐにアメリカのその余波が日本にも押し寄せ始め、ほんの少し後の確か86年にリリースされたKUWATA BANDのレコジャケが、たまたま引き金になったんだと思ったけど、ALPHAから新しくリリースされた新色ブラックの#MA-1を求めてアメ横の中田商店に朝からスゴい行列が出来た事件をついこの間の事のように思い出すよ。誰か行列の人数を数えてたんだっけかね、忘れたけど「うっそ~!」って感じの景色だった。まだネットなんて無かった時代だよ、どうやって集まったんだろうねェ?  
 ちょうど去年の秋頃、知り合いのレディス・バイヤーの女性が「#MA-1って言うのが、やっぱり来るみたいですけど、玉木さん#MA-1って詳しいですか?」「おゥ、まかしとき!」なんてやっていて、古いのがボクもどこかに有るよ・・と、あちこちひっくり返して#MA-1を探していたら先に#L-2A(中綿の入っていないタイプのブルーのモノ)が出て来た。 
 相変わらずさえないルックスだねェ・・と言いつつ何だかんだと、この冬は結局会社のその辺に置きっぱなしにしていて、実は作業着代わりに着ている事が多いんだよね。そう、本当は結構気に入っていたりするんだよ。ただし#MA-1と違って、#L-2は今まで一度もブームになった事が無いんだけどね。 

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 このアイテムのカラーは#L-2Aがエアフォース・ブルーで#L-2Bがセージ・グリーンなんだよ。 
 ただ、この画像の#L-2Aは、ヴィンテージでも何でも無くて90年代に入ってから復刻版を作ろうとしたALPHA の最初の頃のサンプルだったヤツを確か輸入元のサンプルセールか何かで購入したんだよ。以降自分では結構着倒しているんだけど左上腕部のAIR FORCEのインシグニア・プリントも消えかかっていて個人的にはいい味が出ていると思っているんだけどねェ・・しかし見事に全くウケないんだよ・・着ていても誰も話題にしてくれないし。単なるポンコツにしか見えないんだろうなァ・・。  
 #L-2シリーズには中綿が入っていなくて、バルーンシルエットの#MA-1(昔のオリジナルスペックのモノね)よりも細身でもっとスタイリッシュ(ボクが言っているだけね)だから、丸い膨らんだルックスに見えないし、実際に着てみると本当はカッコいいと思うよ。  
 そして#L-2Aも#L-2Bもライニングがレスキューオレンジじゃ無いから、ファッション的に言うとオレンジ色がジャマにならなくてコーディネートやスタイリングが決まりやすいとボクは思っているんだよね。 
 下の画像が後日ちゃんと商品になって発売された#L-2Bで、よせばいいのに乾燥機に入れたらタテに縮んじゃってね、ありゃァ~・・の大失敗!だった。着丈が短くなっちゃったからローライズのパンツを穿くとかなりファンキーなルックスになるんだよ。参っちゃったね~・・やっちゃったよ。 
 あ、今うちの店頭に有るALPHAのデッドストックがコレと同じ93年か94年頃のアメリカ製の#L-2Bなんだよ。でも乾燥機に入れちゃ本当にダメだからね。 

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 あるフライトジャケットに関する記述を見てみるとね、第二次世界大戦中アメリカ航空軍部は、まだ陸軍の統制下に有ったんだけど(ARMY AIR FORCE)1930年代に開発され、それまで着用されていた#A-2に代わって1945年に夏用ジャケットとして採用されたのがカーキ・グリーンの#L-2だという事だった。そして1947年に航空軍部は晴れて陸軍や海軍と対等のアメリカ空軍(U.S AIR FORCE)として創設されたんだね。 
 その後1950年に勃発した朝鮮戦争の最中の1951年頃に#L-2はエアフォース・ブルーの#L-2Aと進化し1952年から1954年にかけてアメリカ空軍は更にフライトジャケットのモデルチェンジを行い、それまでのエアフォース・ブルーからグレーがかったグリーン(セージ・グリーン)を採用し、この時に誕生したのが#L-2Bだったそうだよ。 
 一方#MA-1は、プロトタイプの#B-15 MODというのが存在はするのだけど、#MA-1というコードネームで誕生したのは折しもジェット時代のアメリカ空軍を象徴する戦略爆撃機#B-52の誕生と時を同じくする1952年からくらいだと言う事だった。 
 だから#L-2の方が少しお兄さんなんだね。 
 だけど、60年以上前に開発された軍服が今現在もアメカジのスタンダードとしては勿論の事、レディスのトレンドアイテムとして、やおらトップステージに登場したりする事がスゴいと思わない?ファッションって本当に奥が深いよね・・・

第115回「Leeの逆襲」

 最近、例のジェームス・ディーンでお馴染み、McGREGORのAnti-Freeze-Jacketを自分の好きなようにディテールを凝りまくったうえで復刻して「いいなァ、これ・・・ボク、還暦記念にT/Cの方もナイロンの方も両方買っちゃったもんね!それに試着してみると色の落ちたデニムにブラックカラーがかなりカッコいいのをあらためて発見しちゃってさ、コレも渋いよ~!もう少し気温が上がらないかなァ・・いつデビューさせよっかなァ。お前も着ない?」などと友達に言いながら自分で喜んでいたんだけど、そいつから「それ着るんだったら、ジーンズはやっぱりLeeだよね?」「ありゃァ~そうか・・・」言われて気が付いたよ。 
 ボクはLeeのデニムでちゃんとサイズが合うのが今1本も無くってさ、どうしてだか全部ウェストが小さくなっていてね、不思議だと思わない?勝手に縮んじゃっているんだよ。「参ったねェ、どうすっかね?」痩せるか、新しく買うしか無いだろ・・って事だよねェ。 

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 画像左は1956年、日本での公開当時のプレスリリースだって。真ん中がそのアップ画像なんだけど、良く見るとバックポケットのステッチが修正して消されてしまっているよね、きっとその時には重大な大人の事情が有ったんだろうなァ。とても不自然に思うけどLeeだと分かっちゃうと誰かがスゴく困る事になったんだよ。右の画像では、そのシルエットが良く分かるよね。やっぱり断然カッコいいよ!敵わないや。 
 シルエットがそんなに太くも見えないなァと思うのはボク自身のウェストサイズと足の長さを全く考慮していないからだろうけど。まァ実際にボクが穿くと、ほんのちょっとだけ違って見えるのかなァ。まァ、いいやね。 
 ところで、Leeのジーンズって最近は余り騒がないように思うんだけど、ボクがアメ横に居た頃、一部のヒトの中にはConverse派とPro-Keds派の対立関係のように、Levi's派とLee派もちゃんと少なからず居たもんだった。いつお店に来られてもLeeのブーツカットデニムにFRYEのリングベルトをし、同じFRYEのリングブーツを履いていたお客様なんかをとても懐かしく思い出すよ。 
 だけどボクはどちらに属するワケでも無いノンポリと言うか雑食派でLevi'sもLeeもゴチャ混ぜに穿いていた。当時「る~ふ」はLevi'sの取り扱いが多かったからLeeは大体いつも守屋商店で買っていたしね。だけど何かの時の勝負パンツはWRANGLERやMAVERICKだったりしたから、考えてみたら確実にその頃からボクはやっぱり少し変わったヤツだったと思うんだよね。  
 まァ、そんな事を思い出しながら久し振りにLeeのデニムが欲しくなったから、ちょっとLee Japanに聞いてみるか・・・で、担当のヒトに聞いてみたら現在はちょうどアーカイブ・シリーズと名付けた日本製の復刻版が各年代ごとに出ているんだよ。やっぱり忠実にディテールを復刻するとなると、やっぱり日本製って言うのがポイント高いよね。ディテールの細かい追い込み方と完成度を追求する美学がやっぱり違うと思うんだよ。 

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 ところがジェームス・ディーンの時代の#101Zってどれなの?って、ボク本当はヴィンテージデニムにあんまり詳しく無いから渋谷で長年ヴィンテージを扱う老舗ショップ、FOVOSのオーナーの和久井さんに教わりに行って来た。実は和久井さん、ボクのアメ横時代の後輩にあたるんだけど当時「る~ふ」の近くのお店に居て、よくお店にも来てもらっていたんだよね。考えてみたら、もう30年以上前の話しだけど。 
 今でも時々古いアイテムに付いて分からない事が有ったりすると教えてもらったりしているんだよ。 
 それで今回も色々と教わって来た。 
「ねェねェ、ジェームス・ディーンの穿いてるLeeのデニムって、どういうヤツ?あれって#101Zでしょう?バックポケットが中心から外脇の方に寄っていて、スゴくカッコいいんだよねェ」 
「本人に聞いてないから分からないっすけどォ、50年代初めの頃の#101Zという可能性も有りますよね?」 
「今、Lee Japanから出ている復刻版で#101Zの52年モデルって言うのが有ってさ、センターの赤タグでセルビッジが片耳のヤツが有るんだけど、あの辺り?」 
「あ、知ってますよ、その復刻版。ところで、あの映画って何年に撮ってるんすか?」 
「記録だと1955年の4月から2ヶ月で撮り終えたって書いて有ったよ。」 
「と、言う事は映画の中では新品じゃ無くて、そこそこ穿き込んでいるモノに見えるからそれ位の年代かも知れないっすね・・・だけど、あの復刻版ってホントに良く出来てますよねェ。アレが古着で混じって出て来たら自分も多分見間違うかも知れないっすよォ。」 
「え?和久井くんでも分からないくらい出来がいいの?」 
「いやァ、スゴいっすよ。今度のは、ホントに良く作ったなァって・・」 
 そんな会話が有って何だかボクは俄然その復刻版が、まず自分で欲しくなっちゃったんだよね。 
 和久井さんから色々と教えてもらったディテールをちょっとここで解説してみるね。画像向かって右側が復刻版だよ。  

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 いわゆる「センター赤タグ」と呼ぶんだそうだけど、内側ベルト部分真後ろに付けられたタグ。   

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 Levi's等には見る事が出来ない「片耳」と呼ばれる仕様がコレなんだって。「何でこんな事をするの?」聞いたら和久井さん「知らないっすよ。生地の取り都合とかじゃ無いっすか?」だってさ。   

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 本来は補強目的で付けられているポケットの中の補強布。これが有るとポケット部分のアタリの出方が微妙に違って来るんだそうだ。やっぱり本来はワークパンツなんだなァ   

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 ヴィンテージムード漂うGRIPPER ZIPPER。このスライダーが付いているだけで嬉しくなっちゃうよね。ボク個人的に大好きなジッパーなんだよ。 

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「奥リベ」って呼ぶと言ったんだっけか?向かって右奥に打たれたリベット。60年代には失われたディテールだと和久井さんから聞いたけど、しかしどうしてあんなに詳しいんだろうねェ・・・。プロフェッショナルを感じるよ、マジ脱帽だ。 

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 登録商標を表す、サークルR(○の中にR)マークがまだ付けられていないピースマークと、そして織り目の綾が左上に上がって見えるいわゆる「左綾デニム」。右綾デニムと違い糸の撚り方向との関係でタテ落ちの現れ方がそれと分かるくらいに違うんだってさ。「へェ~!」ってなもんだった。 

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 スレッド・リベット(☓印に縫われたカンヌキ縫い)も50年代のモノは大きくガッチリと縫われているんだそうだ。まだまだ、ワークパンツとしてのそれぞれのディテールの理由がハッキリしていた時代だったからかも知れないね。 

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 本革製のパッチラベル。あくまで私見だけど、ボクはここにベルトを通すというのがLeeのカッコ良さだと思うんだよねェ。 
 早く入荷しないかなァ、何だかこれだけウンチクを教わると単にこの#101Zを「穿きたい」というより「育てたい」という感覚になって来ちゃうもんね。ワクワクするよ。 
 今回は、ワクワク和久井くんに感謝って感じだなァ。次回は何か差し入れを持って行かなくっちゃね。


第114回「マドラス・チェック」

 高校に入ったばかりの頃にね、休み時間に教室の窓枠にもたれて友達と話していて「今度マドラス・チェックのシャツを買いに行こうと思ってさ。」「惑わす・・チェック?何だそれ、女子対策か?」「マドラスだよ、お前知らないの?」そんな会話を交わした事を思い出したよ。
 昔からマドラス・チェックって大好きなんだよね。うちのお店でも毎シーズン、半袖シャツやショーツというとしつこくマドラス・チェックをお約束のように並べるし、ボク自身も間違い無く毎年着ているよ。そして毎年同じようなアイテムが自宅のクローゼットに増殖し続けているんだよね。(しかし、懲りないねェ)だけど汗ばむような季節にサラリとした、あの素材感、そして洗い込む程にそれぞれの色が褪めて寝ボケたような感じになるのが、やっぱり最高にカッコいいと思っているよ。   

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 ただマドラス・チェックは元々生地があんまり強いワケじゃないし、ショーツなんかはある程度穿き続けているとボクなんか自転者通勤だからお尻の所がだんだんスリ切れて生地が薄くなり最後には破けちゃうんだよ。つい去年の夏にもお気に入りだったパッチマドラスのショーツが信号で止まった時に異音と同時に突然ゴミになっちゃってね。仕方が無いからお店に着いて自転車を停めたらバッグで後ろを隠して事務所まで小走りで行って何とか事無きを得たけど、毎度の事ながらカッコ悪かったよ・・・  
 高校1年生の時に初めて1人でVANショップに行き、自分でお金を払って買ったのがマドラス・チェックの半袖ボタンダウンシャツだったんだよね。それまでは中学の時が制服だったからボタンダウンはもっぱら白のオックスフォードで、後はブルーのギンガム・チェック辺りが休日用みたいなカンジでね。 
 ところが高校に入っていきなり私服通学になったもんだから、そんなに洋服をあれこれ沢山持っていたワケでも無いボクは毎日何を着て行こうかと考えちゃってもう大変でさ、ただ最初の頃だけは怖い先輩に目を付けられないようにネイビーのコッパンにブルーオックスのシャツみたいな大人しい格好をして居たんだけど、だんだん慣れて来ると早速新しいシャツが欲しくなって来たんだよね。ちょっとだけ気になっている女のコにも見てもらいたいし。  
 それまでは、月に一度はデパート歩きが趣味?という母親に荷物持ちという名目で着いて行っては頃合いを見計らってVANショップやKENTショップに引きずって行き、何か一点セーターだとかシャツなんかを、おねだりするのがお約束でね。母親は仕事で洋裁をしていたからスタッフのお兄さん達が素材だとか細かいディテールやボタン等の話しをするのを「はい、はい・・」といつも聞いていて、大概は理解しているようだった。  
 ところが初めてボク1人でお店に行ったから、顔見知りのお兄さんが「今日、お母さんは?」って聞くんだけど、まだ子供扱いされて(実際は子供だったけど)いるのがスゴくイヤで「これからは、1人で来ますから。」などと言いながら柄の気に入ったマドラス・チェックのシャツを探し出して「コレのM有りますか?」   

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 そしたら、「これはプルオーバーだよ。分かる?」「え?」「被って着るんだよ。」「へェ~、そんなのが有るんですか?」ショップに置いて有ったメンクラのページを見せてもらい「こういうのだよ、カッコいいでしょ。いつも有るワケじゃないから、まず滅多にヒトと被らないし・・」特に最後の一言が強烈に効いたね。マドラス・チェック好きに加えて、ボクのプルオーバー好きに火が付いた瞬間でも有ったんだよ。どうもこの頃から、ヒトと違うモノ、レアなモノ、入手が困難なモノ等という嗜好傾向が確実に形成され始めていたような気がする。  
 お金を払って帰る時に、スタッフのお兄さんから「マドラスは洗う時に色が出るから、絶対に単独で洗うようにお母さんに必ず言って。」言われた。そして帰って母親に見せたら「また随分派手なのを買ったね。だけどこのデザインはアイロン掛けが難しいんだよ・・」言われながら、早速思い出して色落ちの事を言ったら「あァ、これ印度格子か。」マドラス・チェックと呼ぶのは知らなかったみたいだった。  
 その頃のマドラス・チェックは原始的な染色をしていたんだろうねェ、伝統的な草木染めの手織り素材で、洗うと色が出るのが本物のマドラスだとメンクラには書いて有ったし、確かVANのシャツにも、そのような事が書かれた下げ札が付けられていたと思うよ。業界用語的には、その色落ちの事を「泣く」と言い、英語では"Bleeding"だと後にシャツメーカーのヒトから教わった。  
 更には、その昔インドのマドラス地方(現チェンナイ)を統治拠点にしていたイギリスの東インド会社がスコットランドのタータン・チェックを現地の染色や織物技術で再現しようとしてマドラス・チェックが生まれた・・と何かで読んだ事も有って、な~るほど、そんな歴史が有るのかァ・・・なんて感心した事も有ったよ。 
 現在は、マドラス・チェックも品質が随分安定したモノが供給されているんだよ。 

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 ところで映画に登場するマドラス・チェックのボタンダウンシャツと言えば、やっぱりボクは「アメリカン・グラフィティ」のカート・ヘンダースンを演じたリチャード・ドレイファスを思い出すよ。ちょうど映画が公開されたのが74年だったからボクが上京して来た年でも有ってね、それで主人公達の境遇と自分の境遇がダブっちゃって、ラストではちょっとだけ感傷的になった。若かったよ・・・ 
 ところが一方で自分のファッションは既にその頃アイビーを卒業したつもりになっていたのに、やっぱりアメリカ人の着るアイビーはカッコいいなァ・・全然古臭く無いや、などとスクリーンを食い入る様に観ながらあらためて思っていた事を思い出したよ。「アメリカン・グラフィティ」は、その一回で大好きな映画になってしまい、その翌週も2回目を観に行った。多分今までに30回くらいは観たような気がするよ・・・

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 少し話しが戻るけど、半袖のシャツに始まり次はショーツだとかネクタイ、スウィング・トップ、更にはハンカチや財布までマドラス・チェックだらけになって来たボクが次に買ったのが、VANのスニード・ジャケットという名前(プロゴルファーのサム・スニードから命名したんだと多分ショップのお兄さんから聞いた。)のカーディガンのような裏地の無い一重のアウターでね。画像の左側の柄だった。これは、とても使い勝手の良いアイテムでTシャツやハイネックの上に羽織ったり、またある時はホワイトオックスのボタンダウンを中に着て、そして細身のネイビーのニットタイを締めたりしていたんだよ。 
 ただ、当時はめちゃくちゃカッコいいと思っていたんだけど、今発売したらきっと微妙だよね・・・  

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 そんな事を思い出しながら、去年の秋頃久し振りにマドラス・チェックのアウターを何か作ってみようかな?って考えて居たんだよね。ただ、スウィング・トップは何年か前に一度作ったから、そうだ!そろそろアイツを作ってみるか。思い付いたのがマドラス・チェックのジップ・パーカなんだよ。コレ、かなりカッコいいと思うなァ・・・ 
 元々は画像左側に有るような60年代アイテムのイメージなんだけど、実際は80年代初頭くらいまでアメリカでも結構普通に見る事が出来たし、「る~ふ」時代もZERO KINGだとかOUTLANDISH TRADERなんていうブランドのモノを扱っていたんだよ。 
 春先からのベージュやネイビーのコットンパンツやホワイトジーンズ、そして更にはサマーリゾート時のバミューダショーツなんかに恐ろしく相性が良いアウターで、インにはボタンダウンやラコステだけで無くポケTやプリントTなんかにもOKだし、すこぶる使い勝手の良いアイテムだったんだけど、気が付いたら最近は全く見なくなっちゃったよね。 

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 で、どうせ作るのなら・・と思い、久し振りに35サマーズさんに出向き、「今度は何の企みですか?」と既に半歩引いて斜めに構えている担当者をあの手この手で陽動作戦に陥れ、何とか説き伏せて大好きなMIGHTY MACのARO-DECK PARKAを半ば強引にマドラス・チェックで作る事が出来た。 
 ただ独特のゴツいジッパーと大型のT型スライダーが付く事も有って強度的に少し不安だから、まずはちゃんと裏地を付ける事にして、そして表地のチェックも柄の出方や風合いはパッと見、マドラス・チェックなんだけど、実は日本製の打ち込みの良い「それ風」の強度的に優れた生地を色々な生地メーカーから1柄ずつ探して来たんだよ。 
 後は入荷を待つだけなんだよね、楽しみだなァ・・・ボクは赤が入った柄が良いかな?いや、自分で散々選んで気に入って注文した柄だから最終的には全色だなァ。コレ着て自転者通勤するといい気持ちだろうね、楽しいよ、きっと・・・早く桜でも咲かないかねェ。


第113回「ボクの、お気に入りのお店」

 前回のブログを見た口の悪い先輩から「何なんだよ、あのブログ・・マニアック過ぎて、あれじゃウケねェよ!オレも分かんねェし・・・」お叱りを受けちゃったもんね。だから今回は、グッと方向性を変えて分かり易い話しにする事にした。  
 最近お休みになると何故か無性に覗きに行ってみたくなるお店が有ってね。古書の街、神田神保町のすずらん通りに有る「マグニフ」さん、ここはホントに楽しいんだよ。 


 ボク、元々はあんまり古書や古雑誌にスゴく興味が有ったワケじゃ無いから神保町の古書店街に全然詳しくは無いんだけど、何年か前に友達が「お前の好きそうな店が神保町のすずらん通りに有るよ。」と教えてくれたのがきっかけで訪ねたのが最初だったんだよね。 
 お店の構えはこんな感じ。オーナーさん自らがペンキ塗りをしたというカワイイ入り口は一般的なイメージで言う古書店とは違ってかなりポップな佇まい。コレはポイント高いと思ったね。だって、いつ行っても若い女のコが出入りしてるもん。 

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 そしてウィンドウを見ても分かる通り、このお店はファッションやカルチャー系のジャンルにとても強く、それらに関する雑誌や書籍を主に取り扱う言わば古書の"セレクトショップ" なんだよ。 
 そして特にボクが気に入っているポイントは何と言っても、トラッドやアイビー、デニムやワークにウェスタン、そして更にサープラス等と、いわゆるアメリカン・メンズクロージングに関連する雑誌や書籍が、洋の東西を問わず充実している事なんだよね。本当にあれこれ見ていると全部欲しくなっちゃうもんね。  
 こういった嗜好傾向の明確なジャンルのものだけを予めセンス良く集めてくれている・・というのが"セレクトショップ"たる所以だと思うし、自分達がアパレルの世界でやっている事と全く同じ考え方だと思うんだよ。 
 勿論、人に依っては、時間を掛けて神保町の古書店巡りをし、それこそ考古学的に「掘り出す」瞬間や「大発見」を楽しんでいる方もいるだろうし、それぞれの楽しみ方が有って良いと思うんだよね。だけどボクの場合は時間を掛けずに目指すモノを選んだら、その後はオーナーさんとダラダラと世間話をするか「さぼうる」か「ラドリオ」にでも行ってコーヒーかビールでも飲みながら買った雑誌をワクワクしながら眺めるという方が断然好きだなァ・・ 

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 店内を少し紹介すると、左の画像がVANジャケットをキーワードにした、いわゆるアメトラ関連のコーナー。すぐ横には昭和の時代の「メンズ・クラブ」がびっしりと揃っているラックが有って、何と穂積先生のアイビーボーイポスターのオリジナルが上の方に有るよ!これ売り物なのかなァ・・・幾らなんだろう? 
 真ん中の画像はちょうどウィンドウの裏側で良く見ると上の方にノーマン・ロックウェルが描いた有名な表紙の「サタデイ・イブニング・ポスト」が有るよ。スゴいね・・・ボク実物を初めて見たよ。 
 そして右の画像はアメリカの「エスクワイア・マガジン」のコーナーなんかが有るラックで半世紀以上前のモノと思しきヴィンテージレベルの貴重誌が、さりげなくバサバサと積み上げて有るしね。 
 詳しくは、ぜひ「マグニフ」さんのサイトを覗いてみて欲しいと思うんだけど、(本当は是非実際に行ってみて欲しい)とにかくアメリカン・カルチャーを軸としたファッションと洋画と音楽が大好きなボクにとっては本当にパラダイス状態で1日中そこに居たいくらいだよ。お酒でも出してくれれば絶対に帰らないもんね。 
 当然ボク達、セレクト系のアパレル業界の中に居るヒト達にも、ここのお店のファンは多くて、時々遭遇するよ。ケネス・フィールドの草野さんなんかも、あの調子じゃかなり頻繁に出入りしているんだろうなァ・・・ 
 ところで最近トシを取ったせいか時折取材なんかで60年代や70年代の話しをする時に、当時のファッションや風俗はおおまかには思い出せても、ちょっとしたその周辺のアイテムや、その時に公開されてファッションに影響を与えた映画だとか、好きだった女のコと一緒に聴いたヒット曲なんかは、何となく「あの頃」というアバウトな感覚だけで、バラバラとジグゾーパズル的に思い浮かぶだけ浮かんだとしても、それらのピースが全然繋がらない事が多いんだよ。前後関係が曖昧な事も有るしね・・・  
 そんな時に一番有り難い存在なのが当時のファッション誌や情報誌なんだよね。「平凡パンチ」「POPEYE」「CHECK MATE」「MEN'S CLUB」「HOT DOG PRESS」etc.・・・時に「an an」や「Mc.Sister」なんかもね。 当たり前だけど全て発行日が記載されているから本当に「その時」の生々しい情報(広告や、くだらない情報も含めて)が画像と文字で一冊に凝縮されていて、こう言った部分に関しては、後で都合良く編集し直されたインターネットの情報ではちょっと真似出来ないように思うんだよね。 
 だからボクにとってはとても有り難い、話題の裏付け的存在であり、また当時の貴重な情報源になっているんだよ。今さらながら昔の忘れ物を取りに行くような気持ちだけどね。 

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 他にも紹介し切れないくらいステキな雑誌や書籍がこちらを向いていて眩しいくらい。本当に好きなヒトにとっては、ちょっと壮観だと思うよ。 
 最近気が付いたんだけど、ここのお店のスゴい所はオーナーさんが様々な雑誌や書籍の内容をある程度データベースにされているところ。だから先日も「70年代 アメ横 」「80年頃 ラコステ」なんていうキーワードで探して頂いたら。これと、あれと・・・あ、女性誌でもいいんですか?なら、これもありますよ、なんて言いながらヒョイヒョイと出して頂けるんだよね。これにはボク、かなりビックリしたよ。「ヒッチコック特集」って聞くと、やっぱりサラッと出て来るしね。さすがだと思ったよ。うちの近所に有る大型量販系古書チェーンとは全くの別物で瞬時に価格差を意識外に追いやってしまう感じだね。同じセレクト販売をする立場として大いに付加価値の在り方を学ばせて頂いている。  

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 ところでこないだ一瞬欲しくなっちゃったのが、上の「エスクワイア」のマスコット、「エスキー」のPOPスタンド。「わァ!」言った瞬間に察したオーナーさんから先に「非売品なんですゥ・・」言われちゃった。アハハ、ダメだったかねェ・・・それで年明けに会う予定のマックイーン・ファンの友達のお年賀代わりにしようと思って2冊買って来たよ。 

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 こちらが、オーナーの中武康法(ナカダケ ヤスノリ)さん。お話し好きのとっても優しいヒト。ご自分でもドラムを演奏する程の大の音楽好きでボクと同じ初期ビーチボーイズの大ファンでね。そしてアイビーやアメトラが大好きでいわゆるアメリカン・カルチャーにとても詳しい方なんだよ。 
 だから話し出すと終わらなくなっちゃうんだよね。だけどボク・・・時々、本当は結構ジャマなんだろうなァ・・・ 
 みなさんも、もし可能なら一度実際に行ってみてね。そしてあくまで"引き際"を意識しながらオーナーさんと色々と話してみて下さい・・・一発でハマるから。
 ストライプの入ったニットと言えば、今だったら多分当たり前のようにフレンチボーダーのニットやチルデンセーターを真っ先に想像するよね。 

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 でも知っている人は余り多く無いと思うけれど、アメリカで60年代から70年頃まで生産されていたフロントとかフルボディにストライプが入ったデザインのニットが有るんだよ。今は似たモノでさえほとんど見かけないんだけど、タテの太いストライプが走ったカーディガンや、フロントに大きくVラインが入ったセーターだとかがカッコ良くってね。そんなのがボク大好きだった。 
 今回は、そんなほとんどのヒトが知らないようなウルトラ・コアなアイテムの話題にする事にしたから、読んでいてつまらないヒトはトイレに行っちゃっていいからね。 

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 またまた古い話しなんだけど、ちょうど77年秋頃から徐々に始まったプレッピーの時代がまた複雑に変化をし始め、その後のマリントラッドなんてのも、あっけなく終息を迎え、そして新しい潮流のCPカンパニーやジルボーなんかのイタリアン・カジュアルの波が訪れ始めた頃の話しね。 
 そろそろ20代の後半に差し掛かっていたボクは、店頭に並ぶ先輩の仕入れたそれっぽい商品を眺めながらもイタリアンの流れになかなか興味が湧かなくてね、その反動からか完全に時代に逆行し、そんな古臭いオールドアメリカン?のアイテムを時々これ見よがしに着ていた時代が有ったんだよね。(イタカジも一応は着ていたよ、CLOSEDのペダルプッシャーを穿いてPUNCHのシャツを着、靴は何故かADIDASのOFFICIALだったりしたよ。見事に何も残っていないけど・・・苦笑) 
 ところで、画像に有るようなこういう柄って本当は当時何と呼んでいたんだろうねエ・・・今さらだけどボク全然知らないや。 
 で、試しに65年のSEARSのカタログを見て、ちょっと呼び名を調べて見たら、上段左からALL-OVER STRIPE、上段中は、FRONT PANEL STRIPE、そして上段右は、VERTICAL BLAZER STRIPEなんて呼んでいたみたいだね。下段のVネックのプルオーバーは、"V"-INSERTED PANEL STRIPEだって。アハハ、やっぱりボクには全然憶えられないみたい・・ 
 ところで上の画像のカーディガンについては、実は自分のモノが1着も残っていなくて、全部当時のアメ横時代の先輩からのお下がりなんだよね。一方Vネックのプルオーバーは自分のモノなんだけど知らない間にサイズが縮んで小さくなっていて(イヤ、ホントは太ったんだ・・・)今は着られなくなっちゃったもんね。 
 でも、ちょっと着てみたいかなァ・・試しにスチームアイロンで横に伸ばしてみたらどうだろうか?着られるようになるんだろうかねエ・・・伸ばす限界が有るんだろうなァ。 
 SEARSのカタログには、カッコいいのがいっぱい載っていたよ。タイムマシンに乗ってお買い物に行きたいよね。画像にも有るように、カーディガンに細っこいタイをする感じが、何とも言えず好きだなァ・・・ 
 ボクは、時々2インチ幅くらいのダークカラーのレジメンタルやニットのナロータイをボタンダウンだけじゃ無くて、ピンホールカラーやタブカラーなんてのもカーディガンに合わせていたよ。周りからは絶対変だ!と言われていたけどね。 
 
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 ところで下の(8)のカーディガンは、ひょっとしたら先輩からお下がりのブルーのモノと同じアイテムだね!しかも色違い。今回カタログを眺めていて偶然見つけたんだよ。「あ~っ!おんなじだァ~!!」ってなもんだった。何だかスゴい発見だよね・・・ 
 半世紀前のCAMPUSにSEARSがOEMで発注したモノなのかなァ・・だけど、先輩も良くこんなのをデッドで見付けて来たよね、アメリカで見つけたのかなァ・・。当時は$14.83だってさ。今なら1,800円くらいだね・・・キロ単位で段ボールごと買いたいぐらいだよ。 

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 その頃「アメリカかぶれ」を自認するボクにとって、一時はこんなテイストのニットがSTA-PRESTのテーパード・パンツや、T/C素材のボタンダウンシャツと共にご自慢のアイテムだったんだよ。わざわざ変な色の組み合わせだとかにして、本当は思い切り時代遅れな格好のクセに自分は世界一カッコいいなどと思って調子に乗って舞い上がっていた。 
 そしてよせばいいのに60年代モノの特徴であるサイドに付いているボタン・スリットを見せびらかしたくて真冬なのにセーター1枚で寒いのを我慢して見事にカゼ引いちゃった事まで有るよ。今も全然変わっていないけれど、当時からボクは筋金入りの大バカだった。  
 時々、取材なんかで聞かれる事が有るけれど今でも「好きだと聞いているアメリカンファッションの中でも一番好きな時代はいつ頃ですか?」と聞かれるとやっぱり64年くらいをピークに一旦成熟したアイビースタイルが次の流れに向かって変化をし始めた60年代中頃から70年頃の、ちょうどこの様なアイテムが多く存在した時代が、新しいデザインや素材も含め試行錯誤の結果生み出された面白いモノがいっぱい有って、やっぱり一番好きです!・・って答えているよ。実際は、変なモノも多かったけどね。 
  
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 ところで「アメリカかぶれ」と言えば、ちょっと遡るけど60年代の後半頃、一世を風靡したGSブームの中では飛び抜けて音楽も格好もバタ臭さが突出していた異色の存在、あのゴールデンカップスのレコジャケでエディ藩が着ているカーディガンがスゴくカッコいいんだよ。コレ、ボクも欲しいな・・・ 
 おそらくエディさん、よっぽどそれがお気に入りだったんだろうね?別のレコジャケでも同じカーディガンを着ているもん・・・と、思ったら多分このジャケ写は同じ日に撮っているんじゃ無いの?良く見るとデイブ平尾もルイズルイス加部もマモル・マヌーも格好が同じだよ。きっとエディさんとケネスさんだけシャツを着替えたんだね。当時はそんなもんだったのかな?・・・ 

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 じゃァ、ご当地アメリカはどうよ?って言うと、こういうニットを着ていてすぐ思い浮かぶのはやっぱり大好きなビーチボーイズやエヴァリー・ブラザーズかなァ。文句なしにカッコいいよ・・その他にもニール・セダカだとかボビー・ヴィー、サム・クックなんかを思い出せるんだけれど、既に売り飛ばしちゃったレコードだとか、その時代を特集した雑誌だとかで、紹介出来る画像が全然無いんだよ。ゴメンね・・・ 

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 でも正直言って周りの服好きの連中の間でさえ、こういうニットはまず話題になる事なんか無いし、まさか今復刻させたら売れるかな?なんて思うヒトも居ないんだろうなァ。だから業界の中を見渡してもほとんど目撃した事が無いもんね。古着屋さんに行けば意外に当時のモノが有ったりするのかな?・・・ 
  まァ、強いて言えば超の付くくらい高級品過ぎるけれどオーストリアの老舗"FANNI LEMMERMAYER"(ファンニ・レンメルマイヤー?レマーメイヤー?どっちなの?)の名作、アルパカ・カーディガンなんかが、かなり良いムードだよと言えば、確かにそうなんだけどね。でもボクは、すぐ引っ掛けちゃったりするから勿体無いし・・アクリル製で我慢するよ。それに、値段よりカッコいいかどうかが勝負ポイントなんだから。と、言いつつホントは欲しいんだけどね・・・先週、通りがかった代官山のショップのウィンドウに出ていたよ。 

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 ところでそんなスタイルを初めて意識し始めたのは、73年に入った高3の頃だったと思うけど、アイビーからだんだん遠ざかり始めたボクが、まずハマったのはその頃関西ではニューアメリカン・スタイルなどと呼んでいたニュートラやウェスト・コーストスタイルの原型みたいな格好だった。そして、それとは別にその頃、好きになって聴くようになり始めた60年代オールディーズのシンガー達の格好も気になり始めていて、まずこの時がたぶん最初のきっかけだったんだよね。 
 その頃オールディーズの国内盤のレコードなんて、ほとんど廃番になっていた時代で輸入盤のセールや中古盤でしか手に入れる事が出来なかったけれどレコジャケの写真になっているファッションはカッコいいのが多くてとても新鮮だった。そして小さい頃、当たり前のように観ていたTVのアメリカン・ホームドラマのファッションともシンクロして、よりリアルに思い起こさせてくれたんだと思うんだよね。 
 たまたま手元に有ったその頃に出たメンクラのアイビー特集号を今見てみると、そんなようなストライプのニットアイテムが、ちゃんと出ていたんだねェ・・。だけど、う~ん・・ちょっとだけ違うよなァ。こうじゃ無くて・・・まァいいか。だけど、こういうアイテムってアイビー特集号に掲載するようなアイビーのワードローブになるの?まァ、今さらどっちでも良いけどね。 

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 話しが戻るけど、その、オールディーズ時代のシンガー・スタイルというのは言わば60年代の格好だから、前半の頃はちゃんとアイビーっぽい人達も居たんだよ。だけど巷で言うアイビーに似てはいるけど、それぞれのアイテムの色使いや柄なんかにちょっとヒネリが入っているんだよね。 
 勿論ボタンダウンも着るしスリッポンも履くんだけど、アイビーの持つ爽やかさというよりは、もっとクセの有るスタイルに演出されている事が多くてね。パット・ブーンくらいだよ、そのままアイビーだったのは。 
 ボクが目指していたのは例えば「ビキニスタイルのお嬢さん」でお馴染みのブライアン・ハイランドみたいなイメージだったかな。(このシャツの柄も最高にカッコいいよね)ファッションも勿論だけど、特にこういうヘアスタイルは本当にカッコ良くて憧れてね。 
 床屋さんにレコジャケを見せて、こういう髪型がしたい・・相談したら「あ、無理!」ってさ。ボクの天パーでネコっ毛では最後まで実現不可能だったんだよ。パーマとかスプレーとかというレベルで解決する問題では無かったみたいだ。髪の色も違うし・・・ 

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 そして髪型と言えば、一度も話した事は無かったけど、いつもボク達悪ガキが集まっていた喫茶店に来る少し年齢の離れたオシャレな先輩が(ちょっとおっかないから最後まで話しかける勇気が無くってね)そういう60年代っぽい格好を時々していてボクは最初「ヘアスタイルが?だけど、少し変わったアイビーでカッコいいなァ・・」くらいに思っていたんだよね。太いストライプのカーディガンに細いニットタイをしているんだよ。 
 いつも洋モクのLARKとかWINSTONで火の付け方だとかの仕草がカッコ良くて、英字新聞をケツのポケットに突っ込んで居たりしてね。ところがヘアスタイルがGIやケネディとかクルーでも無く前髪を長く伸ばしていつも中途半端な7:3だから、ボクはあの髪型だけはもうちょっと何とかすれば良いのに・・くらいに思っていたんだよね。ところが後日気が付いたんだけど、あれはひょっとして初期のブライアン・ウィルソンの髪型を意識していたんだろうかね?なんて思っている。(違うかも知れないけどね)今となってはもう分からないんだけど、何度かその先輩とレコード屋さんでも会った事が有るから音楽好きなんだろうし、何だか今はそんな気がしているよ。 

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 ボクはその先輩の格好の真似をしようとしてね。だけど基本的にモノが無いのでまずは、従兄弟からLACOSTEのちょっとオッサン臭い色の太いタテ縞柄のカーディガンを無断で拝借し、濃い水色の日本製WRANGLERのカラージーンズのセンターにアイロンでピシっと折り目を付けインスタントのプレスジーンズを作り、VANのボタンダウンに無地のニットタイ。そして買ったばかりのSEBAGOのスコッチのヴァンプを履いてみたんだよ。 
 そしたら何となく、それっぽく見えたからちょっと嬉しくてね・・・ところが家に帰ったら何故かカーディガンを勝手に着て行った事が従兄弟にバレていて、おまけにタバコ臭くなったから、それからはお願いしても、なかなか貸してくれなくなっちゃった。 
 そんな頃、仲良しの別の先輩に喫茶店でその「変なアイビー」の事を聞いたら「○○さんのは、神戸っぽいヤンキー・アイビーだ」って言うんだよね。本当だったかどうか分からないけど「大阪ヤンキーと神戸ヤンキーが居て、神戸ヤンキーの方が格好は大人しいけど輸入モンの高いモノを着ているんだよ」などと教えてくれた。今思えばその年上の○○先輩の格好が、そんな60年代のヤンキー臭いテイストがバッチリ入っていたのかも知れないなァ。と、まあその頃は勉強もせずにそんな事にばかり時間やエネルギーを使っていたんだよ。あ、お金も・・・  
 その後、上京しアメ横に通い始め、しばらくしたらそんな60年代アイテム、それもアメリカ製の本物が何軒かのお店でバラバラと眠っている事を発見し始めたんだよね。 
 ただ本当にラッキーだったのは、70年代でもまだアメ横でそういったモノがあちこちで残っていた事だよね。ずいぶん色々なアイテムを見つける事が出来たんだよ。そして「る~ふ」に入ってからは、それこそ毎日アメ横に居たワケだから「守屋商店」や「マルビシ」に飽き足らず、あっちこっち「お宝(デッドストック)探し」にウロウロしてね。 
 婦人服や子供服の「笹原商店」だとか、下着や雑貨等を扱っていた「いがらし商店」も、昔はPXから男物が入っていたって言うから古い在庫(残り物?)を見せてもらって安く引き取らせてもらったり、更には「根津商店」の根津神社のところに有る倉庫まで遠征したり、「マルセル」に居た後輩に倉庫探検をしてもらってお宝を発掘してもらったりとかね。 
 やっぱり周期的に、まだバラックだった頃のアメ横に時々戻りたくなるよ。きっと楽し過ぎたんだよねェ・・・もう二度と来ないよ、あんな時代。先輩も後輩も仲間達、みんな毎日それぞれ好き勝手な格好をしてね。 
 ところで ↓ モノクロ画像のおネーさん、カッコいいVネックでファンキーだね。Vの間がちょっと広がっちゃった?みたいだけどカッコいいよ。そして右側に当時のスタイリングを思い出して作ってみたよ。ボクは、こんな感じの格好をしていたんだよね。だけど今見るとちょっとカッコ良すぎたかねェ・・・これじゃウケなかったワケだよ。 

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 ↓ 当時の広告。当店じゃ沢山引き受けられないから誰かシャレの分かるセンスの良いメーカーさんが本気でこういうアイテムを復刻してくれないかなァ?ボク、ちょっとだけ欲しいんだよね。特に ↓ 一番左のヤツがいいんだけど。

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