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第113回「ボクの、お気に入りのお店」

 前回のブログを見た口の悪い先輩から「何なんだよ、あのブログ・・マニアック過ぎて、あれじゃウケねェよ!オレも分かんねェし・・・」お叱りを受けちゃったもんね。だから今回は、グッと方向性を変えて分かり易い話しにする事にした。  
 最近お休みになると何故か無性に覗きに行ってみたくなるお店が有ってね。古書の街、神田神保町のすずらん通りに有る「マグニフ」さん、ここはホントに楽しいんだよ。 


 ボク、元々はあんまり古書や古雑誌にスゴく興味が有ったワケじゃ無いから神保町の古書店街に全然詳しくは無いんだけど、何年か前に友達が「お前の好きそうな店が神保町のすずらん通りに有るよ。」と教えてくれたのがきっかけで訪ねたのが最初だったんだよね。 
 お店の構えはこんな感じ。オーナーさん自らがペンキ塗りをしたというカワイイ入り口は一般的なイメージで言う古書店とは違ってかなりポップな佇まい。コレはポイント高いと思ったね。だって、いつ行っても若い女のコが出入りしてるもん。 

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 そしてウィンドウを見ても分かる通り、このお店はファッションやカルチャー系のジャンルにとても強く、それらに関する雑誌や書籍を主に取り扱う言わば古書の"セレクトショップ" なんだよ。 
 そして特にボクが気に入っているポイントは何と言っても、トラッドやアイビー、デニムやワークにウェスタン、そして更にサープラス等と、いわゆるアメリカン・メンズクロージングに関連する雑誌や書籍が、洋の東西を問わず充実している事なんだよね。本当にあれこれ見ていると全部欲しくなっちゃうもんね。  
 こういった嗜好傾向の明確なジャンルのものだけを予めセンス良く集めてくれている・・というのが"セレクトショップ"たる所以だと思うし、自分達がアパレルの世界でやっている事と全く同じ考え方だと思うんだよ。 
 勿論、人に依っては、時間を掛けて神保町の古書店巡りをし、それこそ考古学的に「掘り出す」瞬間や「大発見」を楽しんでいる方もいるだろうし、それぞれの楽しみ方が有って良いと思うんだよね。だけどボクの場合は時間を掛けずに目指すモノを選んだら、その後はオーナーさんとダラダラと世間話をするか「さぼうる」か「ラドリオ」にでも行ってコーヒーかビールでも飲みながら買った雑誌をワクワクしながら眺めるという方が断然好きだなァ・・ 

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 店内を少し紹介すると、左の画像がVANジャケットをキーワードにした、いわゆるアメトラ関連のコーナー。すぐ横には昭和の時代の「メンズ・クラブ」がびっしりと揃っているラックが有って、何と穂積先生のアイビーボーイポスターのオリジナルが上の方に有るよ!これ売り物なのかなァ・・・幾らなんだろう? 
 真ん中の画像はちょうどウィンドウの裏側で良く見ると上の方にノーマン・ロックウェルが描いた有名な表紙の「サタデイ・イブニング・ポスト」が有るよ。スゴいね・・・ボク実物を初めて見たよ。 
 そして右の画像はアメリカの「エスクワイア・マガジン」のコーナーなんかが有るラックで半世紀以上前のモノと思しきヴィンテージレベルの貴重誌が、さりげなくバサバサと積み上げて有るしね。 
 詳しくは、ぜひ「マグニフ」さんのサイトを覗いてみて欲しいと思うんだけど、(本当は是非実際に行ってみて欲しい)とにかくアメリカン・カルチャーを軸としたファッションと洋画と音楽が大好きなボクにとっては本当にパラダイス状態で1日中そこに居たいくらいだよ。お酒でも出してくれれば絶対に帰らないもんね。 
 当然ボク達、セレクト系のアパレル業界の中に居るヒト達にも、ここのお店のファンは多くて、時々遭遇するよ。ケネス・フィールドの草野さんなんかも、あの調子じゃかなり頻繁に出入りしているんだろうなァ・・・ 
 ところで最近トシを取ったせいか時折取材なんかで60年代や70年代の話しをする時に、当時のファッションや風俗はおおまかには思い出せても、ちょっとしたその周辺のアイテムや、その時に公開されてファッションに影響を与えた映画だとか、好きだった女のコと一緒に聴いたヒット曲なんかは、何となく「あの頃」というアバウトな感覚だけで、バラバラとジグゾーパズル的に思い浮かぶだけ浮かんだとしても、それらのピースが全然繋がらない事が多いんだよ。前後関係が曖昧な事も有るしね・・・  
 そんな時に一番有り難い存在なのが当時のファッション誌や情報誌なんだよね。「平凡パンチ」「POPEYE」「CHECK MATE」「MEN'S CLUB」「HOT DOG PRESS」etc.・・・時に「an an」や「Mc.Sister」なんかもね。 当たり前だけど全て発行日が記載されているから本当に「その時」の生々しい情報(広告や、くだらない情報も含めて)が画像と文字で一冊に凝縮されていて、こう言った部分に関しては、後で都合良く編集し直されたインターネットの情報ではちょっと真似出来ないように思うんだよね。 
 だからボクにとってはとても有り難い、話題の裏付け的存在であり、また当時の貴重な情報源になっているんだよ。今さらながら昔の忘れ物を取りに行くような気持ちだけどね。 

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 他にも紹介し切れないくらいステキな雑誌や書籍がこちらを向いていて眩しいくらい。本当に好きなヒトにとっては、ちょっと壮観だと思うよ。 
 最近気が付いたんだけど、ここのお店のスゴい所はオーナーさんが様々な雑誌や書籍の内容をある程度データベースにされているところ。だから先日も「70年代 アメ横 」「80年頃 ラコステ」なんていうキーワードで探して頂いたら。これと、あれと・・・あ、女性誌でもいいんですか?なら、これもありますよ、なんて言いながらヒョイヒョイと出して頂けるんだよね。これにはボク、かなりビックリしたよ。「ヒッチコック特集」って聞くと、やっぱりサラッと出て来るしね。さすがだと思ったよ。うちの近所に有る大型量販系古書チェーンとは全くの別物で瞬時に価格差を意識外に追いやってしまう感じだね。同じセレクト販売をする立場として大いに付加価値の在り方を学ばせて頂いている。  

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 ところでこないだ一瞬欲しくなっちゃったのが、上の「エスクワイア」のマスコット、「エスキー」のPOPスタンド。「わァ!」言った瞬間に察したオーナーさんから先に「非売品なんですゥ・・」言われちゃった。アハハ、ダメだったかねェ・・・それで年明けに会う予定のマックイーン・ファンの友達のお年賀代わりにしようと思って2冊買って来たよ。 

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 こちらが、オーナーの中武康法(ナカダケ ヤスノリ)さん。お話し好きのとっても優しいヒト。ご自分でもドラムを演奏する程の大の音楽好きでボクと同じ初期ビーチボーイズの大ファンでね。そしてアイビーやアメトラが大好きでいわゆるアメリカン・カルチャーにとても詳しい方なんだよ。 
 だから話し出すと終わらなくなっちゃうんだよね。だけどボク・・・時々、本当は結構ジャマなんだろうなァ・・・ 
 みなさんも、もし可能なら一度実際に行ってみてね。そしてあくまで"引き際"を意識しながらオーナーさんと色々と話してみて下さい・・・一発でハマるから。

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