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2016年2月アーカイブ

 やっぱり、長年アメ横で鍛えられたせいか、どうしても昔から軍モノって大好きなんだよ(基本的に米軍モノに限るんだけどね)。ところで最近は何だか女のコを中心に#MA-1(ソレ風?なんちゃって風?も含めてだけど)が大人気みたいでさ、あっちこっちでどんどん増殖して、三軒茶屋辺りですらゾロゾロ見るもんね。 
 ファッションは、いつか繰り返すって言うけど、このアイテムがトップステージに上がるのは本当に久し振りだと思うよ。多分、前回の#MA-1ブームってボクの記憶では86年~87年くらいだったと思うからちょうど30年くらい前の事だもんね。ビックリだよね、もうそんなに経つの?って感じだ。 
 元々80年の暮か81年頃にスティーブ・マックイーンの"HUNTER"が公開され、その中で彼がLee #200 RIDERSの上に着用していた#MA-1が1つのきっかけでアメ横では(少なくともボクの周りでは・・だよ)ジワジワと#MA-1の人気が出始め、そしてその後アメリカでは日本に先駆けて、トム・クルーズの"TOP GUN"が公開され興行第一位という大ヒットを記録したというニュースが日本にも伝わり"FLIGHT JACKET"という言葉がファッション業界でも一人歩きし始めるようになったような気がするんだよ。 
 そんな事も有って、それまでも人気ブランドだったALPHAやAVIREXが更に注目を浴びるようになったんだよね。 

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 そしてすぐにアメリカのその余波が日本にも押し寄せ始め、ほんの少し後の確か86年にリリースされたKUWATA BANDのレコジャケが、たまたま引き金になったんだと思ったけど、ALPHAから新しくリリースされた新色ブラックの#MA-1を求めてアメ横の中田商店に朝からスゴい行列が出来た事件をついこの間の事のように思い出すよ。誰か行列の人数を数えてたんだっけかね、忘れたけど「うっそ~!」って感じの景色だった。まだネットなんて無かった時代だよ、どうやって集まったんだろうねェ?  
 ちょうど去年の秋頃、知り合いのレディス・バイヤーの女性が「#MA-1って言うのが、やっぱり来るみたいですけど、玉木さん#MA-1って詳しいですか?」「おゥ、まかしとき!」なんてやっていて、古いのがボクもどこかに有るよ・・と、あちこちひっくり返して#MA-1を探していたら先に#L-2A(中綿の入っていないタイプのブルーのモノ)が出て来た。 
 相変わらずさえないルックスだねェ・・と言いつつ何だかんだと、この冬は結局会社のその辺に置きっぱなしにしていて、実は作業着代わりに着ている事が多いんだよね。そう、本当は結構気に入っていたりするんだよ。ただし#MA-1と違って、#L-2は今まで一度もブームになった事が無いんだけどね。 

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 このアイテムのカラーは#L-2Aがエアフォース・ブルーで#L-2Bがセージ・グリーンなんだよ。 
 ただ、この画像の#L-2Aは、ヴィンテージでも何でも無くて90年代に入ってから復刻版を作ろうとしたALPHA の最初の頃のサンプルだったヤツを確か輸入元のサンプルセールか何かで購入したんだよ。以降自分では結構着倒しているんだけど左上腕部のAIR FORCEのインシグニア・プリントも消えかかっていて個人的にはいい味が出ていると思っているんだけどねェ・・しかし見事に全くウケないんだよ・・着ていても誰も話題にしてくれないし。単なるポンコツにしか見えないんだろうなァ・・。  
 #L-2シリーズには中綿が入っていなくて、バルーンシルエットの#MA-1(昔のオリジナルスペックのモノね)よりも細身でもっとスタイリッシュ(ボクが言っているだけね)だから、丸い膨らんだルックスに見えないし、実際に着てみると本当はカッコいいと思うよ。  
 そして#L-2Aも#L-2Bもライニングがレスキューオレンジじゃ無いから、ファッション的に言うとオレンジ色がジャマにならなくてコーディネートやスタイリングが決まりやすいとボクは思っているんだよね。 
 下の画像が後日ちゃんと商品になって発売された#L-2Bで、よせばいいのに乾燥機に入れたらタテに縮んじゃってね、ありゃァ~・・の大失敗!だった。着丈が短くなっちゃったからローライズのパンツを穿くとかなりファンキーなルックスになるんだよ。参っちゃったね~・・やっちゃったよ。 
 あ、今うちの店頭に有るALPHAのデッドストックがコレと同じ93年か94年頃のアメリカ製の#L-2Bなんだよ。でも乾燥機に入れちゃ本当にダメだからね。 

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 あるフライトジャケットに関する記述を見てみるとね、第二次世界大戦中アメリカ航空軍部は、まだ陸軍の統制下に有ったんだけど(ARMY AIR FORCE)1930年代に開発され、それまで着用されていた#A-2に代わって1945年に夏用ジャケットとして採用されたのがカーキ・グリーンの#L-2だという事だった。そして1947年に航空軍部は晴れて陸軍や海軍と対等のアメリカ空軍(U.S AIR FORCE)として創設されたんだね。 
 その後1950年に勃発した朝鮮戦争の最中の1951年頃に#L-2はエアフォース・ブルーの#L-2Aと進化し1952年から1954年にかけてアメリカ空軍は更にフライトジャケットのモデルチェンジを行い、それまでのエアフォース・ブルーからグレーがかったグリーン(セージ・グリーン)を採用し、この時に誕生したのが#L-2Bだったそうだよ。 
 一方#MA-1は、プロトタイプの#B-15 MODというのが存在はするのだけど、#MA-1というコードネームで誕生したのは折しもジェット時代のアメリカ空軍を象徴する戦略爆撃機#B-52の誕生と時を同じくする1952年からくらいだと言う事だった。 
 だから#L-2の方が少しお兄さんなんだね。 
 だけど、60年以上前に開発された軍服が今現在もアメカジのスタンダードとしては勿論の事、レディスのトレンドアイテムとして、やおらトップステージに登場したりする事がスゴいと思わない?ファッションって本当に奥が深いよね・・・

第115回「Leeの逆襲」

 最近、例のジェームス・ディーンでお馴染み、McGREGORのAnti-Freeze-Jacketを自分の好きなようにディテールを凝りまくったうえで復刻して「いいなァ、これ・・・ボク、還暦記念にT/Cの方もナイロンの方も両方買っちゃったもんね!それに試着してみると色の落ちたデニムにブラックカラーがかなりカッコいいのをあらためて発見しちゃってさ、コレも渋いよ~!もう少し気温が上がらないかなァ・・いつデビューさせよっかなァ。お前も着ない?」などと友達に言いながら自分で喜んでいたんだけど、そいつから「それ着るんだったら、ジーンズはやっぱりLeeだよね?」「ありゃァ~そうか・・・」言われて気が付いたよ。 
 ボクはLeeのデニムでちゃんとサイズが合うのが今1本も無くってさ、どうしてだか全部ウェストが小さくなっていてね、不思議だと思わない?勝手に縮んじゃっているんだよ。「参ったねェ、どうすっかね?」痩せるか、新しく買うしか無いだろ・・って事だよねェ。 

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 画像左は1956年、日本での公開当時のプレスリリースだって。真ん中がそのアップ画像なんだけど、良く見るとバックポケットのステッチが修正して消されてしまっているよね、きっとその時には重大な大人の事情が有ったんだろうなァ。とても不自然に思うけどLeeだと分かっちゃうと誰かがスゴく困る事になったんだよ。右の画像では、そのシルエットが良く分かるよね。やっぱり断然カッコいいよ!敵わないや。 
 シルエットがそんなに太くも見えないなァと思うのはボク自身のウェストサイズと足の長さを全く考慮していないからだろうけど。まァ実際にボクが穿くと、ほんのちょっとだけ違って見えるのかなァ。まァ、いいやね。 
 ところで、Leeのジーンズって最近は余り騒がないように思うんだけど、ボクがアメ横に居た頃、一部のヒトの中にはConverse派とPro-Keds派の対立関係のように、Levi's派とLee派もちゃんと少なからず居たもんだった。いつお店に来られてもLeeのブーツカットデニムにFRYEのリングベルトをし、同じFRYEのリングブーツを履いていたお客様なんかをとても懐かしく思い出すよ。 
 だけどボクはどちらに属するワケでも無いノンポリと言うか雑食派でLevi'sもLeeもゴチャ混ぜに穿いていた。当時「る~ふ」はLevi'sの取り扱いが多かったからLeeは大体いつも守屋商店で買っていたしね。だけど何かの時の勝負パンツはWRANGLERやMAVERICKだったりしたから、考えてみたら確実にその頃からボクはやっぱり少し変わったヤツだったと思うんだよね。  
 まァ、そんな事を思い出しながら久し振りにLeeのデニムが欲しくなったから、ちょっとLee Japanに聞いてみるか・・・で、担当のヒトに聞いてみたら現在はちょうどアーカイブ・シリーズと名付けた日本製の復刻版が各年代ごとに出ているんだよ。やっぱり忠実にディテールを復刻するとなると、やっぱり日本製って言うのがポイント高いよね。ディテールの細かい追い込み方と完成度を追求する美学がやっぱり違うと思うんだよ。 

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 ところがジェームス・ディーンの時代の#101Zってどれなの?って、ボク本当はヴィンテージデニムにあんまり詳しく無いから渋谷で長年ヴィンテージを扱う老舗ショップ、FOVOSのオーナーの和久井さんに教わりに行って来た。実は和久井さん、ボクのアメ横時代の後輩にあたるんだけど当時「る~ふ」の近くのお店に居て、よくお店にも来てもらっていたんだよね。考えてみたら、もう30年以上前の話しだけど。 
 今でも時々古いアイテムに付いて分からない事が有ったりすると教えてもらったりしているんだよ。 
 それで今回も色々と教わって来た。 
「ねェねェ、ジェームス・ディーンの穿いてるLeeのデニムって、どういうヤツ?あれって#101Zでしょう?バックポケットが中心から外脇の方に寄っていて、スゴくカッコいいんだよねェ」 
「本人に聞いてないから分からないっすけどォ、50年代初めの頃の#101Zという可能性も有りますよね?」 
「今、Lee Japanから出ている復刻版で#101Zの52年モデルって言うのが有ってさ、センターの赤タグでセルビッジが片耳のヤツが有るんだけど、あの辺り?」 
「あ、知ってますよ、その復刻版。ところで、あの映画って何年に撮ってるんすか?」 
「記録だと1955年の4月から2ヶ月で撮り終えたって書いて有ったよ。」 
「と、言う事は映画の中では新品じゃ無くて、そこそこ穿き込んでいるモノに見えるからそれ位の年代かも知れないっすね・・・だけど、あの復刻版ってホントに良く出来てますよねェ。アレが古着で混じって出て来たら自分も多分見間違うかも知れないっすよォ。」 
「え?和久井くんでも分からないくらい出来がいいの?」 
「いやァ、スゴいっすよ。今度のは、ホントに良く作ったなァって・・」 
 そんな会話が有って何だかボクは俄然その復刻版が、まず自分で欲しくなっちゃったんだよね。 
 和久井さんから色々と教えてもらったディテールをちょっとここで解説してみるね。画像向かって右側が復刻版だよ。  

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 いわゆる「センター赤タグ」と呼ぶんだそうだけど、内側ベルト部分真後ろに付けられたタグ。   

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 Levi's等には見る事が出来ない「片耳」と呼ばれる仕様がコレなんだって。「何でこんな事をするの?」聞いたら和久井さん「知らないっすよ。生地の取り都合とかじゃ無いっすか?」だってさ。   

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 本来は補強目的で付けられているポケットの中の補強布。これが有るとポケット部分のアタリの出方が微妙に違って来るんだそうだ。やっぱり本来はワークパンツなんだなァ   

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 ヴィンテージムード漂うGRIPPER ZIPPER。このスライダーが付いているだけで嬉しくなっちゃうよね。ボク個人的に大好きなジッパーなんだよ。 

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「奥リベ」って呼ぶと言ったんだっけか?向かって右奥に打たれたリベット。60年代には失われたディテールだと和久井さんから聞いたけど、しかしどうしてあんなに詳しいんだろうねェ・・・。プロフェッショナルを感じるよ、マジ脱帽だ。 

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 登録商標を表す、サークルR(○の中にR)マークがまだ付けられていないピースマークと、そして織り目の綾が左上に上がって見えるいわゆる「左綾デニム」。右綾デニムと違い糸の撚り方向との関係でタテ落ちの現れ方がそれと分かるくらいに違うんだってさ。「へェ~!」ってなもんだった。 

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 スレッド・リベット(☓印に縫われたカンヌキ縫い)も50年代のモノは大きくガッチリと縫われているんだそうだ。まだまだ、ワークパンツとしてのそれぞれのディテールの理由がハッキリしていた時代だったからかも知れないね。 

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 本革製のパッチラベル。あくまで私見だけど、ボクはここにベルトを通すというのがLeeのカッコ良さだと思うんだよねェ。 
 早く入荷しないかなァ、何だかこれだけウンチクを教わると単にこの#101Zを「穿きたい」というより「育てたい」という感覚になって来ちゃうもんね。ワクワクするよ。 
 今回は、ワクワク和久井くんに感謝って感じだなァ。次回は何か差し入れを持って行かなくっちゃね。


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