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2014年7月アーカイブ


 ヴァンプってペニーローファーとはまた少し趣が違って別のカッコ良さが有るよね?なんて言っていて最近は横着をして短パンばっかり穿いているからちょっとだけご無沙汰しているけど、時々テーパードシルエットのパンツを穿くとやっぱり無性にヴァンプを履きたくなる時が有るんだよね。アイビースタイルの学生っぽさよりも、もう少しヤンチャで大人っぽく見える所が大好きだなァ。
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 やっぱり何と言っても王道はFLORSHEIMのコブラヴァンプだよねェ、このYUMAと呼ばれているヴァンプは超シンプルなデザインだけど押しの強いコブラの頭の形のような独特の顔付きでかなり完成度が高いと思うんだよね。ボクなんかデニムやショーツだけじゃ無くってスーツ(今は、まず用事が無いけどね・・苦笑)までコレ履けちゃうもん。1足持っているだけで、かなり守備範囲が広いのにはあらためて驚くよね。
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 ところでFLORSHEIMとは別に最近メチャクチャに気に入っているヴァンプが有ってね。昨年だったかな?下北沢にあるヴィンテージ・ショップの名店"SANKA"の高野さんの所に、あんまりやる事が無いからうちの店からママチャリこいでヒマつぶしに喋りに行ったら「今、ちょうどこんなのが・・」と言いながら画像の THE"AZTEC"と名付けられた"JARMAN"のヴァンプを見せてくれた。見た瞬間に「あっ!コレ欲しい!」で、本当に久しぶりに一期一会の秒殺買いをしてしまったよ。サイズもちょうど良くって本当に「やった~!」って感じですごく嬉しかった。
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 こんな顔付きの、いかにも60年代を感じさせる尖ったトゥのシェイプでスコッチグレインのブラックのヴァンプもずっと欲しかったんだよね。おまけに底が減りにくくて少しくらいの雨でもOKな合成底のヤツ・・・久しぶりにドンピシャの100点満点だったよ。
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 画像は65年のSEARSのカタログからなんだけど、テーパード・トラウザーにヴァンプを履くボクの基本イメージはこんな感じね。メチャクチャにカッコいいよね~、ファッション的にその頃のアメリカはアイビースタイルがベースにはなっているんだけど、それが次第に成熟期を迎え始めた頃のとっても完成度が高いボクの大好きな時代だよ。それに靴やシャツのページを見ても欲しいモノだらけ!おまけにめちゃくちゃに安くってね(苦笑)。ボタンダウンなんて、3ドルか4ドルだし、シェルコードバンのウィングチップだって18ドルだよ!タイムマシンに乗って「大人買い」をしに行きたいよね。

ボクが最初に買ったヴァンプはブラウンのSEBAGOのスコッチグレインのヤツ、だけどNEOLITEという合成底だった。一方仲良しの友達が前後して買ったのはSEBAGOよりも、もっと高級品だった革底のBOSTONIANのヴァンプで一緒に駅のホームとかを歩くと「歩く音が全然違うじゃん。」と、そいつにバカにされていた。ボクはボクで「じゃァ、雨の日に履いてみろよ。チャリンコに乗れる?」などと言い返していた。が、基本的には負けていた。
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ちょうどその頃もボク達はヴァンプという呼び方をしていたけど時々冗談で「のっぺらぼう」なんて呼んでいた。「のっぺらローファー」と呼んでいるヤツも居たよ。

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画像の黒いスコッチグレインのモノは先輩から以前撮影用に借りて来たその当時のSEBAGOだけど、ボクのはコレの色違いだったんだよ。でも随分前にゴミになって捨てられちゃったけど・・・。これは先っちょが少し丸くなっているデザインでヤンチャなムードが少し影を潜めている感じだね。

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一方、アンティークブラウンのモノは60年代っぽいトゥのシェイプで、実はL.L.Bean(ファクトリーはおそらくG H BASS やSEBAGOなんだろうけどね)のモノなんだけど細身のホワイトジーンズには本当に泣けちゃうくらい強烈に合うんだよね、上にボールドストライプやマドラスチェックのボタンダウンなんか着るともう最高の60年代ムード・・・と言いつつ最近までこのヴァンプがずっと行方不明だったんだよ、こないだようやく家の中で発見された時、実はカビが生えていたよ。

ところで、ボク達が普段使っているヴァンプという呼び方ってどこから来たんだろうね?アメリカではヴァンプって呼ばないみたいだもんね。そう思って久しぶりにAll Aboutでもお馴染みの飯野高広くんに電話をして「ねェ、アメリカではヴァンプって呼ばないよねェ?向こうでは何て呼ぶの?」聞いたら「ヴェネシャンだとか、ヴェネシャン・ローファーと呼びますよォ。多分ヴェネチアのゴンドラの形状あたりから由来しているネーミングなんじゃないでしょうか?」だってさ。「だとすればヴァンプは日本独特の呼び方になるワケ?」「おそらくそうなります。ですけど、基本的にヴァンプとは本来革靴の甲の部分を覆い隠す部位の呼び名ですからね、だから思い付きのテキトーな名前を付けてしまったワケでも無いんでしょうねェ・・。」

そうか、なるほどねェ・・などと思いながらどこかにそれを裏付ける何かが無いかな?と思いながら色々とあっちこっち調べていたら意外な所から面白い事実が出て来たんだよ。

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実は最近、イラストレーターの綿谷画伯の家に行ってたまたま60年代ファッションの話しをダラダラとしていたら彼がちょうど65年から66年くらいの古いメンクラを持っていて何冊か出して来てくれてね。「うわァ、スゴいねェ・・・」なんて言いながら一緒に見ていたんだけど結局あれこれパラパラと見ていても話しは尽きないしキリが無いのでお願いしてドサっと借りて来た。それをここ何日か端から端まで眺めていたらあの伝説のVAN REGALの広告が出て来たんだよ。65年なんて言うと、考えてみたらもう半世紀近くも前なんだよね。
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「ヴァン・リーガルの新しいクツ・VAMP」だって。何だそうか、そういう事だったんだよねェ。(ペニーローファーをコインシューズと表記してあるあたりが何だか時代を感じるよね)要するにVANによる和製英語?のひとつだった。スィングトップやトレーナー、ニューポートジャケット等のお仲間なんだね、へェ~全然知らなかったよ。でもこれでスッキリしたもんね!

ついでに色々と見ていたらタウンシューズの紹介記事も有って、そこにはヴァンプの事を「ロースイム(低く縫った)スリップォン」と表記してあったよ。この言い方も随分懐かしいよね、当時行きつけだったVANショップのオーナーさんがヴァンプの事を「ローシーム」って呼んでいたんだよ。どういう意味??なんて当時は思って居たけど要するに甲の部分を広く見せる為にモカシン縫いを低い位置に持って来るデザインの事なんだね、正しくはLow Positioned Seam って言うんだろうかね?
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カッコいい写真も見つけたよ、創刊50号(66年2月号)の中のフットボール観戦中のアイビーな本場ヤング3人衆がテーパード・パンツにヴァンプの理想的な履き方。う~ん、参りました、って感じだね。
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ライアン・オニールのこんな写真が"HOLLYWOOD AND THE IVY LOOK"という写真集の中に有ったよ。カッコいいけどテキストにはFLORSHEIMのコードバンのYUMAだと書いて有るんだよね、えっ??って思ったけど、まァいいや。
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最後のアイテムはちょっと異端児だけどFLORSHEIMの通称(と言うか先輩や自分達が呼んでいただけなんだけど)「ロケット・ヴァンプ」。コレはジーンズなんかよりは、もっと大人っぽいテーパード・スラックスやスーツにカッコいいんだよね。スーツと言ってもアイビースーツなどよりはもっと黒人のジャズマンが着ていたようなジャイビースーツやR&B好きのヤンチャなお兄ちゃん達が好んだコンポラ(コンテンポラリー)スーツに合わせるのがカッコいいんだよ。ボクは最後までコンポラは着なかったけど当時トップと呼んでいた細身のプレスパンツにモヘアのカーディガンを着たりする時にはこのヴァンプを履くのが好きだったよ。
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 ボクの生まれた年、55年に製作された伝説の名画「理由なき反抗」でジェームス・ディーンが着ていた赤いジャンパーは、最近でこそアレはMcGREGOR社の"ANTI FREEZE JACKET"だという事になっているよね。
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だけど昔は同社の"DRIZZLER JACKET"だという事になっていてボクもある年代まではそれを信じていた。そしてモノもボンヤリとしか知らないクセに知ったかぶりをして友達や後輩達にもエラそうにそう言って受け売りをしていたんだよ。みんなゴメンね~・・・多分高校生の頃に読んだメンクラだか何かにそんな話しが書いてあったんだと思うんだよ。

 映画そのものは高校生の時に一度リバイバル上映で観てはいたけど、当時その赤いジャンパーは多分ボクの目に余りカッコいいモノに映らなかったんだろうかね、赤い色ばっかりが印象に残っていてディテールなんかに付いては割と印象が薄かったんだよ。それよりもブルージーンズに丸首の白いTシャツだけでどうしてあんなにカッコ良く見えるんだろう・・とか、ナタリー・ウッドの可愛さばっかりが記憶に残っていてさ。
 その後80年代に入ったらようやく様々な映画のビデオが市販されるようになって、街中にポツポツとレンタルビデオのお店が出来始めたおかげでやっとボクもその「理由なき反抗」をあらためてじっくり観る事が出来たんだよね。ビールを飲みながらテレビの前に座り込んで最初は一回ちゃんと通して最後まで観たら、今度は巻き戻してビデオデッキのボタンに指を置き、画面を見ながら何度もテープを送ったり止めたり戻したりを繰り返し、やっとこさその赤いジャンパーの全貌を掴む事が出来たんだよ。ついでに映画の中でジェームス・ディーンが穿いていたジーンズは何とLevi'sじゃなくてLeeだったという事まで発見しちゃったよ。
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ちょうどその少し前の70年代後半頃だったかにLevi'sのイメージキャラクターとしてジェームス・ディーンと、そしてLevi'sのデカいロゴが胸に付いたTシャツをピチピチに着た映画評論家の水野晴郎が合成画面で共演してLevi'sを語るCMがテレビでオンエアされていたから、最初映画の中でLeeを穿いているのを発見した瞬間は「え??まさかね・・」、もう一回見直して「えェ~!Leeじゃないか・・コレは世紀の大発見、きっとオレしか知らない事件だァ!」なんて思って何度か映像を止めて再確認をした後に、この話しも友達や後輩なんかに随分と得意になって言いふらしたような気がするよ。まァ、「ジャイアンツ」ではちゃんとLevi'sを穿いているんだけどね。

最近何かで読んだ話しではこの「理由なき反抗」、最初は白黒で製作される予定だったのが何だか偉い方の突然の意向で急遽カラーで製作される事になり、それならば・・と主役のジャンパーも急遽、キャラクターを強烈に印象付ける為に赤い色のものに変更されたんだと書いてあった。そう言えばボクの持っているDVDのジャケットの写真では何故か紺色だよね、どうしてわざわざ赤いジャンパーじゃ無いんだか不思議だったんだよ。これ最初の白黒用衣装で撮った宣伝用のスチル写真なのかなァ。
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画像のものは古着屋さんで購入した"DRIZZLER JACKET"、襟の形状やタグ(Cravenette ⇒ イギリスの素材メーカーによる生地で防水加工を施したギャバジンの事・・だと前に教わった事があるよ。)などから恐らく60年代のものだよね。
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実は最近袖を通した事が全然無いんだけど、この60年代後半頃のトレンドカラー「マスタード(カラシ色)」のカラーがとても気に入っているんだよ。それにいつものマニアックな話しだけどジッパースライダーの先っちょに付いているクレストっぽいデザインのプルトップがいかにもMcGREGORらしくて好きだなァ・・すごくカッコいいと思っているんだよ。
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ただ古着屋さんで初めてホンモノを手にした時に思ったのは「あれ?このデザイン知っているよ・・。」そうなんだよね、昔のメンクラの「アイビー特集号」にVANのスウィングトップとしてこのデザインのものが登場していてね、いつも食い入るようにどのページも見ていたから、いちいちデザインを覚えちゃっていてね。「わァ、コレVANのにソックリだァ・・」ってさ、表現が真逆だったよ。
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因みにDRIZZLERのDRIZZLEは例えばロンドンの天候に象徴されるような「霧雨」とか「シトシト雨」の事なんだよね。以前アメリカ人の友達にカタカナ発音で「ドリズル」と言ったら全然通じなかった。それでそいつに発音させてみたら「リ」にアクセントを置いて「ドゥリゾー」って聞こえた。毎度の事ながら英語は難しいやね。

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ボクのと同じカラーのものが掲載されている広告なんだけれど、多分Billy Casperって言う当時の著名なゴルファーなんだろうね。だけどこの写真だとどう見てもちょっとお父っつぁんクサく見えちゃうねェ・・ボクも今同じのを着たらこんなふうに見えるんだったらちょっとだけヤだなァ・・めちゃくちゃカッコいいディテールを持ったジャンパーなんだけどねェ。

ところでアメ横の「る~ふ」に居た頃はMcGREGORのDRIZZLERを一度も取り扱った事は無いんだけど、一度「マルビシ」さんで当時の"現行品"のDRIZZLERを見た事が有ってね、でも襟がやたらデカいロングポイントでタグのデザインもちょっと変わっていたから試着だけさせてもらって結局は買わなかった事が有ったよ。

そんなこんなで結局ジェームス・ディーンの赤いジャンパーはどう見ても"DRIZZLER JACKET"じゃ無いのは分かっちゃったんだけど、この映画をじっくりと観ているとちょうどプラネタリウムの建物のところでナイフゲームをやるシーンで周りを囲む悪ガキ共の中の一人がダークグリーンのDRIZZLERっぽいジャケットを着ているんだよ。

ところが更にもっと良く観るとどうもベージュ色の裏地が付いているっぽいのとそして背中のヨークが無いという所からアレは同じDRIZZLERのバリエーションか、もしくは違うモノのような気がするよ。ただ、もしその時代に既に別のメーカーが作ったソックリさんが存在していたんだとすれば、ご本家McGREGORのDRIZZLERはおそらくよっぽど売れたんだろうねェ・・・。

だからアメリカでは、いつの日からかあのようなデザインのジャンパーをあれもこれも総称的にDRIZZLERと呼ぶようになったんじゃないだろうかと想像したりもするんだよね。そしたらジェームス・ディーンのDRIZZLER JACKETもあながち大間違いでも無かったかも知れないよね。
ところでDRIZZLERが衣装として使われている映画って、実はあんまり思い付かないんだけどパッと思い出したのが例えば"CAPE FEAR"(邦題「恐怖の岬」)という62年の白黒作品だけどグレゴリー・ペック主演のサスペンス映画が有って、
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その中でグレゴリー・ペックが紺色だか黒色だかのDRIZZLERらしきモノを着て出て来るシーンが有るんだよ。おまけに良く観ていると、途中でチラっと出て来る端役の学校の警備員のオジサンらしき人も白っぽいDRIZZLERらしきモノを着て登場する瞬間があるよ。

たまには袖を通してみるか・・とも思うけどやっぱり、お父っつぁんクサくなっちゃうのかねェ。(実際、間違いなくお父っつぁんじゃね~か・・苦笑)若いコが着ると本当にカッコいいのにね・・

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