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第133回 「たかがチェックの裏地の話しだけどね・・・」

 以前にも自分のブログのどこかに書いたと思うんだけど、とにかくボクはBARACUTAの#G-9を始め、チェックの裏地が付いたアウターが昔から大好きなんだよね。

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 ボクがまだ子供だった昭和の時代には、大人たちの間で「ハイカラ」という表現が残っていて、当時京都の「大丸」に有った特選売り場のガラスケースに入れられた直輸入物のMc.GREGORやMUNSINGWEAR、BURBERRY等の「ジャンバー」(注:ブルゾン)とか「オーバー」(注:コート)などと不思議な和製英語で呼ばれていた上っ張りや防寒外套に鮮やかな格子柄の裏地を付けるなどという、和装の世界観には無いような西洋趣味のしゃれた様を見て、時々デパートに連れて行ってくれた母親がよく「ハイカラやねェ・・・」言っていたけど、ボクも「外人が着る洋服はホンマにカッコええなァ・・・」ガキのクセにそう思っていた。
 中学生になってVANの洋服を買ってもらうようになった頃もタータンチェックの裏地が付いたブレザーをおねだりしながら、やっぱり同じように思っていた。「絶対オシャレやん!」
 今でもそう思っているよ、そんなアイテムを眺めているだけでワクワクするもんね。
 そしてその後もそういったアイテムは必要以上に増え続け、アメ横時代に買ったウールのタータンチェックを張り付けたWOOLRICHのマウンテンパーカや、裏がブラックウォッチタータンのGLOVERALLのダッフル、名もない薄汚い柄としか言えないようなチェックの裏地が付いたMAVERICKのGジャンとかね。何だか他にもいっぱい有るよ。

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 何かね、裏地にチェックを使ったアイテムを見るとすぐ欲しくなっちゃうんだよ、悪いクセだよねェ・・・いまだに全然治らないけど。
 だけどね王室御用達の栄誉にも輝いた、あの大英帝国を代表するチェックの裏地のアウターと言えば・・・のBARBOURの場合は状況が少し違っていた。
 実はボクのBARBOURデビューはだいぶ遅かったと思うんだよね。当時アメ横の中には売られて無くて、たぶん広小路の松坂屋付近に有った「●●銃砲店」だったかな?というお店のウィンドウにディスプレイして有るのを見て、なんとなく存在は知っていたという程度だった。
 だけどオリーブ(SAGE)グリーン色のシェルにブラウンのコーデュロイの襟、そしてタータンチェックの裏地という組み合わせには、紳士の国の大人っぽい品格が感じられて、さすがイギリスのアウトドアアウターらしく、とってもカッコいいと思っていたんだよね。  
 ところが実際に手に入れたのは80年代の後半くらいだった。
 コーデュロイの#G-9との交換要員として先輩から譲り受けたのが最初で、ニューヨークのマディソンアヴェニューに有るBROOKS BROTHERSの通りを挟んで反対側に有るORVISで買ったという先輩の必要以上にくどく、そして有難い?お話しだったけど、1~2度着てみたらやっぱり何だかベタベタした表面と機械油のような匂いがどうしても馴染めなくて、あんまり好きになれなかったんだよね。友達と一緒に電車に乗った時も、そいつは何だか離れて立とうとするし・・・。で、着るのを止めちゃった。
 それで、結局たたんで他のモノに密着しないようゴミ袋に詰め込んだままかなりの期間放置された後、アメリカに引っ越す時にいろんなモノと一緒に実家に送ったままになっていたんだよ。 そしてそのまま忘却の彼方に追いやられていてさ・・・
 そしてその後おそらく10年ほどが経過し、再びそのゴミ袋が何かの時に実家で発見され、そして開封されたのは何と21世紀に入ってからだったからね。タイムカプセルみたいなもんだった。
 恐る恐る引っ張り出してみると見事にペッチャリと貼り付いていてさ、所々カビだか何だか正体不明の粉みたいなのも付着してるんだよ。「ありゃァ~参っちゃったねェ・・・どうすんの、コレ」で、お世辞にも高価なアウターには程遠い景色で、真空パックのオイルサーディンみたいなもんだった。但し、かぐわしい機械油の香りは見事に健在でさ。
 仕方が無いから、「どうせ忘れてたんだから、もうこの際どうなってもいいや!」と思い、台所用洗剤をボトル半分程たっぷり振りかけて洗濯機で長時間ぐるぐる回して洗ってみたんだよね。
 途中洗濯機の中を覗いてみると想像を超えたレベルの、かなりえげつない色の水になっていて焦ったけど、洗い上がってみると意外にもいい感じで再生していて、ちょっとホッとしたよ。
 問題の匂いも有る程度消えていて、形を整えて干してみたら全体的に色も白っぽく変化しコーデュロイの襟やポケットの周りのアタリ感もなかなかの顔つきになっていた。
 かくして、ボクに嫌われていた問題児BARBOURは、再びめでたくワードローブに加わる事になったんだよね。
 そんなこんなで、その後BEDALEのBLACK(これもBLACKWATCHタータンの裏地が超カッコいい)を買い足し、そして本命カラーDRESS GORDONの裏地のSAGEもあらためて買い直さなくちゃね・・・と思っていたら、10年ほど前だったかに突如裏地のタータンチェックが変更になっちゃったんだよね。「え~!」だった。

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 これは、良いとかダメとかいう事では無くて、あくまでも個人的な好みの話しなんだけど、ボクはドレスゴードンの裏地のモノの方がやっぱり好きだったし。
 「あれ~?どうして・・・やっぱりイギリスのアイテムらしい、あのドレスゴードンの裏地が良くて欲しかったのにィ。」思ったけど、まァそのうちに輸入元にでも聞いて、古い在庫を探してもらうから・・・なんてやっていたら、在庫などとっくに完売していて本当に世の中から姿を消しちゃったんだよね。
 下はちょっと古いカタログだけど、代表的なアイテムは全部SAGEグリーンにドレスゴードンの裏地のモノで紹介されているんだよ。

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 そんな事が有って「アレ、やっぱり欲しかったなァ・・・失敗しちゃった。」ずっとこの何年か思っていてね。
 そしたら同じような事を考えているヒトは必ず居るもんだよね、とうとうドレスゴードンの裏地が装着された復刻BEDALEが、細っこくない昔ながらのオリジナルフィッティングで限定着数ながら、この秋1度だけ発売される事になったんだよね。やったね~!嬉しいなァ・・・ボクみたいな小デブのオヤジには「待ってました!」って感じだよ。

注:今回の復刻はオリジナルフィッティングのBEDALESAGEカラー1色でドレスゴードンのライニングを装着したものとなっています。

またブログ中で触れております表面素材のベタベタとした感じや匂いに付きましては、現在のインラインのアイテム同様当時よりも大幅に改善されたものとなっております。

別売りのデタッチャブル・ウォームライナーも当時のスナップ止めのモノでは無く、現在販売されているウォームライナーがそのまま装着出来るようになっております。

 

 





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