トップ > 入荷情報

新着情報

staffblog

2016年11月アーカイブ

第132回 「レタードカーディガン」

 最近は、日々着実に忍び寄る年波のせいか、ちょっとだけ照れ臭いから着る機会が減ってしまったんだけど、シェニール(CHENILLE)というモール糸で刺繍されたデカいイニシャルがフロントに付けられたレタードカーディガンやクルーネックなんかも有るよね? ああいうの、昔から大好きなんだよ。 
 同様のスタジャン等も含め、カッコいいレタリングのイニシャルレター等を付けたアイテムって本当にヤンキー臭いと言うか、カッコ良くってアメリカの服って感じがするんだよね。 
 事実、アメリカの映画を観ていても目撃する事が結構有るし、それが単なる衣装じゃ無く、時に登場人物の生い立ちや現在の生き様を表現するちょっとした小道具の1つになっていたりしていると感じる事も有るからね・・・って、少し深読みし過ぎかも知れないけど。 

b9_132_01.jpg

 ちょっと紹介すると、左上から「のっぽ物語」のアンソニー・パーキンス。そして右は「スケアクロウ」のジーン・ハックマン。一番右は「アメリカン・グラフィティ」のローリーことシンディ・ウィリアムス(やっぱり今見ても可愛いね!)だよ。 
 そして下段左はジョン・ベルーシのハチャメチャ作品「アニマル・ハウス」に出演していたチア役の女のコで、その右は「追憶」のバーブラ・ストライサンド。そして最後は「イージー・ライダー」のチンピラ弁護士役、怪優ジャック・ニコルソン・・・・・まだ他にもきっと有るよね。 
 基本的にシェニールで作られたイニシャルや数字等は、スクールカラーを現すボディと袖のラインと共に、学校や所属チーム、功績、卒業年度等を表現していると思うのだけど、時に着用者のチームの中での地位や個人名等までが入っている事も有るんだよね。 
 ところが、それがボクには着用者の出自や所属を表現する記号と言うよりも、全体的な「カッコいい景色」として、きっと見えているんだよ。(基本的に、ボクは意味合いを深く考えていないという事だ) 
 渋谷の老舗ヴィンテージショップ、"FOVOS"の和久井さんに教えて頂いたのだけど、東海岸の方では比較的オーソドックスなレターワークのアイテムが多く発見される反面、あれこれと「これでもか?」と、ベタベタくっつけたモノは大概、西海岸の学校のモノだと言う事だった。東京と大阪のファッション感度の違いみたいな事がご当地アメリカでもきっと有るんだよね・・・へェ~!って感じだ。 
 そもそもアルファベットがくっついた洋服が何だかカッコ良く思え、そして欲しいと思った一番古い記憶は昭和30年代のボクがまだ幼稚園の頃にテレビで観た「ディズニーランド」という番組の中の「ミッキーマウスクラブ」の映像で時折出て来るアメリカの子供達が着ている名前入りのセーターだったんだよね。ああいうのが欲しくてさ・・・ 
 その時にボクはそれが何なのか分からないので一緒に観ていた母親に聞いたら「あれは英語で自分の名前が書いてあるんだよ。」と教えてくれた。 
 ちょうど当時は毎週金曜日の夜8時から(関西は読売テレビ放送【YTV】の10チャンネル)三菱電機の冠提供枠で「三菱ダイヤモンドアワー」という番組が有って、その頃絶大な人気を誇っていた力道山の「日本プロレス中継」と、そして「ディズニーランド」が隔週テレコで放映されていたんだよね。 

b9_132_02.jpg

 記憶がずれていなければ、だけど・・・確か金曜日の夜8時になると、番組のトップで遥か東京の銀座の交差点(当時は、当然銀座なんて知らなかったけど)に有るこの円筒形の三菱のネオンがグルグル回る様に輝くのを、ずっと離れた京都の太秦の大映撮影所の隣りに有った雨漏り長屋の白黒テレビで毎週眺めていたワケだよね。東京という所は果てしなく遠い所だと当時は感じていたよ。 
 最初の頃、プロレスが有る日は近所の人達がうちにテレビを観に来るからって、晩ごはんを早めに食べさせられてさ。そして母親は、それからそわそわとお茶とか座布団の用意なんかしたりしてね。映画"ALWAYS 三丁目の夕日"でそういったシーンが再現されていたけど、本当にあんな感じで、実にのどかな昭和のひとコマだった。 
 "メキシコの巨像"と呼ばれたジェス・オルテガに空手チョップを浴びせる力道山(59年の第一回ワールドリーグの時の写真かな?)と、かたや妖精のティンカー・ベルの組み合わせは、どう考えてもスゴい落差だけど、今も銀座の三愛ビルの前を通る度に屋上付近を見上げては子供の頃の記憶を思い出すよ。 
 隔世の感深し・・・という感じだ。 

b9_132_03.jpg

 ところで、ずいぶん後になってから知ったんだけどこの初代「ミッキーマウスクラブ」にあの、元祖ディズニーアイドルのアネット・ファ二セロが居たんだよね。 
 分かるヒト居るかなァ、日本では田代みどりが昭和36年にカバーして大ヒットとなった「パイナップル・プリンセス」のオリジナル曲を唄っていたのがアネットで、右の画像はその数年後に、おネーさんになったアネットが、あの"ザ・ビーチボーイズ"と共演したコメディ映画(萩原健太氏によると、とても「くっだらない内容」らしいけど・・・)「モンキーズ・アンクル」の主題歌を唄っているシーンだよ。 

B9_132_04.jpg

 ありゃァ~・・・話しが、全然違う方向にそれちゃったね。 
 まァ、そんなこんなでボクも人並みに成長して大きくなるんだけど、アイビーのカッコ良さにハマり始めた中学の頃には、まだVANのお店でも、そういったレタードニットは売られて居なかったように思うんだよね。それとも気が付かなかっただけなのかなァ・・・ 
 因みに、メンクラでレタードニットが初めて紹介されたのはいつ頃なんだろうか?と思い古いメンクラをあれこれ見てみたら、こんな画像が出て来たよ。  

b9_132_05.jpg

 昭和38年(1963年)のメンズクラブ"アイビー特集号"の中程に石津祥介先生が解説をしている「アイビー・スクラップ」というコーナーなんだけど、"M"のイニシャルの可愛いおネーちゃんを見つけたよ。 
 だけど当時、この写真を見たメンクラ読者はこういうセーターは女のコの服だと思うよね。だって、男が着ていないもん・・・まァ、一応は53年前に紹介されていたという事実だった。 
 ところでボクに関して言うと71年の春、高校生になったその年の冬にレタードカーディガンを買ってもらったんだよね。VANが69年から72年頃まで、ライセンス生産をしていた"SPALDING"のヤツ。 
 京都河原町のBALの中に有ったテイメンで、ボディがオフホワイトのヤツ。そしたら値段はVANやKENT以上に高いクセに、何と素材がアクリル100%だったから母親が洗濯表示を見ながら「あ、家で洗えるんだ。じゃァ、白っぽいのでもいいか・・・。」って、ちょっと呆れながら言っていた。 
 画像のは赤いカラーだけど、これの色違いで白いボディにネイビーのラインが入ったヤツだった。イニシャル"S"のシェニールに"SPALDING"と書いて有るのが自慢だったんだけど、その後全く同じ企画のまま商品群は、ボクが高3の頃に"VANSPORTS"というブランドに変化を遂げたんだった。 
 上京した頃にはまだ手元に有ったんだけど、アイビーっぽい格好はもうしないからって、"る~ふ"に入った頃、立教の学生で守屋商店でバイトをして居た、F原くんが欲しい!って言うからあげちゃったんだよね。後に、プレッピーの時代が到来した時に「あ、アレ着られるじゃん!」そう思って、ちょっと後悔したけどもう遅かったよ。 
 VANのライセンス生産(最初ボクは直輸入モノだと信じていたんだけどね)ではあったけれど、"SPALDING"はかなり気に入っていたブランドで、特にロゴのデザインがカッコいいと思っていた。今はスタジャンだけが奇跡的に残っているよ。 

b9_132_06.jpg

 まァ、そんなような事で昨年くらいからこの先ボクがジジィになっても着る「究極」のレタードカーディガンを作りたいと思っていてね。ショールカラーネックって言うのかな?あの襟型が絶対カッコいいと思うし、欲しいんだよ! 
 で、ようやく入荷して来た。いやァ~嬉しいなァ・・・イメージ通りに出来上がったもんね。コロンビアブルーにホワイトのラインはアイビーっぽさが溢れていると思うよ。 

b9_132_07.jpg

 FELCOの代理店さんに、またもや今回もワガママ言ってこの別注企画をSKOOKUMで生産してもらってトリプルネーム仕様にしてもらったんだよ。(数量が少ないから次回から、こういうのは、もう勘弁して!・・・と、釘も刺されたけどね 苦笑) 
 勿論素材は100%ウールで結構な重量級、ボタンループ付きの袋編みショールカラー。そして袖口はターンバック(折り返し)仕様で、クラシックな6ボタンフロント。左袖のラインとポケットの中のカラーを合わせて有るんだよ。シェニールは"FELCO"の"F"で、この"F"という文字の形が何だか昔から親しみが有って好きなんだよ。(水原監督時代の東映フライヤーズの帽子をガキの頃に持っていたからだよなァ・・・たぶん) 

b9_132_08.jpg

 トップボタンをループに留めるとこんな感じ。襟を立ててしまうとマフラーなんか要らなくなるからね。そして特にボクお気に入りの仕様、ブラインドパッチのエルボー部分。  
 外側から見ると何となく「楕円形」の凹凸が分かるんだけど、同じ部分を裏返しにした右の画像を見ると分かるよね?同じニット素材で裏側から補強してあるんだよ。コレすごくない?結構乱暴だけど、こういう部分に古き良き時代の質実剛健なアメリカ人の仕事を感じるんだよね。 

b9_132_09.jpg

 左から、今ボクが一番着たいと思っているカラー、ダートマスグリーンのボディにホワイトのレター。これはホワイトジーンズにベージュのデザートブーツなんかが気分だよね!シャツはオックスフォードのブルーかなァ・・・真ん中も、コレいいでしょう?ブラックボディにオレンジのレター・・・そう!プリンストンカラーだね。そして右はネイビーボディにグリーンのレター・・・実はうちのお店"SEPTIS"のハウスカラーなんだよね。 
 WEBアップには、もう少し時間が掛かるみたいだけど、お店にはもう並べられているので、どなたかモノ好きなヒト、実物を触りに来ないかなァ・・・絶対カッコいいと思うんだよ! 
 あ、値段は¥47,520(税込)なんだけど。


1

features

SEPTISオーナー玉木朗の超B級アーカイブ

SEPTISスタッフのブログ