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 昨年くらいから、女のコ達の#MA-1やアーミーシャツ等を筆頭に久し振りに盛り上がっているミリタリーテイスト。まァ、流れに乗じて「なんちゃってアイテム」みたいなモノも少なからず登場はしているけれどね。 
 だけど、ボクもアメ横出身者としてミリタリー・サープラスの世界はやっぱり大好きだから、久し振りに何だか嬉しくなっちゃって今シーズンは事前に幾つかのディーラーさんにお声を掛けさせて頂いていたんだよ。 
 そしたら、まァ「ウルトラ・ヴィンテージ」では無いにしろ、そこそこマニアックで楽しげなアイテムが集まって来たよ。 
 それでWEB STORE担当の前田くんに聞いたら、当店のサイトにアップされるのには、もう少し時間が掛りそうという話しなので、今回は先にボクがブログでその顔ぶれを簡単に紹介する事にしたよ。 

 【U.S.NAVY  ドレスレザーグローブ】¥5,940(税込) 

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 ボク、余り詳しく無いんだけど、これはアメリカ海軍の作業用では無く、オフィサー用?のドレスグローブだそうだよ。カラーはブラックで意外にしなやかな牛革のシェルに、100%ウールのライニング(ナチュラルカラー)を指の先まで装着して有るんだよ。これ、かなり暖かそうじゃない? 
 DENTSじゃちょっと勿体無いかな?なんて時に、このプライスでこのクオリティならカジュアルには勿論の事、スーツやジャケパンの時にもガンガン使えて、きっとかなり重宝すると思うんだよ。これ、フォーマル用にもきっと使い勝手がいいよね? 
 今回の入荷分は【Mサイズ】で日本のMサイズとほぼ同じくらいのカンジだよ。 マニュファクチャーは、STEINBERG BROS.で、スペックコードから1980年の納入品だと読み取れるね。 
 
 【U.S.ARMY FIELD WOOL SHIRTS】¥6,912(税込) 

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 こちらは寒冷地用のフィールドシャツでカラーはOLIVE DRAB。海軍のCPOと違って裾がストレートカットになっていて、襟も台襟の無いいわゆる一枚襟なのが今シーズンのトレンド的にはど真ん中のカンジだよね。あくまで私見だけど、襟の形やポケットの大きさ、取り付け位置なんかは、この次のアイテムよりも、こちらの方が全然洗練されていると思うんだよ。(あくまで個人的な好みの問題だと思うけど・・・) 
 素材はウール80%ナイロン20%で今回は【Sサイズ】のみの入荷だよ。但し、サイズ感としては日本のMサイズよりも少し大きめかも・・・くらいのカンジ。 
 カットソーの上に羽織ってCPOのように着てもOKだし、またダウンベストやマンパのインナーにもカッコいいから、用途はかなり広いもんね。おまけに暖かいとなれば、この冬は重宝する事間違い無しだと思うなァ。 
 マニュファクチャーはDALE FASHONS.で1977年の納入品とあるね。へ~!ボクがアメ横の"る~ふ"に入った年だ~!って全然関係無かったね・・・ 

 【U.S.ARMY FIELD WOOL SHIRTS】¥9,936(税込)

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 前のアイテムの旧型って事なのかな?クロスしたヨーク部分が特徴的だよね。1952年9月16日(アプルーバルが認可されたとか、そういう日付なのかな?)という日付が読み取れるから、これは結構古いよね?朝鮮戦争の最中だよ。中ほどに1953年5月15日と有るからこちらが納入日ってカンジなのかな?いずれにしても60年以上前のモノだね。 
 こういうのがデッドストックで出て来る事自体がスゴく無い?一体どこに眠っていたんだろうね・・・ 
 この素材はウール85%ナイロン15%(およそ・・と書いて有るのが妙に正直だなァなどと思ってしまったよ。)で前のアイテムより、ほんの少しだけ地厚なカンジかな。 
 面白いなと思ったのは「このラベルを取り外さないように」と大きく注意書きがして有るのだけど、実はこれラベルじゃ無くてプリントなんだよね。おまけに洗うとこのプリントは、ほとんど消えてしまうんだよ。こういうスタンスが、大らかでとてもステキだと思う・・・ 
 そしてラベル?に記載が有る通り、背中部分の2本のダーツのステッチをほどくとウェスト部分の寸法が増量出来る仕様になっているんだよね。(周囲で数センチ程度)先日試しに自分で購入してみて、そのステッチを外して洗濯機で洗ってみたら縫製跡はほとんど消えて分からなくなったよ。おまけにほとんど縮まなかったから元々打ち込みの良い素材なんだろうと思うんだよね。 

 【PATRIOT VINTAGE #L-2B】¥19,440(税込) 

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 これは厳密に言うと軍用に供給されたモノでは無くて、おそらく90年代の復刻ブームに乗っかってアメリカで生産された#L-2Bだったと思うんだよね。ちょうど当時は湾岸戦争の直後だったんだけど、その際に使用された地対空ミサイルの事を日本国内の報道では「パトリオット・ミサイル」と呼んでいたものだから、このブランドも当時は「パトリオット」などと紹介されていたんだよ。発音、正しくは「ペイトゥリオッツ」っていうようなカンジかな。 
 このブランドに付いてはボクも余り詳しくは無いのだけど、92年か93年頃かな?ある日アメリカのディストリビューターからサンプルが送られて来て「このブランドもちゃんと米軍に納入した実績を持つサプライヤーだよ。」そして「日本には、まだ入っていないブランドだから正式にビジネスオファーをしにアメリカに来れないかな?」などとオファーを受けたんだけれど、よく聞いて見ると納入実績はフライトジャケットでは無かったみたいなんだよね。
 そしてちょうどその頃ボクはUNITED PIONEERというマニュファクチャーの"CORINTH"というブランドのフライトジャケットの仕事をやっている最中だったから、そのままスルーしてしまった事が有ったのを思い出したよ。 
 今回入荷したのはVINTAGE TYPEの#L-2Bなんだけど、各ディテールもかなり良く出来ていてとてもカッコいいよ。サイズはMサイズとLサイズが有ります。 

 【ALPHA #M-65 1980年】¥19,980(税込) 

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 個人的に大好きな#M-65も今回は、ようやく良いコンディションのデッドが入手出来たよ。サプライヤーはご存知ALPHA INDUSTRIESでサイズもSMALL-SHORTというゴールデンサイズ。コレ、最近は本当にデッドが見付けにくくなってしまって、(と、言うか程よいサイズのデッドが出て来るとプライスが結構高い事が多いんだよ)当店でも久し振りの入荷なんだよね。 
 そして、いまだにこのデザインをプロトタイプとして#M-65風のアウターを発表するアパレルメーカーが後を絶たないんだけど、個人的にも本当に完成度が高いデザインで機能美との融合が最高の形でこのジャケットには同居しているとずっと思っているよ。だってボクが最初にカッコいいと思った時から、思い続けてもう40年近く経つんだもんね。発端は勿論、ロバート・デニーロの"タクシー・ドライバー"だったんだけど。 

 【ALPHA #M-65  1977年】¥22,680(税込)

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 同じALPHA INDUSTRIESの、こちらは1977年製で70年代製造になるとかなりレア度が高まるんだって教えてもらった事が有るよ。一口に#M-65と言っても様々な時代のモノを較べてみたりすると素材や仕様を厳格に管理されたMIL-SPECと言っても納入年度やサプライヤーによって素材の表面の感触やカラー、そして細かいパーツなんかが微妙に違っていたりするのを発見出来るから、この世界ってやっぱり奥が深いと思うんだよね。サイズも前のアイテムと同じくSMALL-SHORTだけの入荷ね。  

【ALPHA #M-65 KHAKI COLOR 】¥16,200(税込)

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 こちらは、MIL-SPECじゃなくて民間用に生産されたモノだけど、このカラーがいいよねェ・・・ちょっと濃い目のサンドベージュというカンジだけど、OLIVE DRABと違って余り「ガチ」イメージにならないから、様々なコーディネートに使い回す事が出来ると思うんだよね。ALPHAの織りネームが別に取り付けられているんだけど、これは90年代のデッドストックだったように思うんだよ・・・あ、サイズはXS-REGULARのみです。
【#M-65 WOODLAND CAMO. 1991年】¥16,200(税込)

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 かなり「ガチ」イメージの強いウッドランドカモの#M-65だけど、納入時期は比較的新しい1991年だからジッパーがブラスじゃ無いんだね。納入サプライヤーはGOLDEN MFG.となっているんだけど、このメーカーに付いてはボク、全然詳しく無いかな。 
 だけど、こういうインパクトの強い柄を本当に上手に着こなすヒト居るよね?この柄の#M-65を見ると、昔取引先の担当者だったイタリア人を思い出すんだよ。このジャケットにダークグレーのウールトラウザーを穿いて、靴はブラウンスエードのフルブローグ、そしてウールのモチーフプリントタイをピンクとかブルーのボタンダウンに合わせているんだよ。いつも「上手いなァ・・・」と思っていた。サイズはX SMALL-X SHORTのみの入荷です。 

 【QUILTING LINER JACKET】¥5,940(税込)

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 #M-65や#M-51などに使えるお馴染みのキルティングライナーで、単体でも着用出来るように装着用ボタンの横に更にボタンホールが切って有るんだよ。納入年度は比較的新しいモノが今回は多くてコレは2002年だけど、今回の入荷分は大体その辺りの時期のモノになるかな。 
 ところで、このライナーが実はあなどれない・・・コスパの優等生と言えば、コイツと言うくらい軽いし、しかもかなり暖かい。(当然、価格が安いのが何より・・・)ボクは#M-65には勿論だけど、昨年とっさに思い付きでGLOVERALLのダッフルコートに装着してみたら、大正解!だった。 
 スキマ風の侵入対策が重要課題だったダッフルコートを着て、真冬に自転車に乗れるようになったもんね。 
 サイズは今回SMALLのみの入荷です。 

 【MONSTER PARKA】¥45,360(税込)

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 このアイテムに付いて実はボク、最近まで存在を知らなかったんだよね。ただディーラーの担当の方から聞いたら、昨年あたりから都内のヴィンテージショップ等を中心に探し回っているヒトが増えていて、ボク達の業界の中のアンテナの高いヒト達にも早速ウケ始めていると。 
 それで実際にモノを見せて頂いたら、まァ・・・ルックスのインパクトがスゴいよね、ちょうど#M-51のフィッシュテールパーカをルーツに持つようなロングテールで収納可能なフードも装着され、そして何よりサイズ感がXSと言っても要するにXL以上は楽に有るんじゃ無いの?っていうその化け物のようなガバガバ感。 
 まさにこの秋冬注目大のビッグ&ワイドシルエット・・・だからモンスターの名称を拝受したと言うのは十分うなずけるよ。 
 これは90年代のデッドストックだという事だけど、アメリカ軍のいわゆる特殊部隊が導入していると言う事で機密保持の為か、こういった特殊部隊のユニフォームや装備に付いての情報がほとんど公開されていないらしいんだよね。だから検索しても余り詳しい情報は得られなかったよ。 
 ただ極寒の任務地においてフル装備の一番上に着用するのでLEVEL 7と記載が有るんだろうけど、何もかもすっぽりと覆ってしまう為にこのようなシルエットなんだろうね。インシュレーションはお馴染みPRIMALOFTだからかなり暖かいのは言うまでも無いと思うよ。 
 マニュファクチャーはSEKRI.,INC.というメーカーでサイズはXSのみなんだよ・・・と言うかこれ以上大きいサイズは、まずデカ過ぎて売れないだろうなァ。 

【#M-65 FIELD PANTS WITH QUILTED LINER】セット ¥15,984(税込) 

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 そして最後は今回の目玉とも言うべきアイテムなんだけど(って勝手に言っているだけだからね。)名品の #M-65 FIELD PANTS パンツ自体、これは別に珍しくも何とも無いかも知れないけれど、ボクがずっと探して居たのがそのライナーだったんだよね。今回は、そのパンツとライナーをデッドストックのセットでようやく入手する事が出来た。 
 随分昔にボクもコレを穿いていた事が有るんだけど、真冬に自転車とかバイクに乗る時にはめちゃくちゃ重宝したんだよ。おまけにカッコいいしね・・・ 
 1本有ればこれからの寒い冬、大いに活躍してくれそうだもんね。 
 パンツの方は、サイズがSMALL-SHORTでコレの納入年度は1974年、マニュファクチャーはWINFIELD。 
 一方ライナーの方は、サイズがSMALLでレングスはSHORTとREGULAR両方に対応可能。納入年度は1988年でマニュファクチャーはISLATEX。  
 以上、ざっと駆け足で簡単に紹介してしまったんだけど、詳しくは是非店頭で是非実際に手に取ってご覧になって頂くか、もしくはお気軽にお電話やメール等でお問い合わせ頂けましたら喜んでご対応させて頂きますから・・・

第130回「FUN FUN FUN ♪」

 超マイペースでボク達がユルユルとやっているおやじバンドがこの8月に参加した夏のライブイベントで、主催をしている先輩から本番の1ヶ月くらい前に突如「お前達、1曲予定の曲を変えて、THE BEACH BOYSの"SURFIN U.S.A♪"をやれ!」と急に言われ、「ありゃァ~マジ?もう時間無いし・・・どうすんの、コレ?急に歌詞なんか覚えられな~い!」 
 思いながら慌てて練習をする事になったのがきっかけで、原曲のコードや歌詞を再確認する為にこの何年間ほとんど聴いていなかったTHE BEACH BOYSのCDをゴソゴソと探し出し、ついでに他の曲もあらためて色々と聴いてみたんだよね。 
 だけど昔からTHE BEATLESやTHE VENTURESと同様、THE BEACH BOYSも基本的にかなり好きだったからね。久し振りにあれこれ聴いたら、やっぱりスゴく心地良かったよ。特に"PET SOUNDS"以前の初期の頃の作品が、ボクはやっぱりお気に入りみたいだ。 
 元々、THE BEACH BOYSの名前を知ったのは中学生の時に従兄弟からもらった、ちょっと古めの"夢のハワイ"(実は余り好きでは無かった曲で、どちらかと言うとB面の方を気に入っていた。)というドーナツ盤だったんだけど、その後夏になると時々ラジオでかかる"サーフィンUSA"や"サーファー・ガール"という曲などが気に入ってしまい、特に"サーフィンUSA"は小学生の時にTHE VENTURESによって叩き込まれた3コードのブルース・スケールを8ビートに乗せるという、あの黒船の襲来のようなゾクゾクするようなビート感に例の爽やかなコーラスを加えると言う、THE BEATLESとは、また趣の違った独特のサウンドにボクは完全にノックアウトされたんだった。 

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 なのに、ボクの大好きだったその辺りの曲はボクが高校に入る頃になると、ちょっと古めどころか、完全にいわゆる「懐メロ」扱いで、レコード屋さんに行ってもニール・セダカやポール・アンカ、コニー・フランシス辺りのドーナツ盤と一緒に「懐かしのヒット・パレードコーナー」なんて言うエリアに押し込められているような始末だったし、中古レコード屋さんで買うと更に安かった。 
 アイビーファッションと音楽好きが共通項で仲良しだった友達の一人もボクがTHE BEACH BOYSと言うと「あの、変な裏声で唄うバンドでしょう?」などと半分バカにしてコミックバンドみたいに言うし、実はそいつ以外にもボクの周りに好きだと言うヤツは残念ながら居なかったんだよ。 
 ところが、その友達のTHE BEACH BOYSに対する評価が一変したちょっとした面白い事件が有ったんだよね。 
 ちょうど高3になった頃だったかに中学の頃からカーペンターズのファンだったその友達が新しくリリースされた"NOW & THEN"というLPを持ってうちにやって来て 
 「ねェ、"FUN FUN FUN"って、こないだお前がオレに無理やり聴かせたTHE BEACH BOYSの曲だよね?たぶんその曲を、カーペンターズが今回新しいレコードでカバーしてるんだよ!」 
 ボクはボクで、それまでカーペンターズって知っては居たけれど、ラジオでオンエアするヒット曲を認識している程度で、基本的にはほとんどそれ以上に興味を持った事が無かったから 
 「え?本当に?カーペンターズが?」 
 言いながら、とにかく2人で聴いてみた。 

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 聴いてみるとやっぱりTHE BEACH BOYSの"FUN FUN FUN"のカバーで、ボクは聴き終わった途端に、 
 「ねェ、お前の崇拝しているお前より遥かにスゴいヒト達がTHE BEACH BOYSに敬意を表しているじゃないか・・・メドレーのトップに入れているんだよ、どう?認めて降参する?」 
 「分かった、分かった、もう唄声が気持ち悪いとか言わないからレコ-ド貸して!」 
 そしてそいつはTHE BEACH BOYSの4曲入りのコンパクト盤だとかドーナツ盤を何枚か借りて帰ったまま、なかなか返してくれなかった。そしてようやく返しに来たと思ったらボクが持って居ないTHE BEACH BOYSのLPを買ったとぬかしやがったから、今度はボクがそいつの家にそのTHE BEACH BOYSの「グレイテストヒット」とか言うベスト盤のLPを借りに行った。 
 そんな事が有って、その後いつ頃だったのか良く思い出せないんだけれど、レコードのライナーノーツを読んで初めて知った事が、THE BEACH BOYSは結成当初は"ペンデルトーンズ"というグループ名で、当時カリフォルニアの若い連中に大人気だったシャツのメーカー名から拝借したと書いて有ったんだよね。ボクは、
  「へェ~、あのシャツね!だけど、選りに選って結構変な名前を付けたもんだねェ・・・全然イメージ湧かないや。」 
 そう思い、最初に想像したのは例の爽やかなアイビーを連想させる、あの有名なネイビーブルーとホワイトのボールドストライプのボタンダウンシャツだったんだよね。結果的には全然違っていた。 

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 その後また少し月日が経ち、上京して来た頃に原宿の"シカゴ"だったかでPENDLETONの古着のウールシャツを初めて買って気に入り、そしてPENDLETONというご機嫌なウールシャツのブランド名をようやく認識をしたんだけども、ボクは基本的に鈍感なんだろうねェ・・・まだその符号の一致に気が付かなかったんだよね。 
 そしてようやくPENDLETONと"ペンデルトーンズ"が繋がったのは"る~ふ"の店頭でPENDLETONのシャツを畳んでいる時だったんだよね。
 「何だ、そうか!そういう事か!こっちのシャツか・・・」 
思わず大声が出てしまったら同僚から 
「たまちゃん、どうしたんだよ・・朝からウルサイよ!」 
言われてしまった。 
 要するに最も初期のレコジャケ等に写っている、あのチェックのウールシャツがPENDLETONだったんだよね。現在うちの店頭にも同じ柄のモノが有るけれど、色々と差し支えが有るんだろうね、THE BEACH BOYSのシャツとは言えないから"ボードシャツ"と言うアイテム名になっているんだよ。 
 "ボード"というのは勿論サーフボードの事なんだろうけど、商品紹介も「60年代当時、カリフォルニアのサーファー達がこぞって着用していた・・・云々」と言う事になっている。 
 まァ、本当はTHE BEACH BOYSがデビュー当時に画像の柄のPENDLETONをお揃いで着、そして"ペンデルトーンズ"と名乗って居たからだと言う事なんだよね。 
 因みにTHE BEACH BOYSのメンバーの中でサーフィンをやっていたのはドラムのデニス・ウィルソンだけだった。 

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 そして何年か前に出版された、ティモシー・ホワイト氏の書き下ろし「ビーチ・ボーイズとカリフォルニア文化」という名著が有るのだけれど、それを読んでみるとそのような事の経緯が克明に記載されているので、謹んでここに抜粋させて頂くね。読み応えの有るとっても楽しい内容の本だったよ・・・。 

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 ・・・という事だったらしい、「へェ~!そうなんだァ・・・」ってカンジだよね。こうなると、たかがチェックのウールシャツ・・・という扱いは出来ない特別なシャツに思えて来るよ。  

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 バンドの名前なんて、後世に残る残らないにかかわらず、結構こんなカンジで軽く決められちゃうのかも知れないね。  

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 ここに記載が有るのが例のボールド・ストライプのボタンダウンシャツという事になるのかなァ・・・あのGANTだよ!当時は襟の後ろにボタンが付いていて、ボックスプリーツの所にハンガーループもちゃんと有るモデルだったんだろうなァ。
 75年の秋にボクは、ちょっとイヤな事が有ったのをきっかけにテレビ局のバイトを辞めようかどうしようかと迷い始めて居た頃だったんだけど、ちょうど給料日だったんだよね。
 それで休憩時間に食堂の横に有った公衆電話からいつものように大井町の「みどりや」に電話をしてマスターに「今日帰りに寄りますけど取り置きしてもらっているのって今月は全部で幾らになりますか?」って聞いたら金額を教えてくれてね。大概端数は切ってくれるから計算式は良く分からないけれどいつも15,000円だとか18,000円だとかの丸い数字だった。 
 そして「今日あたり来るだろうと思って、お前にブシュパンを取って有るから早く来いよ。」「は~い、じゃ後で寄りまァ~す!」なんて言いながら一瞬ブシュパンって何だろうと思ったんだよね。 
 実はボクが「みどりや」やアメ横で服や靴ばかり買って毎月のように慢性金欠症に陥り、いつもお腹を空かせているのをマスターのお母さんが良く知っていて、時々お店の奥に上がり込んでは、お餅を焼いてご馳走になったり、インスタントラーメンを作ってもらったり、パンとかお煎餅をもらったり(苦笑)していたから、何かパンの種類だろうか?なんて思って「ところで何ですか?その、今マスターが言ったヤツ・・・」聞いたら「ブシュパン・・・ブッシュパンツだよ、あ、そうか・・お前知らないんだよな。一応取って有るから見に来いよ、絶対カッコいいからさ・・・」 
 そんなやり取りが有って、バイトの帰りに「みどりや」に立ち寄ったら、いつものように顔見知りの連中が店の前で2~3人集まって喋っていて、ボクを見るなり「お~、たまちゃん久し振りじゃん、それ新色のBARACUTA?相変わらず稼いでるねェ~・・・」なんてイヤミ(笑)を言われながら店内に入って行った。 
 そして、取り置きをしてもらっていたモノを受け取ってお金を払ったりしていたら奥の棚からマスターが「これ、これ・・・お前29インチだよな?」言いながら出してくれたのが初めて見るLEVI'Sの#676というコーデュロイのブッシュパンツだった。 
 当時「みどりや」には、マスターと同じ苗字のやはりSさんと言うヒトがスタッフで居て、最初は血縁関係のヒトかと思っていたら実はそうでは無かったんだけど、そのSさんがその日見ると、もう早速同じブッシュパンツを穿いているんだよね。 
 それを見たボク「ひェ~!カ、カッコいい~!欲しい~」思った瞬間に「ボクも買います!」秒殺買いをしちゃった。 
 ちょっと焼き過ぎたトーストのような金茶色のコーデュロイでフロントとバックに付いたフラップ付きのブッシュポケットに何だかやたらに新しいアメリカンテイストを強烈に感じてね。「やったァ~!」ってカンジだった。 
 記憶がちょっと曖昧だけど、そのブッシュパンツは中畝のコーデュロイで、結構タテに縮んだ気がするから、あれはコットン100%のコーデュロイだったのかも知れないね。 
 そしたら、そのLEVI'Sのブッシュパンツって恐らくアメリカでもよっぽど売れたんだよね、次の年になったらLEEやWRANGLERからも同じようなデザインが出て来たし、BIG JOHNだとかBOBSONなんかの国産のジーンズメーカーからも続々と発売されたもんね。 
    
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 画像のモノはその後#646なんかに使用していたポリエステル混紡の細畝コーデュロイに変更され、フレアがもう少し強調されると言うマイナーチェンジ?をしたモノだと思うんだけど、ボクが買った時はこの独特のデザインが直輸入モノのLEVI'Sでしか存在しなかった(と、思う)からボクは、"る~ふ"で買ったミッキーのバックルのベルトをして、これ見よがしに得意になって穿いていた。(右の画像はBIG JOHNの広告) 
 ただ、それに合わせてアメ横で見たSANTA ROSAのワークブーツが欲しかったんだけどちょっと、その時は手が出なかったからCONVERSEのスエードとかFREEMANのデザートブーツを履いたりしていたけどね。 
 そして当時トップスは、ブッシュパンツにラグジャーを着るのが圧倒的にカッコ良かったんだよ。ボクはラグジャー風?のNORMANの太ボーダーの長袖ポロやWASHINGTON DEE CEEのネルシャツ、FOX KNAPPのチェックのCPOなどを合わせていた。 
 だけど時々「ブッシュパンツにBARACUTA着るのは、ちょっとキビしくねェ?」友達から言われたりもしていたよ。 
 画像は、ボクがブッシュパンツを買った翌年に平凡パンチから出た'76年の"MEN'S CATALOG"。そうそうブッシュパンツの着こなしは、こんな感じだったよ。 

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 そもそもコーデュロイという素材は元々は、74年頃に海外で先に注目されていたみたいで、それまで日本では"コール天"と呼ばれ、アイビーの世界でも秋冬の素材として紹介されていたのが、アメリカではLEVI'S等のコーデュロイパンツを始めOPやKATINのコーデュロイのウォークショーツを西海岸やハワイでは若者が年がら年中愛用するようになり、特に細畝のコーデュロイは日本だけだと思うけど"サマー・コーデュロイ"などと無理に?名付けられ、シャツやGジャンなど様々なアイテムに一挙に広がって行ったような・・・ちょうどそんな時期だったように思うんだよね。 
 '74年のan anには、ELLEによる本場パリで注目されているコーデュロイ素材の紹介記事が掲載されたりしていて、日本ではちょっとアンテナの高い女のコを中心に広まり始めたのが男のコより先だったみたいに書いて有るよ。 

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 そして以降は、その素材の事を"コーデュロイ"と呼ぶ事が最先端のオシャレでカッコ良い事で、相変わらず"コール天"と呼ぶのはファッションに鈍感な遅れたヤツというカンジになって行ったような気がするよ。ボクも慌てて"コーデュロイ"と言い直す事にしたもんね。 
 そして、西海岸ブームの到来によって折から台頭し始めた超人気サーフブランドのひとつ、OP(OCEAN PACIFIC)からも一度ブッシュタイプがリリースされた事が有ったんだけど、それを思い出して当時のLEVI'S(下の画像)などを参考にし、代理店さんと協同で復刻してみたのが先シーズンからの当店の人気者、OPのブッシュパンツとブッシュショーツだったんだよね。 
 特にパンツのシルエットに関しては少しアップデイトさせ、今風にモデファイしたけれど、そこはやっぱりOPらしくウェストにはエラスティック(ゴム)を入れ、ムードは当時のままを出来るだけ再現してみたんだよ。 

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 上の白黒画像はOPの代理店だったJ.S.Pの77年コレクションの展示会の案内。そして真ん中の画像はその頃のOPの雑誌広告だよ。 

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 今回再入荷したOPのコーデュロイ・ブッシュパンツ・・・基本的にはいわゆる「ゴム入りイージーパンツ」みたいなもんだから、"カッコ良く楽ちん!"なのは今時風で、やっぱりこの秋もかなりポイント高いと思うんだよね。

第128回「一生モノ」

 今月発売の雑誌「BEGIN」11月号、今回は"10年モノ ランキング"の特集だって。で、中身を見てみるとね、「うんうん、なるほど・・・みんなスゴいよねェ」ALDENにLEVI'S、CONVERSE、ROLEX・・・「業界の皆さん、アイテムに対する愛情が満ちていて本当に好きなんだね~サスガだよ」あらためて感心してしまった。 
 一応ボクも基本的にモノは大好きだから数だけはいっぱい有るよ、大半は粗大ゴミの山じゃ無いの?って周りからは、いつも言われているけどね。おまけに人間自体が古いから10年どころじゃ無くってもっと年月が経っているモノが行き場を失ってあちらこちらに散乱しているカンジ、全然自慢にも何もならないよね・・・この先、ボクはコレらを最終的にどうするんだろうねェ・・・ 
 ところで最近は"一生モノ"ってあまり言わなくなったよね。やっぱり今は"一生"という言葉を使ったり印刷物にしたりするとマズかったりするのかな?(と、思ってうちの店頭を見ていたらVANSONのレザートートにうちのマネージャーの小山くんが"一生モノ(になるかも・・)"とPOPを付けていやがった・・・苦笑) 

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  以前は"LIFE TIME STANDARD"なんていうカッコいい響きがする言葉も有って(誰かが作った造語なのかな?)ボクも個人的に好きな言い方だったから接客の時には良く使っていたし、時に雑誌の特集記事にもなったりしていた事が有ったんだけどね。 
 確かに思い返せばボクなんかもアメ横の時代なんて、REDWINGのブーツやSCHOTTのボマーみたいに、ちょっとやそっとではへこたれたり壊れにくそうなアイテムなどは「コレは大切に付き合って行けば、まず一生モノですからね・・・」なんて言いながら接客していた事も有るし、まさかお客様も「本当にヒトが生涯を終えるまで間違い無く使えるんですか?」なんて野暮な事を言い出すヒトも居なかったしね。 
 そこで考えてみたんだよ、10年や20年じゃ無く、今自分が愛用品として身に付けているアイテムの中で本当に生涯を終えるまで使い続ける事が出来るモノって幾つくらい有るんだろうか?ってね。 
 まず山ほど有るボクの洋服の類、それぞれの時代の特徴が出過ぎていて今さら恥ずかしくて人前では着られないというアイテムやサイズが合わない(小さくて着られない)アイテムは捨てない限り最後まで残るんだろうけど、基本的に繊維や布地には自ずと耐久性に限界が有るから、どんなに大切にしていても着続ける以上は多分生涯と言うのは難しいんじゃ無いだろうかね。(年に2~3回袖を通す程度で着続けるとは、きっと言っちゃいけないと思うんだよ) 
 仮に経年変化にも耐えて、かなり丈夫そうに思えるサープラスの#M-65ジャケットやデニムのGジャンなんかでも、やっぱり袖口や襟周りなどの要所々々がそのうちに擦り切れてダメになったりするもんね。 
 じゃァ、やっぱり究極の素材はレザーだよ!そう思ったけれど、丈夫そうに思えて袖口や裾なんかにリブを使ったモノなんかは、やっぱりそこからダメになっちゃうからあんまり凝ったものよりは、もっと単純な構造の方がきっと頑丈なんだよ。更に裏地を付けたモノだと絶対に裏地自体が先に破けて来るから、きっと裏地も最初から無い方がいいよね。 
 そうすると結局、大切に着ればひょっとして生涯着用が可能そうなのは#B-3 BOMBER JACKETや単純な構造のムートンコートくらいしか思い付かなかったよ。ただファッション・トレンドの潮流から明らかに外れている時にも着続ける勇気が有るかどうかという別のテーマが存在するんだけどね。 

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 一方リストウォッチなんかは、経年変化や摩耗等に強い金属がほとんど構成要素だからファッションアイテムと呼ぶには少し特殊だとは思うけれど、基本的には大丈夫そうに思うんだよ。 

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 特に実用時計としてのパフォーマンスに優れたROLEX OYSTERやHAMILTONのKHAKIみたいなのはメンテナンスさえ怠らなければ次世代に残せそうな気がするよ。 
 画像のモノは結構な年月の間ボクが交代で使い分けているリストウォッチだけど特にROLEXの方は実はコレ、手巻きのムーブメントなんだよね。ちょっとレトロな顔付きでボーイズサイズだというのがとっても気に入っていて多分30年以上は愛用していると思うけど、今さら防水機能も怪しいまま一応ベルトも交換し、ムーブメントのパーツなんかも都度交換しながら「あともう少し頑張ってね~!」ってカンジだよ。 
 (ちょっと余談だけどアメ横に居た頃ね、やっぱり当時も周りにうなる程売られていたから仲間達も若いクセに結構無理してROLEXを買っていてね、それでボーイズサイズの事は男物と女物の中間に位置するから、みんな「オカマサイズ」という呼び方をして居たのを今懐かしく思い出した。) 
 話しを元に戻すけど、そう考えると革で出来たワーク系のブーツやバッグの類はやっぱり丈夫だよね、グッドイヤーウェルト製法の靴ならある程度のソール交換が可能だし、ブライドルレザーで出来たバッグなんかは壊れそうな気がしないもんね。 
 と、言いつつそんなアイテムにメンテナンスやソール交換等をきちんと施していたとしても、本当に生涯使用に耐えるか?と聞かれると、やっぱり最終的には靴ならアッパーの銀面のシワ部分から劣化して行ったりライニングが破けて来たりする事が有るし、バッグなんかは底の角っこの部分やハンドルから傷んだり劣化する事も多いよね。特に金属製の錠前等が付いている場合なんかは、酷使によってそこが壊れちゃう時も有るもんね。 
 そんな事をあれこれ考えていたら何となく分かって来たよ、要するにモノを使い続けながら長持ちさせる為には出来るだけ丈夫な素材を使い、メンテナンスが余り必要じゃ無く、そして構造が単純で有れば単純な程良いんだよ。 
 そうだ!ベルトだよね・・・それも肉厚の1枚革のヤツで構造が単純なヤツ。で、思い出したのが、やっぱりアレだよね!と言う事で・・・何とか言う真正英国馬具メーカーのベルト。ところが残念な事に若い頃、気に入って数年間使っていながら2本共後輩の手に渡ってしまったんだよ。 
 結構気に入っていたんだけど、それらと一緒にアメリカに引っ越ししたら暫くの間に、どうしてだかピンを留める穴がどんどん3番から1番の方へと外側に移動し、新しく0番が必要なくらいになっちゃっただけなんだけどね・・・ 
 仕方が無いのでボクと同じ時に購入した弟に「昔からしているイギリスのベルトって、まだ使ってる?」って聞いたら「今日も使っているけれど全然現役だよ、手入れなんかほとんどしてないけど・・・」言うから「画像を撮りたいからちょっと貸してくれない?」お願いしてみた。 
 「分かったよ、送るけど画像を撮ったらさっさと返してくれる?他に無いんだから・・・」で、送ってもらったのが画像のヤツ。大した手入れもしないのに全然現役バリバリなカンジだった。

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 「ところで、あれからもう何年くらい使っているんだっけ?」 
「高校生だったから40年までは経ってないと思うけど、そんなもんじゃない?」 
 うん、これなら大切にすればひょっとして生涯着用が可能かも知れないねェ・・・妙に納得したよ。 

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 現在ご当地WALSALLには元々生産していた200年以上続く工場と熟練した職人さん達が残って引き続き同じモノを作り続ける事になったと聞いた。 
 イギリスでは乗馬のサドルを含む馬具を生産する由緒正しい馬具工場が"SADDLERY"を名乗る(ここが結構大事なポイントだとボクは思っている)のだけど馬具の鞍(サドル)と鐙(あぶみ)をつなぐ部分に使用するスティラップレザーを使用したシンプルなベルト、コレこそがやっぱり"一生モノ(になるかも・・・)"知れないと今回思ったよ。 
 それにボクの場合は、そろそろ残りが少ないから絶対に生涯大丈夫だよね。もうこれ以上太らなければ・・・だけど。 

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  来月くらいにようやく本格的に入荷するから、今回はマジメに2本程買うと思うよ。
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 今でこそ、ボクも「このLACOSTEはフランスメイドで・・・」だとか「フランスのd'Arvorにダブルネーム別注をして・・・」「有名なアビーロードのジャケットでジョンが履いているのが実はSPRING COURTのスニーカーで・・・」などとエラそうな事を言っているけれど、アメ横に勤め始めた頃、ボクはADIDASのスニーカーは別にして、トップスやボトムはアメリカ製一辺倒だったから"る~ふ"ではフランスやイタリア等のヨーロッパ製品(SASSONのジーンズやFILAのポロシャツみたいなアイテム)も一部扱ってはいたけれど実際には何がカッコいいんだか余り良く分かっていなかったと思うんだよね。 
 そもそもアイビーから始まったアメリカのファッションにどっぷりと浸かりきった半生が今現在のボクを形成しているのだからアメトラのルーツであるイギリス物は別にして、ボク自身のスタイルは今でも余りヨーロッパの香りはしないんじゃないかと思っている。  
 だけど一応、フランス製やイタリア製のアイテムも持っているし、ちゃんと着る事も有るんだよ・・・。 
 そう言えば、以前どこかに書いたと思うけれど、最初ボクはLACOSTEよりMUNSINGWEARの方が好きだったんだよね。理由は至ってシンプルでアメリカのLACOSTEである"IZOD"が登場する以前はMUNSINGWEARこそがアメリカのブランドだと思っていたからなんだよね、それだけだよ。本当に単純だった。 
 一方LACOSTEに関しては従兄弟が、よく着ていたから何となくフランスのブランドだという認識はしていたけれど、当時のフランスのメンズファッションに付いては全然イメージも出来なかったし、たぶん余り興味も持って無かったんだよね。 
 ただ母親が洋裁の仕事をしていた時「今年パリで流行のオートクチュールがこんなカンジで・・・」とか言いながらお弟子さんに「ドレスメーキング」という雑誌を見せながら教えたりしていたので、さぞかし男も女もオシャレな国なんだろうなァ・・などとボンヤリ思っていた。 
 そもそも小学校の頃、ボクにとってフランスという国のイメージは?と言うと、近所のお金持ちの女のコが一緒に遊ぶと時々一個くれた不二家の「フランスキャラメル」そして従姉妹のネーちゃんが部屋に写真を貼って入れ上げていた「アラン・ドロン」。(彼が来日した時に京都に来て、その時に立ち寄ったという立命館大学近くの「ピエール」という喫茶店に後日連れて行かされ、彼が座ったというテーブルで記念写真を撮らされた。)そして当時、子供達に大人気だった「おそ松くん」に、やおら登場した「イヤミ」だった。 

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 特に「イヤミ」は今考えれば、かなり屈折したフランスのイメージを強烈にボクに植え付けた張本人で、キザでお金儲けが大好き、大概いつもスーツを着て登場し、そしてヒトを小馬鹿にしたようなキャラクターは、当時の子供達の中では瞬く間に人気に火が付き「自分の事」は「ミー」そして「キミ」の事は「チミ」、そして何かにつけて「おフランスでは・・・」と洋行帰りを鼻にかけ、語尾に「ざんす」を付けるという話し方は、学校中でみんながマネをするようになり、ボクなんか給食の時間に「残さず全部食べなさい!」と注意した先生に「ミーはニンジンが大嫌いなんざんす!」と言ったらクラス中が大爆笑する中、こっぴどく叱られた事が有った。 
 そして一世を風靡した「シェー!」に関しては当時、日本全国の小学生で「シェー!」の出来ない子供は一人も居なかったと思うよ。 
 ちょっとネットから画像を拝借して来たけど一番左のオリジナルに続き、何と皇太子殿下、そして来日中だったジョン・レノン、一番右側はゴジラ・・・当時、日本は大変な事になっていた。 

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 ちょっと話しがそれちゃったけれど、あまりにもテキトーなフランスのイメージを持ったままアイビーの時代に突入したボクは、高校生になった頃VANがライセンス生産を行っていた"SPALDING"というブランドを実は、しばらくの間アメリカの製品だと思い込んでいて、よく商品を見に行っていたんだよね。ところが"SPALDING"は普通のVANショップには取り扱いが無くて、地元の京都では"TEIJIN MEN'S SHOP"か"KENT HOUSE"のようなお店でしか売っていなかったんだよ。(・・・と、思うんだけど。) 

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 そしたらある時に"SPALDING"と並べてディスプレイしてあった"HAUSER SPORT"というブランドが目にとまってね、スタッフの方に「これは、何ですか?」って聞いてみたらフランスの有名なスポーツウェアのブランドだって言うんだよ。 
 3色(トリコロールの事ね)のニワトリのワッペンが付いていたりするアイテムも有ったんだけど、当時スキー部だった友達の間で流行っていたスキーウェアのブランドに似たマークにも思えてね。(現在流通しているブランドにも、やっぱり似たのが有るよね?)それに何だかやたらに値段が高かったんだよ。 
 だけど基本的にはボクの欲しいテイストのモノでは無かったから結局一度も購入した事は無かった。 

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 そんなこんなで、なかなかフランスに縁の無かったボクが"る~ふ"に入って何となく「これなら、行けそう・・・かなり、カッコいいもんね。」そう思ったのがSt.Jamesのバスクシャツだったんだよね。その頃は、まだ先輩達もみんな「セントジェームス」では無くて「サンジェームス」って呼んでいたよ。 
 ある時にお客様の中でSt.James をペインターパンツにとっても上手に合わせているヒトが居てね、STAN SMITHとかJACK PURCELLを合わせて履くんだよ。早速ボクもマネをさせてもらった。 
 写真はちょうどその頃の"る~ふ"の店頭。良く見るとウィンドウの左下にSt.Jamesが見えるよね。 
 ついでに言うと突き当りのウィンドウが金沢食品さんのウィンドウ。そしてそのすぐ前が1メートルくらいの幅のT字路になっていて、ちょうどJALのショルダーバッグ(コレも懐かしい!)を持ったお兄さんの向いている方が"ミウラ"の方。そして更に真っ直ぐ4軒ほど行くと左側に"ヤヨイ"さんが有ったんだよ。 

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 ところでSt.Jamesにヴィンテージだとか旧タグだとか言う概念が有るのかどうか良く分からないんだけど、画像のモノは8~9年くらい前に一度シャレで代理店さんとつるんで少量復刻したお馴染みのピースネームが懐かしい小文字のヤツ。ネックラベルもプリントしたペラペラした白いタグでプリント部分がすぐ消えてしまうチープな古いタイプのモノを付けたりしたんだけど、お客様には全然ウケなくてあんまり売れなかった。 
 そう言えば以前「フント二モー」のいであつし君に「St.Jamesってピカソも着ていたのを知ってた?あの、ほらNAVALって言うヤツ・・・やっぱ、パリと言えば芸術の都なんだもんねェ・・・さすがオシャレだと思わない?」って言ったら「今はさ、ご当地フランスのパリでボーダーのバスクシャツを素肌に一枚だけで着ているのは本当に作業服として着ている肉屋さんとかくらいなんだよ!だから玉木さんもピカソの真似してパリでセントジェームスを着るのは絶対にやめた方がいいよ。」ってさ。(下のイラストは、バスクシャツを着た、いであつしくんを描いた綿谷画伯の作品ね。)  

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 まァ、そんなこんなでもう40年近くもSt.JamesのOuessantは愛用し続けているし、当店でも創業以来の定番としてずっと扱い続けているんだよ。そして、このアイテムのスゴい所は、どんなファッションの流れになっても、ちゃんとカッコ良く時流に沿ったコーディネートが出来るという事だよね。  
 そしてボクの場合は、さんざん着倒して、さすがにビロビロになって来たら(と言いつつ、古くなっても捨てられないから何枚も溜まっちゃっているんだけどね・・・苦笑)今度はパジャマになったり、意外に快適なのが枕にかぶせてカバーにすると個人的には、この硬めの素材感が気持ち良くってね・・・。  
 そして最後はハサミを入れられてクルマの窓拭きとか靴磨き用になっちゃうんだけど、最後までスゴいアイテムだといつも思うんだよ。 
 「チミ達もミーとかピカソのように、おフランスのオシャレなセントジェームスを、どんどん着てカッコ良くなるざんす!」
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