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2016年1月アーカイブ

第114回「マドラス・チェック」

 高校に入ったばかりの頃にね、休み時間に教室の窓枠にもたれて友達と話していて「今度マドラス・チェックのシャツを買いに行こうと思ってさ。」「惑わす・・チェック?何だそれ、女子対策か?」「マドラスだよ、お前知らないの?」そんな会話を交わした事を思い出したよ。
 昔からマドラス・チェックって大好きなんだよね。うちのお店でも毎シーズン、半袖シャツやショーツというとしつこくマドラス・チェックをお約束のように並べるし、ボク自身も間違い無く毎年着ているよ。そして毎年同じようなアイテムが自宅のクローゼットに増殖し続けているんだよね。(しかし、懲りないねェ)だけど汗ばむような季節にサラリとした、あの素材感、そして洗い込む程にそれぞれの色が褪めて寝ボケたような感じになるのが、やっぱり最高にカッコいいと思っているよ。   

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 ただマドラス・チェックは元々生地があんまり強いワケじゃないし、ショーツなんかはある程度穿き続けているとボクなんか自転者通勤だからお尻の所がだんだんスリ切れて生地が薄くなり最後には破けちゃうんだよ。つい去年の夏にもお気に入りだったパッチマドラスのショーツが信号で止まった時に異音と同時に突然ゴミになっちゃってね。仕方が無いからお店に着いて自転車を停めたらバッグで後ろを隠して事務所まで小走りで行って何とか事無きを得たけど、毎度の事ながらカッコ悪かったよ・・・  
 高校1年生の時に初めて1人でVANショップに行き、自分でお金を払って買ったのがマドラス・チェックの半袖ボタンダウンシャツだったんだよね。それまでは中学の時が制服だったからボタンダウンはもっぱら白のオックスフォードで、後はブルーのギンガム・チェック辺りが休日用みたいなカンジでね。 
 ところが高校に入っていきなり私服通学になったもんだから、そんなに洋服をあれこれ沢山持っていたワケでも無いボクは毎日何を着て行こうかと考えちゃってもう大変でさ、ただ最初の頃だけは怖い先輩に目を付けられないようにネイビーのコッパンにブルーオックスのシャツみたいな大人しい格好をして居たんだけど、だんだん慣れて来ると早速新しいシャツが欲しくなって来たんだよね。ちょっとだけ気になっている女のコにも見てもらいたいし。  
 それまでは、月に一度はデパート歩きが趣味?という母親に荷物持ちという名目で着いて行っては頃合いを見計らってVANショップやKENTショップに引きずって行き、何か一点セーターだとかシャツなんかを、おねだりするのがお約束でね。母親は仕事で洋裁をしていたからスタッフのお兄さん達が素材だとか細かいディテールやボタン等の話しをするのを「はい、はい・・」といつも聞いていて、大概は理解しているようだった。  
 ところが初めてボク1人でお店に行ったから、顔見知りのお兄さんが「今日、お母さんは?」って聞くんだけど、まだ子供扱いされて(実際は子供だったけど)いるのがスゴくイヤで「これからは、1人で来ますから。」などと言いながら柄の気に入ったマドラス・チェックのシャツを探し出して「コレのM有りますか?」   

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 そしたら、「これはプルオーバーだよ。分かる?」「え?」「被って着るんだよ。」「へェ~、そんなのが有るんですか?」ショップに置いて有ったメンクラのページを見せてもらい「こういうのだよ、カッコいいでしょ。いつも有るワケじゃないから、まず滅多にヒトと被らないし・・」特に最後の一言が強烈に効いたね。マドラス・チェック好きに加えて、ボクのプルオーバー好きに火が付いた瞬間でも有ったんだよ。どうもこの頃から、ヒトと違うモノ、レアなモノ、入手が困難なモノ等という嗜好傾向が確実に形成され始めていたような気がする。  
 お金を払って帰る時に、スタッフのお兄さんから「マドラスは洗う時に色が出るから、絶対に単独で洗うようにお母さんに必ず言って。」言われた。そして帰って母親に見せたら「また随分派手なのを買ったね。だけどこのデザインはアイロン掛けが難しいんだよ・・」言われながら、早速思い出して色落ちの事を言ったら「あァ、これ印度格子か。」マドラス・チェックと呼ぶのは知らなかったみたいだった。  
 その頃のマドラス・チェックは原始的な染色をしていたんだろうねェ、伝統的な草木染めの手織り素材で、洗うと色が出るのが本物のマドラスだとメンクラには書いて有ったし、確かVANのシャツにも、そのような事が書かれた下げ札が付けられていたと思うよ。業界用語的には、その色落ちの事を「泣く」と言い、英語では"Bleeding"だと後にシャツメーカーのヒトから教わった。  
 更には、その昔インドのマドラス地方(現チェンナイ)を統治拠点にしていたイギリスの東インド会社がスコットランドのタータン・チェックを現地の染色や織物技術で再現しようとしてマドラス・チェックが生まれた・・と何かで読んだ事も有って、な~るほど、そんな歴史が有るのかァ・・・なんて感心した事も有ったよ。 
 現在は、マドラス・チェックも品質が随分安定したモノが供給されているんだよ。 

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 ところで映画に登場するマドラス・チェックのボタンダウンシャツと言えば、やっぱりボクは「アメリカン・グラフィティ」のカート・ヘンダースンを演じたリチャード・ドレイファスを思い出すよ。ちょうど映画が公開されたのが74年だったからボクが上京して来た年でも有ってね、それで主人公達の境遇と自分の境遇がダブっちゃって、ラストではちょっとだけ感傷的になった。若かったよ・・・ 
 ところが一方で自分のファッションは既にその頃アイビーを卒業したつもりになっていたのに、やっぱりアメリカ人の着るアイビーはカッコいいなァ・・全然古臭く無いや、などとスクリーンを食い入る様に観ながらあらためて思っていた事を思い出したよ。「アメリカン・グラフィティ」は、その一回で大好きな映画になってしまい、その翌週も2回目を観に行った。多分今までに30回くらいは観たような気がするよ・・・

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 少し話しが戻るけど、半袖のシャツに始まり次はショーツだとかネクタイ、スウィング・トップ、更にはハンカチや財布までマドラス・チェックだらけになって来たボクが次に買ったのが、VANのスニード・ジャケットという名前(プロゴルファーのサム・スニードから命名したんだと多分ショップのお兄さんから聞いた。)のカーディガンのような裏地の無い一重のアウターでね。画像の左側の柄だった。これは、とても使い勝手の良いアイテムでTシャツやハイネックの上に羽織ったり、またある時はホワイトオックスのボタンダウンを中に着て、そして細身のネイビーのニットタイを締めたりしていたんだよ。 
 ただ、当時はめちゃくちゃカッコいいと思っていたんだけど、今発売したらきっと微妙だよね・・・  

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 そんな事を思い出しながら、去年の秋頃久し振りにマドラス・チェックのアウターを何か作ってみようかな?って考えて居たんだよね。ただ、スウィング・トップは何年か前に一度作ったから、そうだ!そろそろアイツを作ってみるか。思い付いたのがマドラス・チェックのジップ・パーカなんだよ。コレ、かなりカッコいいと思うなァ・・・ 
 元々は画像左側に有るような60年代アイテムのイメージなんだけど、実際は80年代初頭くらいまでアメリカでも結構普通に見る事が出来たし、「る~ふ」時代もZERO KINGだとかOUTLANDISH TRADERなんていうブランドのモノを扱っていたんだよ。 
 春先からのベージュやネイビーのコットンパンツやホワイトジーンズ、そして更にはサマーリゾート時のバミューダショーツなんかに恐ろしく相性が良いアウターで、インにはボタンダウンやラコステだけで無くポケTやプリントTなんかにもOKだし、すこぶる使い勝手の良いアイテムだったんだけど、気が付いたら最近は全く見なくなっちゃったよね。 

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 で、どうせ作るのなら・・と思い、久し振りに35サマーズさんに出向き、「今度は何の企みですか?」と既に半歩引いて斜めに構えている担当者をあの手この手で陽動作戦に陥れ、何とか説き伏せて大好きなMIGHTY MACのARO-DECK PARKAを半ば強引にマドラス・チェックで作る事が出来た。 
 ただ独特のゴツいジッパーと大型のT型スライダーが付く事も有って強度的に少し不安だから、まずはちゃんと裏地を付ける事にして、そして表地のチェックも柄の出方や風合いはパッと見、マドラス・チェックなんだけど、実は日本製の打ち込みの良い「それ風」の強度的に優れた生地を色々な生地メーカーから1柄ずつ探して来たんだよ。 
 後は入荷を待つだけなんだよね、楽しみだなァ・・・ボクは赤が入った柄が良いかな?いや、自分で散々選んで気に入って注文した柄だから最終的には全色だなァ。コレ着て自転者通勤するといい気持ちだろうね、楽しいよ、きっと・・・早く桜でも咲かないかねェ。


第113回「ボクの、お気に入りのお店」

 前回のブログを見た口の悪い先輩から「何なんだよ、あのブログ・・マニアック過ぎて、あれじゃウケねェよ!オレも分かんねェし・・・」お叱りを受けちゃったもんね。だから今回は、グッと方向性を変えて分かり易い話しにする事にした。  
 最近お休みになると何故か無性に覗きに行ってみたくなるお店が有ってね。古書の街、神田神保町のすずらん通りに有る「マグニフ」さん、ここはホントに楽しいんだよ。 


 ボク、元々はあんまり古書や古雑誌にスゴく興味が有ったワケじゃ無いから神保町の古書店街に全然詳しくは無いんだけど、何年か前に友達が「お前の好きそうな店が神保町のすずらん通りに有るよ。」と教えてくれたのがきっかけで訪ねたのが最初だったんだよね。 
 お店の構えはこんな感じ。オーナーさん自らがペンキ塗りをしたというカワイイ入り口は一般的なイメージで言う古書店とは違ってかなりポップな佇まい。コレはポイント高いと思ったね。だって、いつ行っても若い女のコが出入りしてるもん。 

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 そしてウィンドウを見ても分かる通り、このお店はファッションやカルチャー系のジャンルにとても強く、それらに関する雑誌や書籍を主に取り扱う言わば古書の"セレクトショップ" なんだよ。 
 そして特にボクが気に入っているポイントは何と言っても、トラッドやアイビー、デニムやワークにウェスタン、そして更にサープラス等と、いわゆるアメリカン・メンズクロージングに関連する雑誌や書籍が、洋の東西を問わず充実している事なんだよね。本当にあれこれ見ていると全部欲しくなっちゃうもんね。  
 こういった嗜好傾向の明確なジャンルのものだけを予めセンス良く集めてくれている・・というのが"セレクトショップ"たる所以だと思うし、自分達がアパレルの世界でやっている事と全く同じ考え方だと思うんだよ。 
 勿論、人に依っては、時間を掛けて神保町の古書店巡りをし、それこそ考古学的に「掘り出す」瞬間や「大発見」を楽しんでいる方もいるだろうし、それぞれの楽しみ方が有って良いと思うんだよね。だけどボクの場合は時間を掛けずに目指すモノを選んだら、その後はオーナーさんとダラダラと世間話をするか「さぼうる」か「ラドリオ」にでも行ってコーヒーかビールでも飲みながら買った雑誌をワクワクしながら眺めるという方が断然好きだなァ・・ 

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 店内を少し紹介すると、左の画像がVANジャケットをキーワードにした、いわゆるアメトラ関連のコーナー。すぐ横には昭和の時代の「メンズ・クラブ」がびっしりと揃っているラックが有って、何と穂積先生のアイビーボーイポスターのオリジナルが上の方に有るよ!これ売り物なのかなァ・・・幾らなんだろう? 
 真ん中の画像はちょうどウィンドウの裏側で良く見ると上の方にノーマン・ロックウェルが描いた有名な表紙の「サタデイ・イブニング・ポスト」が有るよ。スゴいね・・・ボク実物を初めて見たよ。 
 そして右の画像はアメリカの「エスクワイア・マガジン」のコーナーなんかが有るラックで半世紀以上前のモノと思しきヴィンテージレベルの貴重誌が、さりげなくバサバサと積み上げて有るしね。 
 詳しくは、ぜひ「マグニフ」さんのサイトを覗いてみて欲しいと思うんだけど、(本当は是非実際に行ってみて欲しい)とにかくアメリカン・カルチャーを軸としたファッションと洋画と音楽が大好きなボクにとっては本当にパラダイス状態で1日中そこに居たいくらいだよ。お酒でも出してくれれば絶対に帰らないもんね。 
 当然ボク達、セレクト系のアパレル業界の中に居るヒト達にも、ここのお店のファンは多くて、時々遭遇するよ。ケネス・フィールドの草野さんなんかも、あの調子じゃかなり頻繁に出入りしているんだろうなァ・・・ 
 ところで最近トシを取ったせいか時折取材なんかで60年代や70年代の話しをする時に、当時のファッションや風俗はおおまかには思い出せても、ちょっとしたその周辺のアイテムや、その時に公開されてファッションに影響を与えた映画だとか、好きだった女のコと一緒に聴いたヒット曲なんかは、何となく「あの頃」というアバウトな感覚だけで、バラバラとジグゾーパズル的に思い浮かぶだけ浮かんだとしても、それらのピースが全然繋がらない事が多いんだよ。前後関係が曖昧な事も有るしね・・・  
 そんな時に一番有り難い存在なのが当時のファッション誌や情報誌なんだよね。「平凡パンチ」「POPEYE」「CHECK MATE」「MEN'S CLUB」「HOT DOG PRESS」etc.・・・時に「an an」や「Mc.Sister」なんかもね。 当たり前だけど全て発行日が記載されているから本当に「その時」の生々しい情報(広告や、くだらない情報も含めて)が画像と文字で一冊に凝縮されていて、こう言った部分に関しては、後で都合良く編集し直されたインターネットの情報ではちょっと真似出来ないように思うんだよね。 
 だからボクにとってはとても有り難い、話題の裏付け的存在であり、また当時の貴重な情報源になっているんだよ。今さらながら昔の忘れ物を取りに行くような気持ちだけどね。 

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 他にも紹介し切れないくらいステキな雑誌や書籍がこちらを向いていて眩しいくらい。本当に好きなヒトにとっては、ちょっと壮観だと思うよ。 
 最近気が付いたんだけど、ここのお店のスゴい所はオーナーさんが様々な雑誌や書籍の内容をある程度データベースにされているところ。だから先日も「70年代 アメ横 」「80年頃 ラコステ」なんていうキーワードで探して頂いたら。これと、あれと・・・あ、女性誌でもいいんですか?なら、これもありますよ、なんて言いながらヒョイヒョイと出して頂けるんだよね。これにはボク、かなりビックリしたよ。「ヒッチコック特集」って聞くと、やっぱりサラッと出て来るしね。さすがだと思ったよ。うちの近所に有る大型量販系古書チェーンとは全くの別物で瞬時に価格差を意識外に追いやってしまう感じだね。同じセレクト販売をする立場として大いに付加価値の在り方を学ばせて頂いている。  

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 ところでこないだ一瞬欲しくなっちゃったのが、上の「エスクワイア」のマスコット、「エスキー」のPOPスタンド。「わァ!」言った瞬間に察したオーナーさんから先に「非売品なんですゥ・・」言われちゃった。アハハ、ダメだったかねェ・・・それで年明けに会う予定のマックイーン・ファンの友達のお年賀代わりにしようと思って2冊買って来たよ。 

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 こちらが、オーナーの中武康法(ナカダケ ヤスノリ)さん。お話し好きのとっても優しいヒト。ご自分でもドラムを演奏する程の大の音楽好きでボクと同じ初期ビーチボーイズの大ファンでね。そしてアイビーやアメトラが大好きでいわゆるアメリカン・カルチャーにとても詳しい方なんだよ。 
 だから話し出すと終わらなくなっちゃうんだよね。だけどボク・・・時々、本当は結構ジャマなんだろうなァ・・・ 
 みなさんも、もし可能なら一度実際に行ってみてね。そしてあくまで"引き際"を意識しながらオーナーさんと色々と話してみて下さい・・・一発でハマるから。
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