最初ボクはLACOSTEよりもMUNSINGの方が好きだったかも知れない。初めて袖を通したワンポイントマークのアイテムが従兄弟のお下がりのMUNSINGのカーディガンだった事もあってきっと特別な思いがあるんだなァ。もらった時には、すでに結構ボロだったけど周りが「ええの着てるやん。」みたいな事を言うから、更に調子に乗って母親を説き伏せて同じペンギンのワンポイントが付いたハイネック(死語か?)をデパートの輸入物が売られてる特選売り場で買ってもらってね、ネックのところに一本ラインが入ってるヤツ。一時は気に入って、ほぼ一日おきに着てる状態に近かった。VANのボタンダウンじゃなくてカーディガンにはハイネック、そしてベルトレスのパンツが最先端でカッコいいと本気で思ってた。
その頃からボウリングが大ブームになって色々とテレビ番組が有ってね、人気プロボウラーがハイネック着てたから多分流行ってたんだよ。ポロシャツも有ったけど、「あんなんは、オッサンの服やんけ。ヤングはハイネックやでェ。」その時はそう信じてた。実際、父親がポロシャツを着てたからね。
その後空前のワンポイントブームも一息ついたかと思えた頃、ちょうど上京して来た。手元にはMUNSINGやLACOSTEのポロシャツやハイネックが何枚かあったけど、自分の中では「ちょっと、終わった感」がしてたんだよね。ところがアメ横にすぐ通い始めたんだけど、「る〜ふ」や「マルビシ」の界隈で見られる、ボクより年上のカッコいいアメリカンなヒト達が結構MUNSINGを着てるんだよ。これは驚きだった。セーターやハイネック、ポロシャツもそうだったけど、特に画像のようなスタンドカラーのナイロンのウィンドブレーカーは、とりわけカッコいいヒト達が着てたように思う。こういうのをプレスのパンツやニットフレアに着てたんだよね。(本当に当時アメリカで、そういう格好をしてたかどうかは疑問だけどね。)遅ればせながら、ボクも早速買ってマネして同じような格好をしてた。
暫くアメ横に通って、だんだん分かって来たんだけどMUNSINGは随分色々な店で売られていてね。「る〜ふ」にも有ったけど、その近くの「丸高商店」さんや特に「玉美」さんのお向かいにあった「林実業」さんなんかはMUNSINGの専門店みたいで、アメリカ製のMUNSINGがドッサリ積み上げられてて度肝を抜かれたね。おまけにMUNSINGのペンギンのデッカイぬいぐるみまで売ってた。「やっぱりアメ横はMUNSINGだよ。」
で、結局ボクは終わってしまったと思った事なんか、どこかへやってしまって再びMUNSINGを着る事にして、何着かまた増えた。先に書いたウィンドブレーカーや、襟の真後ろにボタンが付いた古いポロシャツなんかも見つけたりしてね。ところがある時にそのMUNSINGのワンポイントがボウリングをしてるペンギンの柄のハイネックを見つけてねェ、その余りの可愛さに衝動買いした事があったけど、かなりお気に入りだった。(画像をお見せ出来ないのが本当に残念。)本当にペンギンがボウリングのタマを投げてるんだよ。あれ、後で後輩に上げちゃったような気がするんだけど、今有ったら是非欲しいなと思う。
その後アメ横に入って「る〜ふ」でもMUNSINGを扱ってたけど、その頃のMUNSINGのポロシャツのワンポイントは色が付いていて「カラーマンシング」なんて呼んでた。その頃日本のライセンス生産のMUNSINGは単色のワンポイントだったと思うから、カラーなのは明らかにアメリカ製だというのが分かって、すごく人気があったんだよ。
画像の古そうなポロシャツは、前に「る〜ふ」の先輩から譲り受けたヤツだけど70年代前半のヤツで、ボクは知らなかったんだけどペンギンの居ないMUNSINGもあったんだね。
そういえば日本でも当時相当売れたと思うんだけど、カサのワンポイントマークでお馴染みの著名プロゴルファー「アーノルドパーマー」の写真を雑誌で見た事があってね、何とMUNSINGを着て笑ってた。これが、いわゆる「大人の事情」というヤツだなァ・・。
今もMUNSINGは、「バーニーズ ニューヨーク」とのコラボ企画なんかもやってて、健在だよね。ボク達の業界と、現在は少し違う位置づけだと思うんだけどボク個人的には、今でもやっぱり気になるブランドのひとつだね。