高校生の時に初めて神戸で買ったアメリカ製のペニーローファーは、いささか個人的な話しだけど自分のファッション史においても単なる好き嫌いを超越した存在でね。そう、当店のウルトラ定番でもあるBASS WEEJUNSのペニーローファーの話はそのうち書かなきゃいけないなァと思っていたら最近こんな事があってね。
先月くらいの話しだけど、我が舎弟の飯野高広クン(名著「紳士靴を嗜む」の著者)がメールをくれて「ご存知でしたか?原宿にBASSのスコッチグレインのペニーローファーが売ってますよ!それもアメリカ製なんですよ。」「え〜??ウソ・・オレ、欲しい。」ってなもんで購入するかどうかは別にして何としてでも、この目で確かめて触ってみたかった。
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BASSのローファーは、60年代のアイビーや80年頃のプレッピーの足元を代表するアイコンとして時代を牽引し、そしてここ2〜3年あらためてその存在が確実に再認識されてるよね。とりわけ今は無きスコッチグレインのモノは多分90年を待たずに姿を消してしまった名品であり、またボクにとってもとても思い入れが強いアイテムだった。
飯野クンに聞いた翌日だったかに、たまたま原宿方面で商談が有って早めに到着した事もあり、ブラブラと、そのBASSを探しに行くかァ・・なんて歩いてたら、キャシディの八木沢さんのお店の前で八木沢さんと目が合ってしまった。だいぶご無沙汰だったので「お元気ですか?」なんて他愛もない立ち話を始めたんだけど、突如思い出して「そう言えば知人から聞いたんですけど、八木沢さんBASSのアメリカ製のスコッチグレインのローファーがあるのをご存知ですか?」と聞いてみた。そしたら何て事は無く「うちの向こうの店(キャシディさんの本店)にありますよ。」ありゃァ、そうなのか。でもやっぱりサスガだなと思った。ボクなんか前日まで存在すら知らなかったからね。
「ボクらの頃って、やっぱりスコッチのローファーって言えばBASSってカンジで、アメ横で見てて憧れだったですよね。」と八木沢さん。ボクも「ホントですよね、何かスコッチの革の方が高級感が有ってカッコ良かったですよね。」そんな会話をしてた。更に「今回のはね、マーク・マクナリーがプロデュースしたアイテムなんですよ。」と教えて頂いた。「だけど、アウトソールはL.L.BEANのブラッチャーモカシンのようなラバーソールでね。ボクらの時代のイメージだとBASSのスコッチって言うと当然のようにレザーソールなんですけど、そこが今風なんですよ。」って。そこまで伺って時間が無くなったのでお礼を言って失礼をさせて頂いた。
その後、業者の方とランチを兼ねてダラダラと一時間半も商談をし、終わったので早速キャシディさんの本店にお伺いしてみた。スタッフの方にお訊ねして、その問題のBASSのスコッチを見せて頂いた。やっぱりスゴくいい顔してた、これは売れそうだよね。お値段はサスガに、マクナリーのプロデュースでアメリカ製だったら、やっぱり3万円台後半くらいはするよねェ。いいなァ・・欲しいなァ。
お邪魔をしたお礼を言って帰りながら頭の中で考えていたのは、やっぱり自分の好みで言えばBASSのスコッチならやっぱりレザーソールで履きたいから、アレを購入してソールをレザーに交換したら結局幾ら掛かるんだろう?って。今、手元には過去にソールを二度程交換した、かろうじて履けるBASSのスコッチが一足あるから、そいつがもう一回ソール交換が可能なんだろうか?一度当店のシューズリペアを担当してくれてる渋谷の「ケーニッヒ・デア・マイスター」の出原君にでも聞いてからにするか・・みたいなカンジでね。
やっぱりBASSのスコッチのローファーって言うと当時から本当に大好きで、ご自慢の一足だったから、今でもそう聞くとボルテージが極端に上がってしまう。
BASS WEEJUNSの存在を初めて知ったのは、まだ京都に居た頃だったけどBASS WEEJUNSを最初にボクに教えてくれた先輩は何故か「バス」と言わないで「バズ」と濁って発音しててね。これは割と東京に来てからも顕著で「る〜ふ」の先輩や、当時のお客様で年上のヒトなんかも「バズ」と呼ぶヒトが多かった。どうしてなんだろうね。
画像のヤツは、74年か75年くらいのものでね。BASSとしては2足目だけど初めて買ったスコッチグレインのWEEJUNSは、やや赤みが強くて、後半のヤツよりスコッチの粒が大きいのが特徴だった。(さすがにコイツは写真では分かりにくいんだけど、あっちこっち革の表面がヒビ割れてて確実に末期症状である。次に履いたらパチンと割れてバラバラになりそうなカンジ。)丁度その頃のBASSはノーズが今のモノよりもう少し短かったんだよね。LEVI'SやFARAHのコットンパンツやホワイトジーンズに履いたりしてたんだよ。
2番目のモノは80年くらいだったと思うけど、「る〜ふ」の時に扱ってたもので、当時はまだ前者が元気だったから、気にしてなかったら自分のサイズの在庫が無くなっちゃって、ワンサイズ小さいのを「行けるか?」なんて思って結局買っちゃったんだよね。比較的ダメージは少ないんだけど致命的なのは、やっぱり最後までちょっときつくてね。笑っちゃうよね、現在は例によって履き口に足すら入らないんだよ。
で、3番目のヤツが今もかろうじて現役なんだけど、2番目のがやっぱりきついからって買い直したヤツね。当時ブラックのスコッチも有ったんだけど、結局あんまり履かなくって後輩にあげちゃったと思うなァ。でもこのブラウンのは結構履き込んでるから、きっとかなりガタが来てるよね。
そういうワケで、新しいBASSのスコッチのローファーが欲しかったんだけどね。それでマクナリープロデュースのモノは、あれはあれで是非余裕が出来たら欲しいと思うんだけど、一方現在のBASS社のレギュラーラインでは、スコッチグレインのローファーは、何とビーフロールタイプのみ。よりによってビーフロールだよ。せっかくスコッチグレインの革を使ってるのに!あのペタッとしたフラットなストラップの方で、そして勿論レザーソールでやってて欲しかったのにね。是非復活させてくれればまず自分のを2足買うね。今度こそちゃんと足が痛くならないヤツ。それでまず1足普通に履いて、そしてもう1足は、またいつラインから姿を消すか分からないから10年くらい温存してもっとジジィになってから履く予備のヤツ。
あっ!まさか・・・ひょっとして、まだこの先ボクの足のサイズって更に成長してデカくなるんだろうか?誰か教えてくれない?