トップ > 入荷情報

新着情報

staffblog

2016年9月アーカイブ

第128回「一生モノ」

 今月発売の雑誌「BEGIN」11月号、今回は"10年モノ ランキング"の特集だって。で、中身を見てみるとね、「うんうん、なるほど・・・みんなスゴいよねェ」ALDENにLEVI'S、CONVERSE、ROLEX・・・「業界の皆さん、アイテムに対する愛情が満ちていて本当に好きなんだね~サスガだよ」あらためて感心してしまった。 
 一応ボクも基本的にモノは大好きだから数だけはいっぱい有るよ、大半は粗大ゴミの山じゃ無いの?って周りからは、いつも言われているけどね。おまけに人間自体が古いから10年どころじゃ無くってもっと年月が経っているモノが行き場を失ってあちらこちらに散乱しているカンジ、全然自慢にも何もならないよね・・・この先、ボクはコレらを最終的にどうするんだろうねェ・・・ 
 ところで最近は"一生モノ"ってあまり言わなくなったよね。やっぱり今は"一生"という言葉を使ったり印刷物にしたりするとマズかったりするのかな?(と、思ってうちの店頭を見ていたらVANSONのレザートートにうちのマネージャーの小山くんが"一生モノ(になるかも・・)"とPOPを付けていやがった・・・苦笑) 

b9_128_01.jpg

  以前は"LIFE TIME STANDARD"なんていうカッコいい響きがする言葉も有って(誰かが作った造語なのかな?)ボクも個人的に好きな言い方だったから接客の時には良く使っていたし、時に雑誌の特集記事にもなったりしていた事が有ったんだけどね。 
 確かに思い返せばボクなんかもアメ横の時代なんて、REDWINGのブーツやSCHOTTのボマーみたいに、ちょっとやそっとではへこたれたり壊れにくそうなアイテムなどは「コレは大切に付き合って行けば、まず一生モノですからね・・・」なんて言いながら接客していた事も有るし、まさかお客様も「本当にヒトが生涯を終えるまで間違い無く使えるんですか?」なんて野暮な事を言い出すヒトも居なかったしね。 
 そこで考えてみたんだよ、10年や20年じゃ無く、今自分が愛用品として身に付けているアイテムの中で本当に生涯を終えるまで使い続ける事が出来るモノって幾つくらい有るんだろうか?ってね。 
 まず山ほど有るボクの洋服の類、それぞれの時代の特徴が出過ぎていて今さら恥ずかしくて人前では着られないというアイテムやサイズが合わない(小さくて着られない)アイテムは捨てない限り最後まで残るんだろうけど、基本的に繊維や布地には自ずと耐久性に限界が有るから、どんなに大切にしていても着続ける以上は多分生涯と言うのは難しいんじゃ無いだろうかね。(年に2~3回袖を通す程度で着続けるとは、きっと言っちゃいけないと思うんだよ) 
 仮に経年変化にも耐えて、かなり丈夫そうに思えるサープラスの#M-65ジャケットやデニムのGジャンなんかでも、やっぱり袖口や襟周りなどの要所々々がそのうちに擦り切れてダメになったりするもんね。 
 じゃァ、やっぱり究極の素材はレザーだよ!そう思ったけれど、丈夫そうに思えて袖口や裾なんかにリブを使ったモノなんかは、やっぱりそこからダメになっちゃうからあんまり凝ったものよりは、もっと単純な構造の方がきっと頑丈なんだよ。更に裏地を付けたモノだと絶対に裏地自体が先に破けて来るから、きっと裏地も最初から無い方がいいよね。 
 そうすると結局、大切に着ればひょっとして生涯着用が可能そうなのは#B-3 BOMBER JACKETや単純な構造のムートンコートくらいしか思い付かなかったよ。ただファッション・トレンドの潮流から明らかに外れている時にも着続ける勇気が有るかどうかという別のテーマが存在するんだけどね。 

b9_128_02.jpg

 一方リストウォッチなんかは、経年変化や摩耗等に強い金属がほとんど構成要素だからファッションアイテムと呼ぶには少し特殊だとは思うけれど、基本的には大丈夫そうに思うんだよ。 

b9_128_03.jpg

 特に実用時計としてのパフォーマンスに優れたROLEX OYSTERやHAMILTONのKHAKIみたいなのはメンテナンスさえ怠らなければ次世代に残せそうな気がするよ。 
 画像のモノは結構な年月の間ボクが交代で使い分けているリストウォッチだけど特にROLEXの方は実はコレ、手巻きのムーブメントなんだよね。ちょっとレトロな顔付きでボーイズサイズだというのがとっても気に入っていて多分30年以上は愛用していると思うけど、今さら防水機能も怪しいまま一応ベルトも交換し、ムーブメントのパーツなんかも都度交換しながら「あともう少し頑張ってね~!」ってカンジだよ。 
 (ちょっと余談だけどアメ横に居た頃ね、やっぱり当時も周りにうなる程売られていたから仲間達も若いクセに結構無理してROLEXを買っていてね、それでボーイズサイズの事は男物と女物の中間に位置するから、みんな「オカマサイズ」という呼び方をして居たのを今懐かしく思い出した。) 
 話しを元に戻すけど、そう考えると革で出来たワーク系のブーツやバッグの類はやっぱり丈夫だよね、グッドイヤーウェルト製法の靴ならある程度のソール交換が可能だし、ブライドルレザーで出来たバッグなんかは壊れそうな気がしないもんね。 
 と、言いつつそんなアイテムにメンテナンスやソール交換等をきちんと施していたとしても、本当に生涯使用に耐えるか?と聞かれると、やっぱり最終的には靴ならアッパーの銀面のシワ部分から劣化して行ったりライニングが破けて来たりする事が有るし、バッグなんかは底の角っこの部分やハンドルから傷んだり劣化する事も多いよね。特に金属製の錠前等が付いている場合なんかは、酷使によってそこが壊れちゃう時も有るもんね。 
 そんな事をあれこれ考えていたら何となく分かって来たよ、要するにモノを使い続けながら長持ちさせる為には出来るだけ丈夫な素材を使い、メンテナンスが余り必要じゃ無く、そして構造が単純で有れば単純な程良いんだよ。 
 そうだ!ベルトだよね・・・それも肉厚の1枚革のヤツで構造が単純なヤツ。で、思い出したのが、やっぱりアレだよね!と言う事で・・・何とか言う真正英国馬具メーカーのベルト。ところが残念な事に若い頃、気に入って数年間使っていながら2本共後輩の手に渡ってしまったんだよ。 
 結構気に入っていたんだけど、それらと一緒にアメリカに引っ越ししたら暫くの間に、どうしてだかピンを留める穴がどんどん3番から1番の方へと外側に移動し、新しく0番が必要なくらいになっちゃっただけなんだけどね・・・ 
 仕方が無いのでボクと同じ時に購入した弟に「昔からしているイギリスのベルトって、まだ使ってる?」って聞いたら「今日も使っているけれど全然現役だよ、手入れなんかほとんどしてないけど・・・」言うから「画像を撮りたいからちょっと貸してくれない?」お願いしてみた。 
 「分かったよ、送るけど画像を撮ったらさっさと返してくれる?他に無いんだから・・・」で、送ってもらったのが画像のヤツ。大した手入れもしないのに全然現役バリバリなカンジだった。

b9_128_04.jpg
b9_128_06.jpg

 「ところで、あれからもう何年くらい使っているんだっけ?」 
「高校生だったから40年までは経ってないと思うけど、そんなもんじゃない?」 
 うん、これなら大切にすればひょっとして生涯着用が可能かも知れないねェ・・・妙に納得したよ。 

b9_128_07.jpg

 現在ご当地WALSALLには元々生産していた200年以上続く工場と熟練した職人さん達が残って引き続き同じモノを作り続ける事になったと聞いた。 
 イギリスでは乗馬のサドルを含む馬具を生産する由緒正しい馬具工場が"SADDLERY"を名乗る(ここが結構大事なポイントだとボクは思っている)のだけど馬具の鞍(サドル)と鐙(あぶみ)をつなぐ部分に使用するスティラップレザーを使用したシンプルなベルト、コレこそがやっぱり"一生モノ(になるかも・・・)"知れないと今回思ったよ。 
 それにボクの場合は、そろそろ残りが少ないから絶対に生涯大丈夫だよね。もうこれ以上太らなければ・・・だけど。 

b9_128_08.jpg

  来月くらいにようやく本格的に入荷するから、今回はマジメに2本程買うと思うよ。
b9_127_01.jpg

 今でこそ、ボクも「このLACOSTEはフランスメイドで・・・」だとか「フランスのd'Arvorにダブルネーム別注をして・・・」「有名なアビーロードのジャケットでジョンが履いているのが実はSPRING COURTのスニーカーで・・・」などとエラそうな事を言っているけれど、アメ横に勤め始めた頃、ボクはADIDASのスニーカーは別にして、トップスやボトムはアメリカ製一辺倒だったから"る~ふ"ではフランスやイタリア等のヨーロッパ製品(SASSONのジーンズやFILAのポロシャツみたいなアイテム)も一部扱ってはいたけれど実際には何がカッコいいんだか余り良く分かっていなかったと思うんだよね。 
 そもそもアイビーから始まったアメリカのファッションにどっぷりと浸かりきった半生が今現在のボクを形成しているのだからアメトラのルーツであるイギリス物は別にして、ボク自身のスタイルは今でも余りヨーロッパの香りはしないんじゃないかと思っている。  
 だけど一応、フランス製やイタリア製のアイテムも持っているし、ちゃんと着る事も有るんだよ・・・。 
 そう言えば、以前どこかに書いたと思うけれど、最初ボクはLACOSTEよりMUNSINGWEARの方が好きだったんだよね。理由は至ってシンプルでアメリカのLACOSTEである"IZOD"が登場する以前はMUNSINGWEARこそがアメリカのブランドだと思っていたからなんだよね、それだけだよ。本当に単純だった。 
 一方LACOSTEに関しては従兄弟が、よく着ていたから何となくフランスのブランドだという認識はしていたけれど、当時のフランスのメンズファッションに付いては全然イメージも出来なかったし、たぶん余り興味も持って無かったんだよね。 
 ただ母親が洋裁の仕事をしていた時「今年パリで流行のオートクチュールがこんなカンジで・・・」とか言いながらお弟子さんに「ドレスメーキング」という雑誌を見せながら教えたりしていたので、さぞかし男も女もオシャレな国なんだろうなァ・・などとボンヤリ思っていた。 
 そもそも小学校の頃、ボクにとってフランスという国のイメージは?と言うと、近所のお金持ちの女のコが一緒に遊ぶと時々一個くれた不二家の「フランスキャラメル」そして従姉妹のネーちゃんが部屋に写真を貼って入れ上げていた「アラン・ドロン」。(彼が来日した時に京都に来て、その時に立ち寄ったという立命館大学近くの「ピエール」という喫茶店に後日連れて行かされ、彼が座ったというテーブルで記念写真を撮らされた。)そして当時、子供達に大人気だった「おそ松くん」に、やおら登場した「イヤミ」だった。 

b9_127_02.jpg

 特に「イヤミ」は今考えれば、かなり屈折したフランスのイメージを強烈にボクに植え付けた張本人で、キザでお金儲けが大好き、大概いつもスーツを着て登場し、そしてヒトを小馬鹿にしたようなキャラクターは、当時の子供達の中では瞬く間に人気に火が付き「自分の事」は「ミー」そして「キミ」の事は「チミ」、そして何かにつけて「おフランスでは・・・」と洋行帰りを鼻にかけ、語尾に「ざんす」を付けるという話し方は、学校中でみんながマネをするようになり、ボクなんか給食の時間に「残さず全部食べなさい!」と注意した先生に「ミーはニンジンが大嫌いなんざんす!」と言ったらクラス中が大爆笑する中、こっぴどく叱られた事が有った。 
 そして一世を風靡した「シェー!」に関しては当時、日本全国の小学生で「シェー!」の出来ない子供は一人も居なかったと思うよ。 
 ちょっとネットから画像を拝借して来たけど一番左のオリジナルに続き、何と皇太子殿下、そして来日中だったジョン・レノン、一番右側はゴジラ・・・当時、日本は大変な事になっていた。 

b9_127_03.jpg

 ちょっと話しがそれちゃったけれど、あまりにもテキトーなフランスのイメージを持ったままアイビーの時代に突入したボクは、高校生になった頃VANがライセンス生産を行っていた"SPALDING"というブランドを実は、しばらくの間アメリカの製品だと思い込んでいて、よく商品を見に行っていたんだよね。ところが"SPALDING"は普通のVANショップには取り扱いが無くて、地元の京都では"TEIJIN MEN'S SHOP"か"KENT HOUSE"のようなお店でしか売っていなかったんだよ。(・・・と、思うんだけど。) 

b9_127_04.jpg

 そしたらある時に"SPALDING"と並べてディスプレイしてあった"HAUSER SPORT"というブランドが目にとまってね、スタッフの方に「これは、何ですか?」って聞いてみたらフランスの有名なスポーツウェアのブランドだって言うんだよ。 
 3色(トリコロールの事ね)のニワトリのワッペンが付いていたりするアイテムも有ったんだけど、当時スキー部だった友達の間で流行っていたスキーウェアのブランドに似たマークにも思えてね。(現在流通しているブランドにも、やっぱり似たのが有るよね?)それに何だかやたらに値段が高かったんだよ。 
 だけど基本的にはボクの欲しいテイストのモノでは無かったから結局一度も購入した事は無かった。 

b9_127_05.jpg

 そんなこんなで、なかなかフランスに縁の無かったボクが"る~ふ"に入って何となく「これなら、行けそう・・・かなり、カッコいいもんね。」そう思ったのがSt.Jamesのバスクシャツだったんだよね。その頃は、まだ先輩達もみんな「セントジェームス」では無くて「サンジェームス」って呼んでいたよ。 
 ある時にお客様の中でSt.James をペインターパンツにとっても上手に合わせているヒトが居てね、STAN SMITHとかJACK PURCELLを合わせて履くんだよ。早速ボクもマネをさせてもらった。 
 写真はちょうどその頃の"る~ふ"の店頭。良く見るとウィンドウの左下にSt.Jamesが見えるよね。 
 ついでに言うと突き当りのウィンドウが金沢食品さんのウィンドウ。そしてそのすぐ前が1メートルくらいの幅のT字路になっていて、ちょうどJALのショルダーバッグ(コレも懐かしい!)を持ったお兄さんの向いている方が"ミウラ"の方。そして更に真っ直ぐ4軒ほど行くと左側に"ヤヨイ"さんが有ったんだよ。 

b9_127_06.jpg

 ところでSt.Jamesにヴィンテージだとか旧タグだとか言う概念が有るのかどうか良く分からないんだけど、画像のモノは8~9年くらい前に一度シャレで代理店さんとつるんで少量復刻したお馴染みのピースネームが懐かしい小文字のヤツ。ネックラベルもプリントしたペラペラした白いタグでプリント部分がすぐ消えてしまうチープな古いタイプのモノを付けたりしたんだけど、お客様には全然ウケなくてあんまり売れなかった。 
 そう言えば以前「フント二モー」のいであつし君に「St.Jamesってピカソも着ていたのを知ってた?あの、ほらNAVALって言うヤツ・・・やっぱ、パリと言えば芸術の都なんだもんねェ・・・さすがオシャレだと思わない?」って言ったら「今はさ、ご当地フランスのパリでボーダーのバスクシャツを素肌に一枚だけで着ているのは本当に作業服として着ている肉屋さんとかくらいなんだよ!だから玉木さんもピカソの真似してパリでセントジェームスを着るのは絶対にやめた方がいいよ。」ってさ。(下のイラストは、バスクシャツを着た、いであつしくんを描いた綿谷画伯の作品ね。)  

B9_127_07.jpg

 まァ、そんなこんなでもう40年近くもSt.JamesのOuessantは愛用し続けているし、当店でも創業以来の定番としてずっと扱い続けているんだよ。そして、このアイテムのスゴい所は、どんなファッションの流れになっても、ちゃんとカッコ良く時流に沿ったコーディネートが出来るという事だよね。  
 そしてボクの場合は、さんざん着倒して、さすがにビロビロになって来たら(と言いつつ、古くなっても捨てられないから何枚も溜まっちゃっているんだけどね・・・苦笑)今度はパジャマになったり、意外に快適なのが枕にかぶせてカバーにすると個人的には、この硬めの素材感が気持ち良くってね・・・。  
 そして最後はハサミを入れられてクルマの窓拭きとか靴磨き用になっちゃうんだけど、最後までスゴいアイテムだといつも思うんだよ。 
 「チミ達もミーとかピカソのように、おフランスのオシャレなセントジェームスを、どんどん着てカッコ良くなるざんす!」
1

features

SEPTISオーナー玉木朗の超B級アーカイブ

SEPTISスタッフのブログ