やっと春が来たよね。毎年今頃になるとようやくボクは足元を気にするようになると言うか、基本的に超寒がりだから冬場は「とにかく寒くない靴」をキーワードに選ぶのでローファーの出番なんて、ほとんど無いよ。
だけど春の訪れと共に、ようやくスニーカーやローファー、デッキモカシンなんかの事を「さて、この春はどうしようか?」なんて考え始めるんだよね。ボトムのロールアップも出来るし、ソックスのカラーや柄まで考え出すと楽しくてキリが無くなっちゃうけどね。
そんな事をここ数日考えていたら、つい先日SEBAGOのビーフロール・ローファーを買ってご機嫌で履いているスタッフの大津くんがこんな格好をして来た。
「お~!そう来るか、久し振りに見るド直球(笑)だけど最近ボクはそちら側に振れた事が一度も無かったよ。」その太目のLEVI'S#501をちょいとロールアップして、そしてブラックのピカピカのビーフロール・ローファー!いいねェ・・別に新しい格好でも何でも無いんだけど、とても新鮮に見えちゃった。確かにここ最近はボクも割りと細っこいボトムが多くて太目のデニムなんか穿いて無かったからね。
「よし!オレもアレをやるぞ!」早速負けずにSEBAGOのビーフロールのブラックを買っちゃったもんね。
「ビーフロール・・やっぱり顔付きがいいよね!久し振りだよ。」と言うか、以前から持っているSEBAGOのビーフロールはサイズが小さくってね。唯一何とか履けるのが右側のフラット・ストラップ・ペニーなんだよ。
勿論、BASS WEEJUNSのようなフラット・ストラップも大好きだけど、今回はSEBAGOのビーフロールが気分なんだよ。で、負けずに同じ格好をしてみたんだもんね・・・
一応ね、自分の中の感覚ではフラット・ストラップのブラウンのローファーが、言わばアイビースタイルで優しい顔付きの「お坊ちゃんローファー」だとしたら、もう少しヤンチャな野郎臭い「あんちゃんローファー」は当然、磨き上げたブラックのビーフロールにトドメを刺すだろうという、何だか分かるような分からないような定義を昔から何となく持っているんだよ。あ、ボクが勝手に言っているだけだからね・・・
ところで去年だったかに雑誌の取材の合間に雑談をしていたら若いエディターさんがうちの事務所に積んであるSEBAGOのボックスを見ながら「SEBAGOって結構昔から有名なんですか?」って聞くから、分かり易いかな?って思って自分の本のローファーに付いて書いたページをお見せしたんだよね。そして「ビーフロール・ローファーはSEBAGOがプロトタイプなんだよ。」って言ったら「へェ~!そうなんですかァ・・」って。
ついでに参考になればと思って数年前だったかにイギリスで出版された"THE IVY LOOK"っていう本もお見せしたんだよね。
ちゃんと紹介されているんだよ。1957年にスタン・ゲッツとジェリー・マリガンが共演した名アルバムのバックカバーはボタンダウンを着たスタン・ゲッツとそしてSEBAGOのビーフロール・ローファーを履いたジェリー・マリガンの写真なんだよね。
テキストに、ちゃんと"SEBAGOのビーフロール・ローファーを履いたジェリー・マリガン"・・と解説してあるんだよ。
勿論、日本でも何度と無くファッション誌等に色々と紹介はされているんだけど、ボクが知っている一番古いSEBAGOに関する記事は1973年に発刊された、くろすとしゆき先生の「トラッド歳時記」なんだよね。
ちょうどボクがSEBAGOというアメリカ製のローファーを生まれて初めて買ってしばらくしてこの記事を読んだものだから嬉しくなっちゃって「やったァ、オレの選択は間違っていないよ!当然、無理はしたぞ・・」なんてね。
話は飛ぶけど、ちょうど80年代の中頃だったかに何度か仕事でL.L.Beanや幾つかのハンドソウン・モカシンメーカーのあるメイン州に行った事が有るんだよね。ニューヨークのラガーディア空港から1時間半くらい。PORTLAND INT'L JET PORTっていう小ぢんまりした空港に到着するんだけど、そこのロビーにSEBAGOのショーケースが有って、その中には製品と一緒にヒストリーを書いたパネルや、写真、制作途中のローファーなどが展示されていたんだよね。さすが靴のメッカだと感心したのを思い出した。
左のイラストのオジさんは、SEBAGOがまだ小さな町工場だった頃から宣伝を担当していたジャック・へイビ-という方なんだそうだよ。そして右側はボクが初めて買ったSEBAGOのソックシート・ロゴ。(履き潰して、最後捨てる時に中敷きだけ記念に剥がした。)
そう言えば、その空港に隣接したAVISレンタカーのオフィスに貼って有った観光案内ポスターを見てSEBAGOというのは実はメイン州に有る有名な湖の名前だと言う事も同時に知ったんだけどね。それこそ、「へェ~!」ってなもんだった。