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第96回「緊急番外編・・健さんを悼む」

 去る11月18日のちょうどお昼頃に友達からの連絡で知ったんだよね。「健さんが死んじゃった!今、YAHOOのトップに出ているよ・・」「ウソ~!!」もう半信半疑でYAHOOの画面を見たボクは一瞬自分の目を疑ってしまったんだよね、でも残念ながら事実だった。 
 ボクは普段余り健さんの事を気にした事は無かったのだけど、健さんは、健さんという不死身の存在みたいにボンヤリと思っていてボク達凡人とは違って年を取ったりしないんだよ・・くらいに思っていたから、今度ばかりは超ショックだった。
 もうかれこれ40年近く前にアメ横の「る~ふ」に入りたての鼻たれ小僧だったボクはフラリと現れた想像よりもはるかに長身の(当時は、まだバラックだった「る~ふ」の天井も低かったんだよね、きっと・・苦笑)健さんを見上げて思わず「わァ、本物だ・・」とか言っちゃったんだけど、黙って立っているだけで無条件にカッコ良かったよ。 
 健さんとお付のヒトには主に先輩がいつも対応していたんだと思うけど、自分の記憶が間違って無ければ、その当時まだ日本の輸入元ではラインナップされていなかったBARACUTA #G-9のブラックが本当は有ると思うので探してくれますか?というような事をボクの方を向いて言ったと記憶しているよ。当時は時々お付のヒトから電話が有って、「BARACUTAは今どんな感じで在庫が有りますか?」って。それで在庫帳を見ながら、アレとコレと・・と1着づつ確認しながらお取り置きをしていくんだよね。
 健さんが着るサイズは当時44。だけど、他に38とか40とか色違いも含めて時に何着も買って行くんだよ。最初は、スゴいなァ何かの衣装にでもなるのかなァ?・・と思っていたら他のサイズは気に入ったヒトにプレゼントしちゃうんだって聞いた。 
 今でこそBARACUTA #G-9の一番似合うスターは当然のようにスティーブ・マックイーンって事になっているけどボク達の時代、本当は健さんだったんだと思うんだよね。以前、当店のサイトで連載?していた、いであつしくんの 「メイドイン フント二モー」でもBARACUTAの巻が有って、いであつしくんがちょうどボクが「る~ふ」に居た頃くらいに放映されていた「あにき」というドラマでBARACUTAを着て出て来るクールな健さんを熱く語ってくれていたんだよ。そしてその原稿の中では、CASSIDYの八木沢さんもやっぱり「BARACUTAと言えば、我々の世代はマックイーンじゃ無くて健さんですよね。」と仰っていたと書いてあった。 
 久しぶりに、いであつしくんに電話をして健さんの事を話していたら彼曰く、「今回の訃報を聞いて、あらためて映画の作品や人柄に付いて何人もの著名な方が熱くコメントしているんだけど、実は健さんのハイレベルなファッションに付いて語っているヒトが誰も居ないんだよ!」。事実、ここ2,3日ボクも同じ事を思っていたんだよね。実際ファッションに深く携わっていれば時に感動すらおぼえる健さん独特のUNDERSTATEMENT(誇張せず、さり気なく控え目な主張・・実はこの言葉、今日いであつしくんが教えてくれたんだけどね。)の精神に基づくアイテムの選定やツボを押さえた着こなしは、いつ見ても超カッコ良かったもんね。 
 聞けば今もなお、いであつしくんの所にはそれこそ現在ボク達のインポートやセレクト業界の重鎮である、聞けば驚くようなビッグネームの方々が、その健さんのファッションと具体的なアイテムや着こなし、そして実際の接客等での自分との関わりに付いて熱っぽく語るコメントが殺到していて大変な事になっていると言っていた。 
 ここで、当時連載?していた「フントニモー」に掲載された、あの綿谷画伯のイラストをもう一度再掲載してみるね。当時「あにき」に出演していた頃の健さんのBARACUTA #G-9の着こなしなんだよね。そう言えば、一昨日綿谷画伯からも連絡が来て「ボク達の昭和は遠くなりにけり・・だね。」と寂しそうに言っていた。

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 様々なメディアが健さんの訃報とそして著名人からの賛辞の言葉を伝える中、唯一11月19日付けの東京新聞朝刊の記事くらいがきちんと、ボク達の言う健さんのそのストイックな哲学に裏付けられたファッションに付いて触れていたのでここに紹介するね・・と言いながら良く読んで見ると、そうそう・・そうなんだよね、スゴく良い事書いて有るよ。 と思ったら、なァ~んだ、ちゃんといであつしくんが絡んでいるんじゃないか。サスガだ。 

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