真夏の夜の、全然どうでも良いハナシ

真夏の夜の、全然どうでも良いハナシ

 昭和の時代の話ね。いつも古くてゴメンなさい!あの頃まだまだ遠かった憧れの地、アメリカのプロゴルフのスーパープレーヤー、アーノルド・パーマーの人気は、日本でもそりゃァ凄かったんだよ。テレビにバンバン出て来るからボク達みたいな子供でさえN.Yヤンキースのミッキー・マントルは知らなくても普通にアーノルド・パーマーの名前は知っていたもんね。

 当時、もはや戦後では無い・・と言う言葉を旗印に高度成長期に突入していた日本でも東京オリンピックの頃くらいか、もう少し経ってからだったのかな?カラーテレビやクルマ、クーラーの三種の神器に加え、少しずつ出て来たレジャーを楽しむというささやかな経済的余裕の中、ゴルフも結構なブームになったんだよ。

 そんな中で「帝王」と呼ばれたジャック・ニクラウスやゲーリー・プレーヤーなんかも人気は高かったと思うけど、庶民派ムードでいつもニコニコしているアーノルド・パーマーの人気はやっぱり突出していたと思うよ。何とかアーニーズ?だっけか・・っていう親衛隊の存在も有名でパーマーの後ろにくっついて一緒にコースをぞろぞろと団体で移動して行くんだよ。

 パーマーは実際にゴルフの実力は勿論ピカイチだったと思うけど、それまでのアイビースタイルをルーツとするアメリカンファッションとは、また別の生い立ちを持つそのカラフルで躍動感のあるカッコいい彼のスポーツファッションを次世代の新しいアメリカンスタイルだと解釈してボクの従兄弟なんかも良く真似ていたもんね。パーマーの出演しているテレビ番組を何度か無理やり一緒に観せられたりしていたよ。

 その従兄弟が打ちっぱなしの練習に行く時には、わざわざハイネックに着替えてカーディガンを羽織り、そしてベルトレスのパンツを穿いてそれっぽい格好をして行くんだよ。その時は、一応身内だけど割りとカッコいいかなと思っていた。ただ乗り物がちょっと残念でさ、スーパーカブなんだもんね。器用に何本かクラブを持って乗っかって行くんだよ。

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 ここに当時のMUNSINGWEARの広告があるけど、従兄弟が目指していたのはこんな感じの格好だった。ボクも何度かスーパーカブの後ろに乗せてもらって練習場について行ったけれど格好とは裏腹に従兄弟の腕前はとんでもなく下手だった。

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 画像は握手をするジャック・ニクラウスとアーノルド・パーマー、パーマーはお約束の「カサ」のマークだけど、ニクラウスは・・おっとコレは「GOLDEN BEAR」じゃ無くって、まだMUNSINGWEARのペンギンだねェ。

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 その「カサ」のマークのポロシャツをボクが認識し始めたのは多分中学3年の頃だったと思うんだよね。でもボクはどうしても従兄弟が着ていたMUNSINGWEARの方が欲しくて、結局買ってもらわなかったけど友達が黒い学生ズボンに合わせて得意になって着ていたような気がするよ。

 実は自分の本にもチラッと書いたけど、そのアーノルド・パーマーも最初はMUNSINGWEARを着ていたんだよ。本には色々と大人の事情で掲載が出来なかったけど画像はこれ。多分当時はパーマー自身が着てテレビを初めあちこちのメディアに散々露出するもんだからアメリカ本土でもMUNSINGWEARは爆発的に売れたんだろうねェ・・。

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 だから勝手な想像だけど、MUNSINGWEARがあんまり売れるもんだからアーノルド・パーマーのワンポイントを作ったら、きっとバカバカ売れるよ~ってな感じになったんだろうなァ。確かに日本では当時爆発的に売れていたもんねェ。

 ところでずっと以前から気になっていた事が有ってさ、このLACOSTEを着て爆笑しているオジサンと一緒に写ったMUNSINGWEARを着ているパーマーの写真をよく見るとね、向かって左側にポケットが付いていてワンポイントはいつものポケットじゃ無くて、向かって右側のポロシャツ本体に付いているという、かなり不思議なポロシャツになっているんだよね。

 どうしてなんだろうねェ?なんて思いながら前に色々と推理をしてみた事があった。まずポケットは大概普通は向かって右側にあるんだけどパーマーは右利きだから何かポケットにモノを入れた時にスウィングの邪魔になるんじゃないか・・・と。だからスウィングの邪魔にならない左側にきっと移動させたんじゃないのかなァって思ったんだよね。だけどペンギンの場所が不思議だよねェ・・きっとMUNSINGWEARのマーキングコンセプトだか何かが有って、ワンポイントは向かって右側に付けるってお約束だったのかなァ。ポケットにくっついた状態でそのまま左に移動しても全然変じゃ無いのにね。

 まァあれこれ考えて一旦はそんな理由でアレはきっとパーマー用にカスタマイズしたスペシャルな特注MUNSINGWEARのポロシャツなんだよ・・とか勝手に決めて納得していたんだよね。

 そしたら最近になって後輩がこんな古着を手に入れて持ち込んで来たんだよ。

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 最初見た時にはびっくりしちゃってねェ・・ヒェ~!本当に有るの??ありゃァ、参っちゃったねって感じだった。仮に古着として発見されるという事は当時市販品として相当量が流通していたと考えられるよね。タグを見ると60年代の前半のモノのように思えるんだけど確かに写真の中でパーマーの着ているポロシャツとディテールが同じなんだよ。

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 それで、当時のアメリカンスタイルにとても詳しくて実際にゴルフが趣味のアメ横時代からの先輩にたまたま会った時に「どう、思われます?」って聞いてみたんだよね。それで一応ボクの仮説を話したら先輩曰く、結論から言うとポケットはどちらに付いていてもスウィングには邪魔だと思うからオレはもっと違う意味の当時のアメリカ的発想、奇をてらうとかウケを狙うとかそんな感じだろうと思うよ。見るヒトに、えっ?て思わせておいて、茶目っ気たっぷりに、どうよ?・・みたいな、そんなふうに思うんだけどなァ・・・って、そんなご意見だったよ。 

 それで他にも同じ場所にポケットを付けたMUNSINGWEARじゃないポロシャツを着たパーマーの画像の存在も教えてくれてね。画像の通り、確かに向かって左側なんだよ。

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 そうか・・色々な推理が出来るよねェ、などと思いながら明日の生活に支障が出るような事でも無いし、別にどうでもいい事のように思えるんだけど、いまだに何となく釈然としなくてボクはやっぱり気になって仕方が無いんだよね。

 う~ん・・真相がどうしても知りたい。今度㈱デサントさんの偉い方にでも聞きに行ってみるかね。ところで去年だったかに㈱デサントさんの方に伺ったんだけどMUNSINGWEARが登場したのは1955年の事なんだって。要するにボクと年齢は同じだったよ。これも、ヒェ~!って感じだね。来年で60周年だってさ・・・