Leeの逆襲
- 2016.02.21
- 玉木朗の超B級アーカイブ
最近、例のジェームス・ディーンでお馴染み、McGREGORのAnti-Freeze-Jacketを自分の好きなようにディテールを凝りまくったうえで復刻して「いいなァ、これ・・・ボク、還暦記念にT/Cの方もナイロンの方も両方買っちゃったもんね!それに試着してみると色の落ちたデニムにブラックカラーがかなりカッコいいのをあらためて発見しちゃってさ、コレも渋いよ~!もう少し気温が上がらないかなァ・・いつデビューさせよっかなァ。お前も着ない?」などと友達に言いながら自分で喜んでいたんだけど、そいつから「それ着るんだったら、ジーンズはやっぱりLeeだよね?」「ありゃァ~そうか・・・」言われて気が付いたよ。
ボクはLeeのデニムでちゃんとサイズが合うのが今1本も無くってさ、どうしてだか全部ウェストが小さくなっていてね、不思議だと思わない?勝手に縮んじゃっているんだよ。「参ったねェ、どうすっかね?」痩せるか、新しく買うしか無いだろ・・って事だよねェ。
画像左は1956年、日本での公開当時のプレスリリースだって。真ん中がそのアップ画像なんだけど、良く見るとバックポケットのステッチが修正して消されてしまっているよね、きっとその時には重大な大人の事情が有ったんだろうなァ。とても不自然に思うけどLeeだと分かっちゃうと誰かがスゴく困る事になったんだよ。右の画像では、そのシルエットが良く分かるよね。やっぱり断然カッコいいよ!敵わないや。
シルエットがそんなに太くも見えないなァと思うのはボク自身のウェストサイズと足の長さを全く考慮していないからだろうけど。まァ実際にボクが穿くと、ほんのちょっとだけ違って見えるのかなァ。まァ、いいやね。
ところで、Leeのジーンズって最近は余り騒がないように思うんだけど、ボクがアメ横に居た頃、一部のヒトの中にはConverse派とPro-Keds派の対立関係のように、Levi’s派とLee派もちゃんと少なからず居たもんだった。いつお店に来られてもLeeのブーツカットデニムにFRYEのリングベルトをし、同じFRYEのリングブーツを履いていたお客様なんかをとても懐かしく思い出すよ。
だけどボクはどちらに属するワケでも無いノンポリと言うか雑食派でLevi’sもLeeもゴチャ混ぜに穿いていた。当時「る~ふ」はLevi’sの取り扱いが多かったからLeeは大体いつも守屋商店で買っていたしね。だけど何かの時の勝負パンツはWRANGLERやMAVERICKだったりしたから、考えてみたら確実にその頃からボクはやっぱり少し変わったヤツだったと思うんだよね。
まァ、そんな事を思い出しながら久し振りにLeeのデニムが欲しくなったから、ちょっとLee Japanに聞いてみるか・・・で、担当のヒトに聞いてみたら現在はちょうどアーカイブ・シリーズと名付けた日本製の復刻版が各年代ごとに出ているんだよ。やっぱり忠実にディテールを復刻するとなると、やっぱり日本製って言うのがポイント高いよね。ディテールの細かい追い込み方と完成度を追求する美学がやっぱり違うと思うんだよ。
ところがジェームス・ディーンの時代の#101Zってどれなの?って、ボク本当はヴィンテージデニムにあんまり詳しく無いから渋谷で長年ヴィンテージを扱う老舗ショップ、FOVOSのオーナーの和久井さんに教わりに行って来た。実は和久井さん、ボクのアメ横時代の後輩にあたるんだけど当時「る~ふ」の近くのお店に居て、よくお店にも来てもらっていたんだよね。考えてみたら、もう30年以上前の話しだけど。
今でも時々古いアイテムに付いて分からない事が有ったりすると教えてもらったりしているんだよ。
それで今回も色々と教わって来た。
「ねェねェ、ジェームス・ディーンの穿いてるLeeのデニムって、どういうヤツ?あれって#101Zでしょう?バックポケットが中心から外脇の方に寄っていて、スゴくカッコいいんだよねェ」
「本人に聞いてないから分からないっすけどォ、50年代初めの頃の#101Zという可能性も有りますよね?」
「今、Lee Japanから出ている復刻版で#101Zの52年モデルって言うのが有ってさ、センターの赤タグでセルビッジが片耳のヤツが有るんだけど、あの辺り?」
「あ、知ってますよ、その復刻版。ところで、あの映画って何年に撮ってるんすか?」
「記録だと1955年の4月から2ヶ月で撮り終えたって書いて有ったよ。」
「と、言う事は映画の中では新品じゃ無くて、そこそこ穿き込んでいるモノに見えるからそれ位の年代かも知れないっすね・・・だけど、あの復刻版ってホントに良く出来てますよねェ。アレが古着で混じって出て来たら自分も多分見間違うかも知れないっすよォ。」
「え?和久井くんでも分からないくらい出来がいいの?」
「いやァ、スゴいっすよ。今度のは、ホントに良く作ったなァって・・」
そんな会話が有って何だかボクは俄然その復刻版が、まず自分で欲しくなっちゃったんだよね。
和久井さんから色々と教えてもらったディテールをちょっとここで解説してみるね。画像向かって右側が復刻版だよ。
いわゆる「センター赤タグ」と呼ぶんだそうだけど、内側ベルト部分真後ろに付けられたタグ。
Levi’s等には見る事が出来ない「片耳」と呼ばれる仕様がコレなんだって。「何でこんな事をするの?」聞いたら和久井さん「知らないっすよ。生地の取り都合とかじゃ無いっすか?」だってさ。
本来は補強目的で付けられているポケットの中の補強布。これが有るとポケット部分のアタリの出方が微妙に違って来るんだそうだ。やっぱり本来はワークパンツなんだなァ
ヴィンテージムード漂うGRIPPER ZIPPER。このスライダーが付いているだけで嬉しくなっちゃうよね。ボク個人的に大好きなジッパーなんだよ。
「奥リベ」って呼ぶと言ったんだっけか?向かって右奥に打たれたリベット。60年代には失われたディテールだと和久井さんから聞いたけど、しかしどうしてあんなに詳しいんだろうねェ・・・。プロフェッショナルを感じるよ、マジ脱帽だ。
登録商標を表す、サークルR(○の中にR)マークがまだ付けられていないピースマークと、そして織り目の綾が左上に上がって見えるいわゆる「左綾デニム」。右綾デニムと違い糸の撚り方向との関係でタテ落ちの現れ方がそれと分かるくらいに違うんだってさ。「へェ~!」ってなもんだった。
スレッド・リベット(☓印に縫われたカンヌキ縫い)も50年代のモノは大きくガッチリと縫われているんだそうだ。まだまだ、ワークパンツとしてのそれぞれのディテールの理由がハッキリしていた時代だったからかも知れないね。
本革製のパッチラベル。あくまで私見だけど、ボクはここにベルトを通すというのがLeeのカッコ良さだと思うんだよねェ。
早く入荷しないかなァ、何だかこれだけウンチクを教わると単にこの#101Zを「穿きたい」というより「育てたい」という感覚になって来ちゃうもんね。ワクワクするよ。
今回は、ワクワク和久井くんに感謝って感じだなァ。次回は何か差し入れを持って行かなくっちゃね。
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